あれよあれよという間にベスト4。
 選抜高校野球における浦和実業学園の話である。
 
 野球の専門家ではないのでよく分からないが、この活躍を誰が予想しただろうか。
 ただ、今振り返ってみれば、県秋季大会では3回戦で聖望学園、準々決勝で浦和学院、準決勝で山村学園、決勝で西武台と強豪校をなぎ倒しての初優勝。
 直接対決がなかった強豪は花咲徳栄と昌平くらいだろう。
 また、秋季関東大会でも準決勝まで進み、横浜に1点差負けと大健闘。

◆出場回数は浦和学院が圧倒的 
 力はあったのに、いまいち強そうじゃないのは実績がなかったからだろう。
 選抜出場回数では11回の浦和学院が他を圧倒している。
 平成25年(2013)の第85回大会では優勝しているし、その後も2回、ベスト4に進んでいる。

 選抜出場回数は2位は5回の花咲徳栄
 こちらはベスト8が最高だ。

 次いで春日部共栄上尾が3回ずつ。
 春日部共栄は平成31年の第91回に出ているが、上尾の最後は昭和57年(1982)の第54回であるから今から43年前。50代以上じゃないと記憶にないだろう。

 回数だけで言えば大宮の2回が第5位となる。昭和35年(1960)と昭和41年(1966)のことであるから、私と同じ70代であれば記憶に残っているだろう。

◆埼玉勢初優勝は大宮工業
 記憶に残っていると言えば、昭和43年(1967)に初出場初優勝を果たした大宮工業だろう。
 私は高校生だったのでよく覚えている。
 春夏通じて埼玉県勢として初の優勝である。

 その後、大宮東聖望学園が準優勝しているが、次に浦和学院が優勝するまで46年かかった。
 このまま浦和実業が勝ち進み優勝すれば埼玉県勢3校目となる。

◆最後の公立出場は鷲宮
 選抜大会は県で優勝するだけではだめで秋季関東大会で好成績を収める必要がある(通常はベスト4以上)。
 そのため埼玉県勢の出場がない年もある。
 
 ここまで名前が出ていない出場校(戦後)は、私立で秀明西武台埼玉栄、公立で深谷商業熊谷商業伊奈学園鷲宮である。
 公立勢で最後に出場したのは平成7年(1995)の鷲宮で、以後30年間、公立の出場はない。

◆募集への影響
 甲子園での活躍で志願者が増えるのではと考える方もいるだろう。
 たしかにそれはある。
 が、浦和実業の場合、県内(特に県央・県南)においてはすでに十分人気校であって、募集に困っている様子はない。
 募集定員は普通科、商業科合わせて760人(普520・商240)。
 これは800人の浦和学院に次ぐ規模である。

 今春の正確なデータはまだ公表されていないが、浦和学院にしても浦和実業にしても、あるいは720人定員の埼玉栄、650人定員の星野にしても、大規模校ほど生徒が集まっているのが実情だ。
 全国的に見れば、野球やサッカーなどスポーツで名を上げ、生徒募集につなげようとしている学校(主に私立)は多いが、浦和実業の場合はその必要はなさそうだ。

 残っているのは健大高崎、横浜、智弁和歌山とビッグネームばかりだが、ミラクルが起こることを期待しよう。