久しぶりに浦和南高校を訪ねた。
 よみうり進学メディア(埼玉版)10月号「進学実績と進路指導特集」の取材のためだ。

 今、中学校に配布されている9月号の特集が「部活動」だったので、そちらで取り上げさせてもらう手もあった。
 サッカーの強豪校であることはよく知られているが、卓球部なども県ベスト4に入る実力校で今季も関東大会に出場しているし、とにかく部活動(特に運動部)が盛んな学校なのである。

 が、その一方。
 「非学校選択問題採用校」(そんな言葉あったか?)の中では、学力レベル的には最上位にある学校の一つで、大学進学率も高い。
 例年、県内有数の高倍率をたたき出す学校だが、その人気の秘密は必ずしも部活動だけではあるまい。
 ということで、今回取材校に選ばせてもらった。

 進路指導と進学実績については、来月発行される「よみうり進学メディア」に譲るとして、取材後の雑談の中で出てきた令和9年度公立入試改革にまつわる話だ。
 このところ、どこの学校を訪ねても、公私の区別なく、公立入試改革と授業料無償化の話題が出る。

 私の疑問。
 令和9年度入試では、調査書記載事項から、部活が消える。
 部活動の実績等を書く欄がなくなる。
 そうすると高校側は、部活動の実績について知ることができない。

 自己評価資料があるではないか。
 そう、それはある。
 おそらく受験生はそこに実績を書いてくるだろうから、高校側はそれで知ることができる。
 ただ、そこまでである。
 自己評価資料はあくまでも面接の補助資料というか参考資料という扱いなので、どんなに素晴らしい実績を残していたとしても、それ自体を得点化したり、それだけを取り出して評価することはできない。

 今度の公立入試改革の弱点があるとすれば、おそらくこのあたりだろう。
 完全学力重視(学力優先)の選抜をする学校はいいだろうが、部活枠を設定してきた学校は困るだろうし、それで選びたい受験生も困るだろう。
 部活枠というのはむろん公式には存在しないのだが、選抜を3段階(第1次・第2次・第3次)で行う学校の「第3次選抜」の方法を見ると、「特別活動等・その他の項目の得点で選抜する」と書いてある。
 浦和南高校の現行の(令和8年度の)選抜は正にこれで、「第3次選抜」に定員の5%(人数にして16人)を残している。これが私が勝手に名付けているところの部活枠である。

 第3次選抜に一定の人数(%)を残している学校には、上尾・商業科(12%)、越谷西(5%)、越谷南・普通科(5%)、坂戸西(7%)、白岡(10%)、草加南(5%)、鷲宮(10%)などがある。
 これらすべてを部活枠と断定することはできないが、学校側にそういった狙いがあるだろうことは容易に想像できるだろう。受験生側もそこに期待をかけている。

 部活動の中学校からの切り離し(別名、地域移行)は時代の趨勢と受け止めるしかないが、学習とは別にスポーツ活動や文化活動に熱心に取り組んできたことは評価してやっていいだろう。
 今までは調査書に記載欄があり、高校側がそれを得点化するという形で評価できた。
 だが、令和9年度入試では、それができない。
 スポーツ活動や文化活動で頑張って来た子や、これからも頑張りたい子は私立に行ってください。授業料も無料だし。
 ということなのか。
 それとも、今までと違った形ではあるが、何らかの方法で実績を評価するのか。
 このあたり、公立高校は受験生に向けて、明確にアナウンスしてもらいたいものである。