さいたま市教育委員会は24日、育児や介護などの理由で学校現場を離れた教員のうち、再び市の教員として働くことを希望する人を採用する「さいたま市立学校ティーチャー・リターン制度」を新設すると発表した。
管理職も対象は全国初 教員の復職制度を新設 さいたま市教委 受験負担を軽減、即戦力を確保(埼玉新聞 9月25日)
◆民間ではジョブリターン制度
この、さいたま市の新制度、すでに民間企業では行われているものだ。
一般的には「ジョブリターン制度(復職制度)」と呼ばれることが多い。「カムバック制度」、「キャリアリターン制度」という言い方もあるようだ。
育児や介護、配偶者の転勤などやむを得ない理由で退職した従業員を再雇用する制度である。
ついでながら、「アルムナイ制度」というのがある。こちらは、やむを得ない理由だけでなく転職や起業などで退職した元従業員も対象としている。
この「さいたま市立学校ティーチャー・リターン制度」、雇うのが元教員に限定されているから、採用コストや教育コストがかからない。採用対象者は組織(学校)の業務や習慣もわかっており、経験やスキルがすぐに生きる即戦力。といったメリットがある。
◆経験5年以上、退職後5年以内
募集するのは、管理職、小学校教員(全教科)、中学校教員(国語など6教科)、特別支援教育担当教員の4区分である。
募集対象に管理職(校長・教頭など)を含めるのは全国初だという。
経験5年以上で退職後5年以内というしばりを設けた結果、該当する人は260人ほどらしい。
ペーパー試験はなく、面接と在職時の人事評価結果を基礎とした勤務成績を加味して選考する。
◆対象者が限定された制度
教員のなり手が不足している現在(さいたま市は比較的好調だが)、応急処置として、いろいろな制度を取り入れるのは結構なことだ。
ジョブリターン制度は、ただの再雇用・再就職ではない。
退職理由は重要で、「結婚・出産・育児・介護など、やむを得ない事情による退職」に限る必要がある。勤続年数も10年は長過ぎるにしても5年程度は必要だ。
ただ仕事が嫌になって辞めた人が、もう一回やってみようかと軽い気持ちで戻って来られても困る。
そう考えると、この制度、対象者がかなり限定されたものになりそうで、教員不足解消の決定打にはなりそうもない。
だが、前述したように、やる前から意味がないと否定せず、とりあえずやってみるのはいいことだ。効果がなければやめればいい。

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