地方自治体の首長がスキャンダルに見舞われるたびに、私たちは「政治家とは何か」「信頼とは何か」を問い直す機会を得る。
 現在、前橋市の小川晶市長は、既婚の市職員とのラブホテル通いが報じられ、説明責任を問われている。
 それより前、静岡県伊東市の田久保市長は学歴詐称問題で批判を浴びながらも、いまだ辞任していない(議会を解散)。

 この二人に共通するのは、問題の本質が「行動そのものよりも、嘘をついたことにある」という点だろう。
 小川市長は10数回もラブホテルに行きながら「男女の関係はなかった」と繰り返し主張している。
 ソープランドに行きながら風呂に入っただけと言っているようなものだ。
 伊東市・田久保市長は学歴を偽った。
 別に市民は学歴で選んだわけではないのに。
 どちらも、事実と異なる説明をしたことで大きなスキャンダルに発展し、結果、市民の信頼を大きく損ねている。

◆教育現場におけるリーダーのふるまい
 学校関係者(特に校長、教頭など管理職)や教育委員会の職員などもまた、地域社会の信頼の上に立つ存在だ。
 同様のスキャンダルや疑惑に直面した場合、政治家の事例から学ぶべき教訓は多いだろう。

 教訓1「嘘は信頼を根底から崩す」
 学校では子どもたちに「正直であること」の大切さを教えている。
 だからこそ、リーダーが事実を隠したり、誤魔化したりすることは、教育理念そのものを裏切る行為となる。
 問題が発覚した時点で、誠実に事実を認める姿勢が不可欠だ。
 嘘は100%バレると思ったほうがいい。

 教訓2「説明責任は「納得」を生む」
 小川市長の「男女の関係はなかった」という説明は、市民の納得を得られていない。
 教育現場でも、保護者や地域住民に対して説明する場面は多い。
 その際、言葉の選び方や態度が信頼回復の鍵となる。
 印象もきわめて重要ということだ。
 あくまでも個人的なものだが、二人の女性市長からは心から反省しているという印象を受けづらい。
 
 政治家のスキャンダルは、多くは一過性の騒動として忘れられる。
 大人はすぐに忘れるのだ。
 しかし、子供たちはそうは行かない。
 学校において先生は常に「子どもたちの模範」としての姿勢が求められる。
 「嘘をつかないこと」「誠実に説明すること」は当然として、先生たちには政治家よりもはるかに高い倫理観が必要なのである。