なるほど。その手で来たか。
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学部・修士の5年一貫教育を来年度にも制度化、大学院進学者増やし専門人材増やす狙い…文科省方針(讀賣新聞オンライン 10月8日)

 上記記事をお読み願いたいが、まとめると以下のような内容。
「文部科学省は、大学の学部と修士課程を合わせた5年一貫教育を制度化し、2026年度からの導入を目指している。従来6年かかっていた学部4年+修士2年を、修士1年に短縮することで大学院進学者を増やし、専門人材の育成と国際競争力の強化を図る。背景には、日本の大学院進学率の低さがあり、文科省は欧米並みの人材育成を目指している」

 表向きは専門人材の育成強化であるが、裏を返せば、大学の延命策・生き残り戦略と見ることもできる。
 少なくとも私はそのように理解した。
 だから冒頭、「その手で来たか」と書いた。

 プラス1年で修士課程修了ならば、大学院に進もうという人は増えるかもしれない。
 プラス1年でそれほどの専門性が身につくとも思えないが、院まで進んだとなれば、学歴的にも有利だし、給与も上がるかもしれない。
 実際のところ、大学が4年制から5年制になったようにしか見えないが、学歴社会では大卒より院卒である。

 私は知らなかったが、記事によると、一橋や慶応など一部の大学では、成績が優秀な学生向けに学部・修士一貫教育プログラムを展開しているそうだ。東大も27年秋に開設予定の新学部「カレッジ・オブ・デザイン」で、学部4年と修士1年の5年一貫教育を計画しているとのことだ。まあ、このレベルの大学であれば「人材育成」という理想も実現できるかもしれないが、総じて「大学の生存」のためにこの制度は用いられるであろう。