所用あり県内某私立高校を訪ねた。
用件終わり雑談タイム。
(取材者としてはこれが貴重な時間。先生からすれば、忙しいのだから用が終わったらすぐに帰ってくれというところだろう。ゴメン)
質問「御校では生成AIを学校として、組織的に使っているか。または、個人的に使っている先生はいるか?」
答え「個人は分からないが、学校として(学年、分掌、教科などで)組織的に使っている実態はない」
今の段階ならそうだろう。
「ただ、生徒は使っているようです」
若者は何も考えずとりあえずやってみるからね。
「面接対策で自己PR書のようなものを書かせているのですが、どうやら生成AIを使っているようです。実際に面接練習で一つ一つ詰めて行くと、いろいろと矛盾も出てきて、実は生成AI使いましたとなることがあります」
そうなんだ。
しかし、先生のこの言い方からすると、どうやら生成AIなど頼らず、こういったものは自力で書くべきであり、生成AIを使うことは悪、とまでは行かないまでも、あまり勧められないという認識らしいことが分かる。
まあ、私も昔、先生だったからその気持ち何となく分かる。
てめえ、自分の力で書きやがれ。
そう言ったに違いない。
生徒に、楽をすることを覚えさせてはいかんのだ。
ただ、生徒に一人一台の端末を持たせ、さまざまなソフトやアプリを使わせている時代に、生成AIを使うなとは無理な要求だろう。使い方をしっかり教え、メリット・デメリットをしっかり認識させ、むしろ積極的に利用させるべきだろう。
私は教育の現場に身を置く者ではない。したがって、学習や進路など生徒指導にどれくらい活用できるかは想像し難い。だが、業務への活用についてはきわめて大きな可能性を秘めているであろことは、かなり確信的に言えるのだ。
生成AIは、学校DX(教育DX)に欠かせないツールであることは間違いない。
以下、半分お遊び。
仕事上で文章や資料を要約しなければならない場面がしばしばある。
この作業は生成AIの得意分野であろうから、今後、説教的に使って行こう。
1000文字を超える文章を400字(原稿用紙1枚)に要約させる試み。
【例題1】
●朝霞
【全日制】第2学期朝礼
伊藤孝人校長の朝礼における講話だが、「AI」は文字数1344字を次のように400字に要約した。
「人間関係は距離感が大切で、近づきすぎると傷つき、離れすぎると孤独を感じるという「ヤマアラシのジレンマ」があります。人は社会の中で他者と関わりながら生きる存在です。菅野仁氏の『友だち幻想』は、友人関係に悩む中高生に向けて書かれた本で、「みんな仲良く」という重圧に苦しむ人への処方箋として30万人に読まれました。友達とは必ずしも理解し合える存在ではなく、距離の取り方や共に過ごす作法が大切です。本校図書館にも所蔵されており、心の栄養となる一冊です。」
【例題2】
●浦和一女
第4回学校説明会 校長挨拶
10月11日(土)に行われた第4回説明会における山崎正義校長の挨拶(2036字)を「AI」は次のように400字に要約した。
「本日は学校説明会にご来校いただきありがとうございます。音楽部は県・関東大会で金賞を受賞し、全国大会に挑みます。中学3年生の皆さん、受験勉強は今が伸びる時期です。自分を信じて努力を続けてください。将来を見据え、高校選びは重要です。一女では大学進学だけでなく、探究活動や部活動を通じて、学び続ける力と非認知能力を育みます。約1000日の高校生活で本物の教養を磨き、社会に貢献する人材を育てます。本日は生徒と交流し、一女の魅力を感じてください。」
【例題3】
●越谷南
教育ジャーナリスト梅野弘之氏による学校取材(よみうり進学メディア取材対応)
同校にはつい最近取材に行ったばかりだが、そのときの模様を相原博和校長が校長ブログで記事にしてくれた。これ(1376字)を「AI」は次のように400字に要約した。
「10月10日、進学情報紙「よみうり進学メディア埼玉版11月号」掲載のため、教育ジャーナリスト梅野弘之氏が来校し、本校外国語科の授業を取材しました。対象は1年3組の総合英語Ⅰで、宮本教諭とALTラウル先生によるTT授業。映画「ジュラシックパーク」の英語長文を題材に、ペアワークや映像を交えた内容で、生徒は英語のみで活発に取り組みました。梅野氏は授業の様子を撮影し、宮本教諭へのインタビューも実施。生徒の姿勢や人間性にも高評価をいただきました。記事は県内中学校に配布予定です。」
【例題4】
●不動岡
10月14日(火)進取の気風No.391「ワークライフバランス」
本ブログ同様、基本毎日更新の校長日誌。1120字を「AI」は次のように要約した。
「曇り後雨の肌寒い日、校長室では昨年度の就任祝いにいただいた胡蝶蘭の最後の一輪が落ち、季節の移ろいを感じました。サッカー部は一次予選を突破し、早稲田本庄高校に2-1で勝利。次戦は強豪・国際学院との対戦です。三連休中、3年生は模試に励み、校長も行事続きで多忙でしたが、大学時代の仲間と再会し、還暦を迎えた今、働き方や人生観の変化を語り合いました。「トップは暇なくらいが良い」との言葉に考えさせられ、令和の時代には少しゆとりを持ちたいと感じました。PTA華道サークルの作品にも感謝します。」
うーん、そこじゃないんだけどな。
と、かなり不満の残る結果だ。
原文の面白さが伝わってこないじゃないか。
でも、ものの2~3秒で答えを出してきたのはエライ。
そこだけは認めてやろう。
原文の方が面白く、魅力的であるのは当然だが、もう少し何とかならんかと思い、少し指示を加えた。
「例題4不動岡」については、
(1)サッカーの話題はほどほどに頼む。
(2)話題のワークライフバランスを入れてくれ。
追加の指示はこの2点。
結果は次のとおり。
「曇り後雨の肌寒い日、校長室では胡蝶蘭の最後の一輪が落ち、季節の移ろいを感じました。三連休中、大学時代の旧友と再会し、民間企業と公務員の仕事観や価値観の違いについて語り合いました。友人の「トップは暇なくらいが良い」という言葉に、校長としての多忙な日々を振り返り、ワークライフバランスの重要性を改めて実感しました。昭和・平成を駆け抜けた世代として、令和の今は少しゆとりを持って過ごしたいという思いも芽生えました。サッカー部の活躍や華道サークルの作品にも触れつつ、人とのつながりや季節の変化に感謝する一日でした。」

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