10月最終週に埼玉県教育委員会から第1回進路希望調査(10月1日現在)の結果が発表される。
 この中でいくつか注目ポイントがある。
 高校進学希望者はどのくらいか。
 そのうち全日制希望者はどのくらいか。
 通信制希望者はどのくらい増えるか。
 私立希望者は、県外希望者は・・
 といった具合だ。

 では、今日のお題。
 倍率最低はどこになるか。
 えっ、そっち?
 そう思う方がほとんどだと思う。
 皆さんの関心は高い方にあるに決まっている。
 が、意表をついて、低い方を話題にするのである。

◆コースはもう廃止すれば
 昨年度、第1回調査で最低倍率だったのは「日高・情報コース」で、40人募集に対し、希望者5人。
 倍率は0.13倍。
 最終的には26人まで増え、倍率も0.65倍まで上昇するのだが、低倍率は変らない。
 また、「松伏・情報ビジネスコース」は、第1回では40人募集に対し、希望者15人で倍率0.38倍。
 最終的にも18人までしか増えなかったが、普通科からの第二志望で埋め合わせたが、それでも32人。8人の欠員募集を行った。

 県立の「コース」は次々に姿を消して行き、残るは上記2コースと、「大宮光陵・外国語コース」を残すのみとなった。
 普通科の中に設置された「コース」というのは、普通科と専門学科の中間的位置づけである。
 平成の初期あたりから、普通科高校の特色化を図ろうではないかということで次々に「〇〇コース」が作られた。
 このころ私はまだ現役教員で、実際にコース新設に関わったのでよく覚えているが、「なんか中途半端だな」とやりながら思ったのである。
 でも、県が決定したことだから。

 私がいた大宮南では「国際文化コース」を作ったのだが、同名のコースは、狭山清陵・富士見・妻沼・越谷東・蓮田(現・蓮田松韻)・白岡にもできた。
 「外国語コース」は、鳩ヶ谷・大宮光陵・北本・福岡などに、「理数コース」は与野・羽生第一・杉戸にあった。
 この他に、「日本文化コース」「情報コース」「体育コース」「国際ビジネスコース」「情報ビジネスコース」「文化・情報コース」と、雨後の筍のごとく新設されたのである。
 「外国語コース」を作っても、所詮は普通科であるから専門学科である「外国語科」ほどの専門性はないわけである。「情報コース」や「情報ビジネスコース」にしても工業科の「情報技術」や商業科の「情報処理」にはかなわないわけである。
 そんなこんなでどんどん廃止され、今、3校3コースが生き残っているが、そろそろ寿命だろう。

◆赤字(定員割れ)から抜け出すのは
 コースを除くと昨年第1回における最低倍率は、上尾橘の0.30倍だった。
 160人募集に対し、希望者48人。
 
 次は、昨年第1回調査における普通科低倍率校10校

 上尾橘  48/160 0.30倍
 北本   67/160 0.42倍
 三郷   88/200 0.44倍
 妻沼   53/120 0.45倍
 桶川西  78/160 0.49倍
 鶴ヶ島清風 101/200 0.51倍
 越生   42/80  0.53倍
 蓮田松韻 104/200 0.53倍
 栗橋北彩 85/160  0.54倍
 鴻巣女子 46/80  0.58倍

 上尾橘・北本・桶川西は160人募集から120人募集に減じるので倍率的には多少は改善するかもしれないが、希望者数が前年レベルだと0.5~0.6倍と苦しい。
 桶川西はほぼ毎日ホームページを更新するなど戦う姿勢は崩していない。これだけ細かく発信するならインスタをやったらと思う。
 北本もホームページやインスタで頻繁に情報発信している。校長ブログも週1ペースで掲載されている。
 上尾橘は公式インスタを始めたが投稿は1件しかない。ホームページ全体として情報量が少なく学校の姿が見えにくい。
 三郷は、武蔵野沿線、つくばエクスプレス沿線という強みをもう少し生かせないものか。
 妻沼はすでに120人募集まで減らしているので後がない。北部地区全体や熊谷地区の人口が減っている上に、最寄り駅と言える駅がないのも厳しい。インスタは熱心に発信している学校なので最近は文化祭のお知らせを毎日見ている。
 越生は越生翔桜になるのだが、それに伴い普通科は80人募集から120人募集となる。アニメを前面に打ち出し、もっと強力なプロモーションをかけないと厳しい。
 鴻巣女子は、専門学科である保育と家政科学を前面に出し、そこから溢れた生徒を普通科ですくい上げる作戦しかないだろう。
 栗橋北彩は昨年、200人募集から160人募集に減じたがさほど効果が見られなかった。ホームページの情報発信(更新)も少なく、その点が心配だ。
 鶴ヶ島清風は200人募集なので、まだ余裕がある(160人、120人に減らす手がある)。が、何とかこのボリュームで踏みとどまれないか。もう少し情報発信を強化したい。
 蓮田松韻は、昨年0.53倍と低いが、これでも第1回倍率としては過去10年で最高である。少しずつだが上がってきている。加えて200人募集から160人募集であるから、倍率的にはさらに上がる可能性がある。

 以上、あくまでも第1回調査倍率に焦点を当てた考察(と言うより感想)である。