第1回進路希望調査について。
 公立の話題が続いたが、今日は私立だ。

 この調査では各私立高校の希望者数も発表している。
 調査対象が埼玉県内の国公私立中学3年生であるから、一貫校の中3生は基本的には併設高校への内部進学するであろう。
 加えて、この段階で私立を第一希望と位置付けている公立中学生もいる。
 両者の合計が各私立高校の希望者数である。

◆県内私立希望者は2.4%増
 第1回調査では公立希望者が前年同期から2017人減少した。
 今回3万9267人、前年同期4万1284人。
 構成比では今回71.3%、前年同期74.7%で3.4ポイント低下。

 一方、私立希望者は1417人増加した。
 今回1万1499人、前年同期1万82人。
 構成比では今回20.9%、前年同期18.2%で2.7ポイント上昇。

 なお、本日は触れないが、県外私立希望者は、前年同期3230人から今回3724人と494人増加した。(+1.0ポイント)

 県内私立希望者の1417人増加が、いかに大きな数字であるかは、ここ数年のデータを見れば明らかだろう。
 令和7年度入試第1回 前年から200人増加
 令和6年度入試第1回 前年から276人減少
 令和5年度入試第1回 前年から327人増加
 全体の人数が減る中、第1回における私立希望者(内進生含む)は、徐々に増加してきていたが、一気に1400人増というのは前例がないことだ。

 まだ最終結果ではないが、「公立希望者の減少、私立希望者の増加」が、今年の特徴ということになるだろう。
 主たる要因が私立の授業料無償化だとすれば、次年度はここまで大きな変化はないかもしれない。
 ただ、次年度(令和9年度入試)は、中学校卒業者数が大幅減となる。私立は当然ながら強力に攻勢をかけてくる。  
 またさらに、公立入試制度改革が行われるが、中身によっては公立回避につながる可能性もある。
 公立高校にとって厳しい戦いが続きそうだ。

◆希望者数トップは埼玉栄
 とりあえず学校規模(募集人員)や併設中学校の有無や難易度、あるいは近年の募集状況とそれに伴う募集政策の変化などは一切無視して、単純に現段階の希望者数を多い順に5校あげてみる。

 01 埼玉栄  564人
 02 浦和実業 533人
 03 叡明   490人
 04 星野   482人
 05 西武文理 456人

 併設中学校からの内部進学者(内進生)を含む募集人員は、浦和実業760人、埼玉栄720人、星野650人と、公立に比べはるかに多い。
 叡明は高校単独校で募集人員は520人。
 西武文理は内進生含む380人の募集だが、現段階の希望者は456人で、すでに定員を超えている。

 県内随一の大規模校である浦和学院(800人募集)が気になる方もいると思う。
 浦和学院の希望者は411人で6番目である。毎年第1回ではこの程度だが最終的には900人~1000人が入学する。

◆増加数トップは叡明
 単純計算で、前年同期と比べ増加人数が多かった学校である。

 01 叡明   +211人
 02 大宮開成 +127人
 03 浦和実業 +94人
 04 栄北   +93人
 05 山村学園 +90人

 叡明は前年同期からの増加率も75.6%と高い。
 栄北は増加率70.5%、大宮開成は増加率49.6%。

 私立の場合、希望者数の増減は、募集政策によるところも大きい。
 ある年の入学者数が想定より多すぎた場合、その翌年はやや少なめになるような政策をとることがある。
 想定より少なすぎた場合はその逆だ。
 公立の場合、第1回の希望者数・倍率は「人気のバロメーター」と見ることができる。
 私立も基本的には同じことだが、各校の事情にも注意をはらう必要がありそうだ。