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都教育長「部活強豪校つくる」 都立高の魅力向上へ有識者ら初会合(11月7日 朝日新聞)

 東京都教育委員会は都立高校の魅力向上のため懇談会を設置した。

都立高校の魅力向上等に係る懇談会(第1回)開催(10月30日発 東京都教育委員会ホームページ)

 第1回会合が昨日(11月6日)開催され、そこでの教育長の発言を切り取ったのが冒頭の新聞記事だ。

 初顔合わせということで、13人の委員の皆さんが自己紹介を兼ねて、それぞれ思うところを述べたのであろう。その中で部活の活性化について述べた方がいて、それを受けて坂本雅彦教育長が、「参考になるご意見だ。ぜひ部活強豪校を作るプロジェクトを作りたい」、とまあ、社交辞令として答えたのだろう。(以上、私の想像ないしは妄想である)。

 委員は中高の先生、大学教授など学校教育に精通した方々が中心だが、中に千疋屋(せんびきや)総本店社長・大島代次郎氏の名が見える。フルーツと都立高校の魅力づくりの間にどんな関連があるのだろう。でもまあ、千疋屋のルーツは越谷(レイクタウンの近く)ということなので、埼玉県民の私はそれだけで許してしまう。

 許せないのは、もとい、不安なのはむしろ教育長だろう。東大を出て東京都庁に入って主に産業労働畑で活躍した方のようで、教育との接点が見つからない。働き方改革を進めるには適任かもしれないが、高校の魅力づくりについて何かアイデアを持っているとは思えない。大丈夫か。

 部活強豪校を作りたい。
 魅力づくりとしてはありだと思う。運動部、文化部含めて。
 でもこれをやるには、「環境(施設設備)」、「人事」、「入試制度」、少なくともこの三つを強化して行かないと、あるいは改革して行かないと無理だろう。
 野球だったら照明付きの専用球場や屋内練習場が必要だし、サッカーだったら人工芝のグラウンドが欲しい。指導者だって監督のほかに複数のコーチ、それにトレーナーが必要だろう。そうそう、遠征用のバスも欲しい。あと寮も作らなきゃな。
 私立は何とかやりくりして、このような環境を整えて、それでようやく選手が集まるようになって強豪校への道が開けてくる。

 教員の異動も考えなくてはならない。じっくり腰を据えて10年。それでも足りないくらいだ。
 入試制度もスポーツ特待を導入するくらいじゃないと優秀な生徒は集められない。

 まあ思いつきでできるような話ではないのである。
 そのあたりは、学校教育や部活指導を経験したことのない新人教育長でも分かることだ。だからこれは、委員の皆様へのリップサービスだろう。