明日(11月13日)はある埼玉県立高校からの依頼があり、教員研修会で講師を務める。
 どこの学校かを明らかにするのは、学校側の対応を見てからにしよう。
 学校側が何らかの方法で(例えばホームページやSNSなどで)公表したら、当方も明らかにするが、そうでなければ黙っておこう。

◆他校の事例に学ぶ意義
 大きなテーマは、「生徒募集」「広報」である。
 これ以外のテーマで呼ばれることは滅多にない。

 ただしこれは、教職員対象の研修会の場合であって、受験生(中学生)や保護者が相手だと、「入試の制度やしくみ」「高校受験対策」などがテーマとなる。

 今回、事前に、話して欲しい内容がいくつか送られてきた。
 その中に、「他校における具体的な事例」というのがあった。
 いろんな学校で講演を頼まれるが、必ずと言っていいほどリクエストされるのが、これだ。

 自慢じゃないが、いや、思いっきり自慢だが、私は各校がどのような募集対策をとっているかに相当詳しい。
 訪問校の数がケタ違いだからだ。
 私立に関しては私以上に詳しい人は大勢いるが、公立に関しては他の追随を許さない。
 ハイ、自慢ここまで。

 だから、いくらでも話してあげられるのだが、この話、あまり好きなテーマではない。
 
 いや、他校に学ぼうという姿勢はいいのだ。
 「敵を知り、・・・」は戦いの基本姿勢である。
 市場全体はどう動いているか。その中で、各校はどのような戦いをしているか。
 冷静な分析がなければ戦略立案ができない。

 というわけだから、私も必要に応じて、さまざまな事例を紹介するのである。
 が、それは、同じことをやってもらうためではない。
 事例はあくまでも参考である。
 重要なのは、その先にあるオリジナルである。

◆競争優位の持続
 20年以上前の講演記録の中にこんなワードがある。
 「競争優位を持続するための見えない差別化戦略」。

 競争相手に一瞬にして追いつかれるような戦略ではだめなのだ。
 永久に、とまでは行かないまでも、できるだけ長くリードを保ちたい。

 入試の制度・仕組みを変えた。
 新しいコースを作った。
 新しい施設設備を作った。
 制服を一新した。

 これら一つ一つは、そう簡単に実現できるものではないので、これ自体が悪いというわけではない。
 こうしたことができずに、徐々に没落して行った学校はいくらでもある。
 ただ、これらは外から見えやすい。
 だから真似しやすい。

 だが、真似しやすいということは真似されやすいということでもある。
 簡単に真似できたことほど、簡単に真似されやすい。
 よって模倣によって得た優位性は一瞬にして失われる。

 では、競争優位をできるだけ持続するにはどうしたらいいか。
 そう簡単に他校に真似されない戦略をどう確立したらいいか。
 おそらく答えは一校一校異なる。
 だから差別化になる。

 私が話したいのはそこのところなので、他校の事例紹介というのはあまり好まないのだ。