10月27日(月)午前、埼玉県教育委員会から「令和8年度(2026年度)埼玉県高校入試、第1回進路希望状況調査(10月1日現在)」の結果が発表された。
 詳細データは県教委ホームページへ。
令和8年3月中学校等卒業予定者の進路希望状況調査(令和7年10月1日現在)

 ある程度予想されたことであるが、公立希望者がかなり減少しており、その分、私立希望者が増えている。
 では、皆さんの一番の関心事と思われる公立の倍率関係を見て行こう。 
 
◆全日制全体の倍率
 普通科・専門学科・総合学科を合わせた全体倍率は1.13倍で、前年同期(1.17倍)より0.04ポイント低下した。
 令和に入り、2年度(1.21)、3年度(1.19)、4年度~6年度(1.18)、7年度(1.17)と低下傾向は明らかだが、一気に0.04ポイントの低下は衝撃的と言っていいだろう。

◆学科別の倍率 
 カッコ内は前年同期倍率。

 普通科  1.23倍(1.28)-0.05ポイント  
 専門学科 0.83倍(0.85)-0.02ポイント
 総合学科 0.91倍(0.93)-0.02ポイント
 
 普通科の0.05ポイント低下はかつてない大幅な低下である。
 令和に入り、2年度(1.31)、3年度(1.29)、4・5年度(1.28)、6年度(1.27)、7年度(1.28)と下降傾向にはあったが、今回一気に1.23倍まで下がった。過去に例のない下がり方だ。

 専門学科ついてさらに詳しく見ると次のとおり。
 農業   0.74倍(0.78)
 工業   0.79倍(0.82)
 情報   1.06倍(新規)
 商業   0.69倍(0.69)
 家庭   1.04倍(1.16)
 看護   1.38倍(1.49)
 外国語  0.91倍(1.10)
 美術   1.64倍(1.37)
 音楽   0.72倍(0.57)
 書道   0.35倍(0.83)
 体育   1.14倍(1.04)
 理数   1.31倍(1.42)
 福祉   0.31倍(0.19)
 人文   0.60倍(0.43)
 国際関係 0.88倍(新規)
 映像芸術 1.00倍(1.05)
 舞台芸術 1.03倍(0.83)
 生物環境 1.20倍(1.38)

 情報は新しくできた分類で「大宮科学技術高校・情報サイエンス科」のみである。
 国際関係も新しくできた分類で「岩槻高校・国際教養科」「秩父高校・国際教養科」「和光国際高校・国際科」の3校3学科。岩槻はあと1人希望者がいれば1倍(40人)に達した。和光国際の国際科は外国語科からの転換という形だが、前年までは外国語科として1.4倍程度をキープしていた。しかし、代わってできる国際科は学科内容がいま一つ伝わっていないのか今のところ1.19倍とやや低調だ。
 
◆普通科倍率(1倍以上)
 カッコ内左側は前年同期、右側が前々年同期の倍率である。
 
 川口市立 3.01倍(3.21・2.48)
 市立川越 2.99倍(3.56・3.79)
 市立浦和 2.75倍(2.78・2.82)
 上尾   2.36倍(2.49・2.11)
 大宮   2.29倍(1.93・2.01)
 越谷南  2.12倍(2.33・2.06)
 浦和西  2.08倍(2.13・2.08)
 浦和南  1.96倍(2.27・1.77)
 所沢   1.89倍(1.71・1.89)
 大宮北  1.86倍(1.80・1.69)
 鳩ケ谷  1.73倍(1.91・1.51)
 越ケ谷  1.70倍(1.74・1.96)
 杉戸   1.69倍(1.71・1.17)
 南稜   1.67倍(1.67・1.59)
 川口市立 1.66倍(1.88・1.84)
  (スポーツ科学)
 川越南  1.65倍(1.95・2.05)
 所沢北  1.55倍(1.53・1.48)
 和光国際 1.55倍(1.40・1.78)
 川口   1.50倍(1.50・1.68)
 熊谷西  1.48倍(1.37・1.68)
 蕨    1.47倍(1.77・1.92)
 越谷北  1.42倍(1.43・1.41)
 不動岡  1.42倍(1.51・1.36)
 深谷第一 1.42倍(1.30・1.31)
 川越   1.39倍(1.52・1.49)
 岩槻   1.37倍(1.20・1.18)
 大宮南  1.36倍(1.44・1.21)
 鷲宮   1.36倍(1.21・1.16)
 伊奈学園 1.33倍(1.46・1.37)
 入間向陽 1.32倍(1.30・1.32)
 草加東  1.32倍(1.20・1.38)
 所沢西  1.30倍(1.47・1.42)
 坂戸   1.28倍(1.26・1.29)
 浦和東  1.26倍(1.56・1.65)
 朝霞西  1.25倍(1.25・1.37)
 川越女子 1.24倍(1.19・1.21)
 豊岡   1.24倍(1.10・1.40)
ここまで普通科平均1.23倍以上
 春日部  1.19倍(1.26・1.18)
 本庄   1.19倍(1.39・1.31)
 越谷西  1.18倍(1.25・1.31)
 坂戸西  1.18倍(1.10・1.17)
 朝霞   1.17倍(1.46・1.26)
 草加   1.17倍(1.21・1.05)
 鴻巣   1.16倍(1.32・1.39)
 志木   1.16倍(1.58・1.32)
 越谷東  1.15倍(1.05・0.90)
 草加南  1.15倍(1.31・1.33)
 大宮東  1.11倍(1.25・0.98)
 川越西  1.11倍(0.99・0.88)
 浦和   1.10倍(1.50・1.36)
 浦和北  1.09倍(1.36・1.49)
 浦和一女 1.08倍(1.25・1.21)
 庄和   1.06倍(0.90・1.09)
 三郷北  1.06倍(0.95・1.11)
 草加西  1.05倍(0.95・0.88)
 与野   1.05倍(1.31・1.38)
 大宮光陵 1.04倍(1.37・1.32)
 大宮武蔵野1.04倍(0.79・0.79)
 川口北  1.04倍(1.38・1.40)
 川口東  1.01倍(1.08・1.02)

 以上が1.00倍以上の学校。

◆普通科倍率(1倍未満)
 春日部女子0.96倍(0.98・1.11)
 熊谷   0.96倍(0.96・0.86)
 八潮フロンティア
      0.96倍(1.38・1.35)
 春日部東 0.94倍(0.81・1.02)
 所沢中央 0.94倍(0.92・1.11)
 上尾南  0.93倍(0.87・0.92)
 大宮光陵 0.93倍(0.70・1.08)
  (外国語科コース)
 新座柳瀬 0.92倍(0.76・0.81)
 ふじみ野 0.92倍(0.66・0.70)
 熊谷女子 0.91倍(0.82・0.75)
 松山女子 0.91倍(0.97・0.91)
 川口青陵 0.89倍(1.09・1.12)
 秩父   0.89倍(0.91・0.94)
 深谷   0.85倍(0.81・0.86)
 桶川   0.83倍(0.83・0.84)
 松伏   0.77倍(0.92・1.16)
 桶川西  0.76倍(0.49・0.38)
 飯能   0.73倍(0.97・0.73)
 小川   0.72倍(1.00・0.84)
 北本   0.70倍(0.42・0.54)
 羽生第一 0.69倍(0.69・0.92)
 上尾鷹の台0.68倍(0.89・0.93)
 狭山清陵 0.68倍(0.68・0.95)
 久喜   0.67倍(0.85・0.87)
 松山   0.67倍(0.78・0.78)
 蓮田松韻 0.65倍(0.53・0.42)
 松伏   0.65倍(0.38・0.43) 
  (情報ビジネス)
 宮代   0.63倍(0.72・0.65)
 日高   0.61倍(0.60・0.69)
 富士見  0.61倍(0.67・0.69)
 白岡   0.58倍(0.64・0.66)
 鴻巣女子 0.53倍(0.58・0.99)
 川越初雁 0.53倍(0.63・0.61)
 新座   0.57倍(0.64・0.66)
 鶴ヶ島清風0.49倍(0.51・0.50)
 栗橋北彩 0.48倍(0.54・0.53)
 児玉   0.47倍(0.68・0.68)
 三郷   0.44倍(0.44・0.63)
 越生翔桜 0.41倍(0.53・0.72)
 上尾橘  0.36倍(0.30・0.41)
 日高   0.28倍(0.13・0.20)
  (情報コース)
 妻沼   0.28倍(0.45・0.56)
 
◆2倍超の高倍率校
 昨年同期は3倍超えが市立川越と川口市立の2校だったが、今回は川口市立のみ。市立川越はあと2人で3倍だった。
 2倍超えは市立浦和、上尾、越谷南、浦和西までは昨年と同じ。大宮が2倍台に復帰し、浦和南がやや下がり1倍台に。

◆学校選択問題実施校の動向
 再掲となるが、学校選択問題採用校に絞って倍率を見てみよう。

 川口市立 3.01倍(3.21・2.48)
 市立浦和 2.75倍(2.78・2.82)
 大宮   2.29倍(1.93・2.01)
 所沢   1.89倍(1.71・1.89)
 大宮北  1.86倍(1.80・1.69)
 越ケ谷  1.70倍(1.74・1.96)
 川口市立 1.66倍(1.88・1.84)
  (スポーツ科学)
 川越南  1.65倍(1.95・2.05)
 所沢北  1.55倍(1.53・1.48)
 和光国際 1.55倍(1.40・1.78)
 熊谷西  1.48倍(1.37・1.68)
 蕨    1.47倍(1.77・1.92)
 越谷北  1.42倍(1.43・1.41)
 不動岡  1.42倍(1.51・1.36)
 川越   1.39倍(1.52・1.49)
 川越女子 1.24倍(1.19・1.21)
ここまで普通科平均1.23倍以上
 春日部  1.19倍(1.26・1.18)
 浦和   1.10倍(1.50・1.36)
 浦和一女 1.08倍(1.25・1.21)
 川口北  1.04倍(1.38・1.40)
ここまで1倍以上
 熊谷   0.96倍(0.96・0.86)
 熊谷女子 0.91倍(0.82・0.75)

 浦和、浦和一女は第1回調査倍率としては過去最低。倍率だけで言えば浦和は普通科100校中50番目、浦和一女は52番目。
 川口北は1.04倍で3年前に逆戻り。
 熊谷、熊谷女子は定員を40人減らしたが、定員割れからの回復は成らなかった。
 川越女子は昨年同期、令和に入って最低を記録したが、やや持ち直した。 
 
◆倍率が大きく上がった学校 
 前年同期と比べて、倍率が大きく上がったのは次の学校である。

 大宮   1.93倍→2.29倍 +0.36
 北本   0.42倍→0.70倍 +0.28
 松伏   0.38倍→0.65倍 +0.28
  (情報ビジネス)
 桶川西  0.49倍→0.76倍 +0.27
 ふじみ野 0.66倍→0.92倍 +0.26
 大宮武蔵野0.79倍→1.04倍 +0.25
 大宮光陵 0.70倍→0.93倍 +0.23
 所沢   1.71倍→1.89倍 +0.18
 岩槻   1.20倍→1.37倍 +0.17
 新座柳瀬 0.76倍→0.92倍 +0.17
 庄和   0.90倍→1.06倍 +0.16
 和光国際 1.40倍→1.55倍 +0.15
 鷲宮   1.21倍→1.36倍 +0.15
 日高   0.13倍→0.28倍 +0.15
  (情報コース)
 
 前年同期から0.15ポイント以上の上昇が見られたのが上記14校である。
 最終的にどの程度の倍率に落ち着くかは分からないが、倍率が上昇していても1倍以下であれば競争は起こらない。したがって、これらを省くと大宮・所沢・岩槻・和光国際あたりが人気上昇校ないしは競争激化校と言えそうだ。
  
◆倍率が大きく下がった学校  
  前年同期と比べて、倍率が大きく下がったのは次の学校である。

 市立川越 3.56倍→2.99倍 -0.57
 八潮フロンティア
      1.38倍→0.96倍 -0.42
 志木   1.58倍→1.16倍 -0.41
 浦和   1.50倍→1.10倍 -0.40
 川口北  1.38倍→1.04倍 -0.34
 大宮光陵 1.37倍→1.04倍 -0.34
 浦和南  2.27倍→1.96倍 -0.31
 川越南  1.95倍→1.65倍 -0.30
 浦和東  1.56倍→1.26倍 -0.30
 蕨    1.77倍→1.47倍 -0.30

 前年同期から0.3ポイント以上の下落が見られたのが上記10校である。
 市立川越、浦和南などは大きく下がったと言っても引き続き高倍率である。
 浦和、川口北は本番に向けて上昇する可能性はあるが、これまでの傾向を見ると、第1回から実際の出願に向けてあまり大きく変化しないので、今年はこれまでにない低倍率で本番を迎える可能性が高い。

◆私立への流れが加速
 これまでも徐々に私立志向は高まっていたが、授業料無償化もあってか、私立希望者が大幅に増えている。

 全日制高校希望者6万583人のうち、県外希望者が4191人いる。これは前年同期の3734人より457人多い。千葉県など隣接県公立希望者もいるが、ほとんどは私立希望者である。
 
 県内私立希望者は1万1499人で、これは前年同期の1万82人よりも1417人多い。割合で言うと16.1%から18.5%と、2.4ポイント増えている。

 ここまで合わせると、県内及び県外の私立を希望している人がおよそ1900人いる。
 それに対し、県内公立希望者は3万9267人で、前年同期の4万1284人より2017人少ない。割合で言うと66.0%から63.1%と、2.9ポイント減っている。
 つまり、県内公立が2000人減って、県内外私立が1900人増えているということでほぼ帳尻が合っている。全体として倍率が下がるのは当然だ。
 やはり、授業料無償化は大きな後押し、強力な追い風になったということか。
  
 以上、取り急ぎ普通科倍率を中心とした報告である。
 引き続き専門学科等を含む分析結果等を掲載する予定である。