国賓として招かれたトランプ大統領。昨夜の宮中晩さん会スピーチで山上憶良(やまのうえのおくら)などに触れたと話題に。
むろん、こういうのは専属のスピーチライターが原稿を書いているのだが、ちょっとビックリ。
山上憶良は有名な歌人だが、百人一首にはその名がない。まあ、百人一首が歌集の最高峰というわけでもないので別に構わない。現代で言えば、芥川賞や直木賞とは縁のなかった有名作家(たとえば村上春樹)みたいな感じかな。
憶良と言えば貧窮問答歌。
憶良が好んだテーマは、自然や季節あるいは恋愛などではなく、現代で言うところの社会問題であるようだ。万葉の社会派歌人、山上憶良。
「憶良らは 今は罷(まか)らむ 子泣くらむ それその母も 吾(わ)を待つらむそ」
オクラ帰りま~す。いや、宴会の途中で帰るのは失礼なんだけど、子供が待ってるんですよ。あと、その子の母、つまり私のヨメもね。風呂に入れて寝かしつけるのが私の係って決まってるんで、申し訳ないけどお先に失礼しま~す。
こういう人、奈良時代からいたんだ。万葉のイクメンパパ、山上憶良。
「銀(しろがね)も 金(くがね)も玉も 何せむに まされる宝 子に如(し)かめやも」
銀も金も玉も、どんな宝ものだって子供にはかなわないよ。この世に子供以上の宝ものなんてあるものか。
そうそう。みんなそうやって親に育てられ、親になってまた同じ思いで子を育てているんだ。
「世の中を 憂しとやさしと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば」
ああ、世の中つらいな。生きて行くのが耐えがたい。いっそどこかに飛んで行ってしまいたいけど、鳥じゃないんだから無理だよな。
そうか、奈良時代もそうだったんだ。でもね、こんな辛い思いをしながらも、人間っていうのは生きて行かなくちゃいけないんだ。
はい、ということでトランプさん。憶良大先生のことを思い出させてくれて有難う。アメリカはまだ出来て250年ぐらいしか経っていないからピンとこないと思うけど、憶良大先生は1300年前の人なんだよ。1000年後の人々の心を打つなんてすごいことじゃないか。トランプさんも頑張って歴史にその名を刻んでくださいね。
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