令和9年度埼玉県公立入試では、40校が定員削減を行う(人数では1600人)。
では、こうした定員削減は志願者数や倍率にどう影響するのか、というのが今日のお題である。
もちろん、志願者数や倍率に影響を与えるのは定員の増減だけではない。だが、何らかの影響を与えることがあるのは過去の経験から確かに言えるだろう。
◆前年度、定員削減校の志願者・倍率はどう変わったか
まず、前年度(令和8年度)の例を見てみよう。
12校が1クラス(40人)ずつの定員削減を行った。
結果、志願者数と倍率は次のように変化した。
※数字の見方を北本の例で説明しておこう。
校名右側は定員の変化である。
(志)は出願者数(志願先変更後の確定数)の変化である。北本の場合、令和7年度96人だったが、令和8年度は113人に増えた。変化率はプラス17.7%である。
(率)は倍率で、令和7年度が0.61倍だが、令和8年度は0.96倍に上がっている。
【志願者、倍率ともに上昇 2校】
●北本 160人→120人
(志)96人→113人 +17.7%
(率)0.61→0.96
●桶川西 160人→120人
(志)100人→102人 +2%
(率)0.63→0.86
【倍率は上昇したが、志願者は減少 7校】
●熊谷 320人→280人
(志)335人→314人 -6.3%
(率)1.05→1.13
●熊谷女子320人→280人
(志)323人→313人 -3.1%
(率)1.02→1.13
●川越西 320人→280人
(志)328人→302人 -7.9%
(率)1.03→1.09
●蓮田松韻200人→160人
(志)158人→146人 -7.6%
(率)0.80→0.92
●ふじみ野160人→120人
(志)142人→108人 -23.9%
(率)0.90→0.92
●上尾橘 160人→120人
(志)62人→53人 -14.5%
(率)0.39→0.45
●小鹿野 120人→80人
(志)29人→27人 -6.9%
(率)0.24→0.34
【志願者、倍率ともに低下 3校】
●草加西 280人→240人
(志)314人→241人 -23.2%
(率)1.13→1.01
●大宮武蔵野240人→200人
(志)246人→197人 -19.9%
(率)1.03→0.99
●岩槻商業・商業80人→40人
(志)42人→23人 -45.2%
(率)0.53→0.59
倍率が上昇したのは12校中9校である。
このうち北本と桶川西の2校は志願者も増加している。ただし、定員割れ解消には至っていない。
他の7校は倍率こそ上昇しているものの志願者数自体は減らしている。蓮田松韻、ふじみ野・上尾橘・小鹿野は、定員割れ解消には至っていない。
志願者は減っていたり、増えたとしてもそれほどの人数ではないが、倍率を上げる効果だけはありそうだ。
◆今年(令和9年度)はどうなるか
さて、かつてない大規模な定員削減が実施される今年はどうなるか。
※数字の見方を春日部の例で説明しておこう。
校名右側は定員の変化である。
(前年実績)は8年度の出願者数(志願先変更後の確定数)と、倍率である。
(今年推定)は、9年度の出願者数(志願先変更後の確定数)が前年と同じだった場合の倍率を左側に、志願者数が5%減った場合の倍率を右側(~の後)に示した。春日部の場合、志願者数が前年と同じなら1.49倍、志願者が前年より5%減ったときは1.41倍になる。
なぜ5%減を計算したか。
令和9年度は中学校卒業予定者数が前年より2.74%減少する見込みだ。さらに、このところ全日制ではなく通信制を選ぶ生徒も増えている。加えて、授業料無償化の影響もあってか私立志向も強まっている。公立入試改革による調査書様式の変更や全員面接もどちらかというとマイナスに働きそうだ。そうすると志願者数が前年比5%減くらいなら、ほぼ前年並みと言って差し支えないだろうと考えたからだ(つまり理詰めではなく直感)。
【志願者前年並みなら倍率が上昇する学校】
●春日部 360人→320人
(前年実績)473人 1.32
(今年推定)1.49~1.41
●朝霞西 320人→280人
(前年実績)369人 1.16
(今年推定)1.33~1.30
●南稜 320人→280人
(前年実績)370人 1.16
(今年推定)1.33~1.26
●川口東 280人→240人
(前年実績)314人 1.13
(今年推定)1.32~1.25
●坂戸 320人→280人
(前年実績)366人 1.15
(今年推定)1.32~1.25
●大宮光陵200人→160人
(前年実績)203人 1.03
(今年推定)1.28~1.22
●川口 320人→280人
(前年実績)356人 1.12
(今年推定)1.28~1.22
●豊岡 320人→280人
(前年実績)338人 1.06
(今年推定)1.26~1.16
●鷲宮 280人→240人
(前年実績)301人 1.08
(今年推定)1.26~1.20
●本庄 320人→280人
(前年実績)347人 1.09
(今年推定)1.25~1.19
●所沢西 320人→280人
(前年実績)346人 1.09
(今年推定)1.24~1.18
●大宮南 360人→320人
(前年実績)386人 1.08
(今年推定)1.21~1.15
●浦和北 320人→280人
(前年実績)334人 1.05
(今年推定)1.20~1.14
●入間向陽320人→280人
(前年実績)332人 1.04
(今年推定)1.19~1.13
●川口北 360人→320人
(前年実績)374人 1.04
(今年推定)1.18~1.12
●草加東 320人→280人
(前年実績)329人 1.03
(今年推定)1.18~1.12
●春日部東320人→280人
(前年実績)323人 1.02
(今年推定)1.16~1.10
●所沢中央320人→280m人
(前年実績)322人 1.01
(今年推定)1.16~1.10
●与野 360人→320人
(前年実績)370人 1.03
(今年推定)1.16~1.11
●越谷西 320人→280人
(前年実績)320人 1.01
(今年推定)1.15~1.09
●浦和東 320人→280人
(前年実績)318人 1.00
(今年推定)1.14~1.09
●伊奈学園800人→760人
(前年実績)789人 1.10
(今年推定)1.04~0.99
【志願者前年並みなら1倍以上に復帰する学校】
●川口青陵280人→240人
(前年実績)277人 0.99
(今年推定)1.16~1.11
●幸手桜 200人→160人
(前年実績)181人 0.91
(今年推定)1.15~1.09
●草加 360人→320人
(前年実績)356人 0.99
(今年推定)1.12~1.06
●大宮東 240人→200人
(前年実績)219人 0.92
(今年推定)1.11~1.05
●桶川 280人→240人
(前年実績)265人 0.95
(今年推定)1.11~1.06
●松山女子320人→280人
(前年実績)309人 0.97
(今年推定)1.11~1.06
●狭山清陵200人→160人
(前年実績)174人 0.88
(今年推定)1.10~1.05
●鴻巣 200人→160人
(前年実績)172人 0.87
(今年推定)1.09~1.03
●坂戸西 320人→280人
(前年実績)302人 0.95
(今年推定)1.09~1.03
●川越初雁200人→160人
(前年実績)163人 0.82
(今年推定)1.03~0.98
●久喜 280人→240人
(前年実績)244人 0.88
(今年推定)1.03~0.97
●新座 200人→160人
(前年実績)162人 0.82
(今年推定)1.03~0.97
●熊谷商業・総合ビジネス200人→160人
(前年実績)161人 0.81
(今年推定)1.02~0.97
●久喜北陽320人→280人
(前年実績)283人 0.89
(今年推定)1.02~0.97
【志願者前年並みでは1倍を超えない学校】
●松山 280人→240人
(前年実績)226人 0.81
(今年推定)0.95~0.90
●深谷 200人→160人
(前年実績)149人 0.75
(今年推定)0.94~0.90
●三郷 200人→160人
(前年実績)123人 0.62
(今年推定)0.78~0.74
ここで扱っている倍率は、実際の出願時(志願先変更後)の倍率であって、第1回進路希望調査の倍率を予測するものではない。
春日部(1.49~1.41)は6年度に(1.50)があったので、ちょっと高めだがありえない数字ではない。
朝霞西(1.33~1.30)、南稜(1.33~1.26)、川口東(1.32~1.25)、坂戸(1.32~1.25)は1.3倍台の数字が出ているが、南稜を除けば、過去データからは1.1倍台が定位置だ。
大宮光陵(1.28~1.22)、川口(1.28~1.22)、豊岡(1.26~1.16)、鷲宮(1.26~1.20)、本庄(1.25~1.19)、所沢西(1.24~1.18)、大宮南(1.21~1.15)、浦和北(1.20~1.14)は、1.2倍台の数字も見えるが、鷲宮や本庄は直近5年間で1.2倍を超えたことはない。いずれも低い方の数字が実態に近いと考えられる。
入間向陽(1.19~1.13)、川口北(1.18~1.12)、草加東(1.18~1.12)、春日部東(1.16~1.10)、所沢中央(1.16~1.10)、与野(1.16~1.11)、越谷西(1.15~1.09)、浦和東(1.14~1.09)は、1.1倍台となっているが、いずれも前年度は1.1倍に届いていない。さらに入間向陽、川口北、草加東、春日部東、与野、浦和東は前年度、直近5年間での最低倍率を記録している。人気低迷の原因が解消していない場合は、定員減でも倍率は上昇せず、むしろ下がる可能性もある。
志願者前年並みなら1倍以上に復帰する学校が14校あがっているが、このうち前年度0.99倍であり、過去10年間で唯一の定員割れだった川口青陵(1.16~1.11)と草加(1.12~1.06)は定員削減の効果により復帰する可能性が高い。
以上だが、これは机上の計算である。実際の志願者数の増減や倍率の変化については、地域の事情に精通した塾の先生方の見通しのほうが正しいだろう。

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