これからは教員も兼業や副業をどんどんやったほうがいい。まあ実際のところ、本業で手いっぱいで、とてもじゃないが現業や副業どころの騒ぎじゃないと思うが。
 
 こんなニュースがあった。
 「育児漫画の出版ダメ 高校教員、兼業不許可巡り都を提訴」(5月30日 朝日新聞デジタル)
 まとめると。
1 都立高校教員が男性育児参加を促す漫画を出版しようとし、都教委に「兼業」を申請した
2 都教委は理由を示さず不許可とした
3 男性教員は都を相手取って取り消しを求める訴えを起こした

 ご本人は「パパ頭の日々のつぶやき」というブログを書いておられるが、そこにはこの件は書いてなかった。
 Twitterではほんの少し触れてあった。
 
 男性教員は30代、Twitterのフォロワーは8万4千人で、10万以上の「いいね」がついた作品もあったというから大したものだ。
 いっそ本業にしたらとも思うが、そうなると描きたいことを自由に描けなくなるので、そこは慎重に考えられたほうがいい。

 で、いったんこの話題から離れて一般論に戻そう。
 
 皆さんご存知のとおり、公務員の兼業は原則禁止されている(地方公務員法38条)。
 公立教員の場合、教育公務員特例法というのもあって、そこにもある。
 ただ、両者の条文に微妙な違いがあって、教育公務員特例法の方では、「本務の遂行に支障がないと任命権者(つまり教育委員会など)において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる」とある。

 なるほど。全面禁止ではないわけだ。
 許可があれば兼業・副業はしてもよろしい。

 となると、どんな場合が許可で、どんな場合が不許可であるかが問題になる。
 公務員には「信用失墜行為の禁止」、「秘密を守る義務」、「職務に専念する義務」があるから、これは最低限クリアできていなければならない。

 昨年、横浜市の中学校教員が副業で自転車による料理の配達(Uber eats確定だろ)をして140万円の収入を得ていたことが発覚し、停職6か月の懲戒処分を受けた。
 臨時休校中にも働いていたというが、在宅勤務しているわけだから職務専念義務違反だろう。信用失墜行為にあたるかもしれない。
 いずれにしても、こういうのはNG。

 本の執筆や講演活動。
 こういうのはいいんじゃないか(もちろん許可を得てだが)。
 微妙なのは、ブログとかYouTubeだね。収入を得ていなければ特段問題はないが、広告収入を得るということになると話が違ってくる。
 かける労力や時間はどっちも変わらんが、収入を得ているかどうかで判断が分かれる。

 さて。
 あれはNG、これはOKといちいち挙げている時間がないので、結論を急ごう。
 世は兼業・副業容認の時代である
 国の政策もそちらに向かっている。
 神戸市など地方自治体でもそのような動きがみられる。
 ANAのような大企業も、業績不振という事情もあるものの、他社と雇用契約を結ぶ形の副業を認める方向だ。

 これで働き過ぎになり過労死に至るようでは本末転倒だが、副業・兼業容認からさらには推奨というのがこれからの時代だろう。

 教員にとっても、いろいろな人と付き合って視野を広げるチャンスになる。

 副業・兼業はあくまでも従であって、主になる本業がヘボでは話にならん。
 が、これからの働き方の一つの形態にはなりそうだから、過去の常識にとらわれず考え直してみようか。