昨日(9月28日)、菅首相は19都道府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言と8県に適用中のまん延防止等重点措置について、30日で全面解除すると表明した。
宣言解除後の重点措置への移行も見送るということだ。
宣言と重点措置が全国のどこにも出ていない状況は4月4日以来、約半年ぶりだそうだ。
その間、オリンピックやパラリンピックもあったりして、すっかり忘れていたが、そんなになるんだ。
昨年の経験から、冬場にまた波が来そうだが、今回はワクチン接種が進んでいることもあって、それほど大きな波にはならないだろう。
というのは多分に希望が含まれている。
個人によって視点は様々だが、私の場合はどうしても入試のことが頭に浮かぶ。コロナの影響を受けずに、入試が滞りなく行われて欲しい。
また、その手前にある説明会や模試も順調に行われて欲しい。
2020年度(令和2年度)入試は、まだ感染状況もそれほどではなく、予定通り行われた。
2021年度(令和3年度)入試は、コロナの影響をまともに受けた1年だったが、入試そのものは、大きく変わることなく行われた。
こうしたことから、来るべき2022年度(令和4年度)入試も、予定通り行われるだろうと考えるのが妥当だ。
ただし、何が起こるか分からないのが世の中だから、あまり油断しない方がいい。
さて、ここから先は保護者向けである。
私はこのブログを主に、学校や塾の先生方を想定して書いてる。しかも埼玉県限定。きわめてニッチなところを狙っているのだ。
だが、最近のコメントや問い合わせ(いずれも非公開にしているが)には、保護者からのものも多いので、だから今回は保護者向けだ。
◆威力抜群「偏差値手形」
埼玉県に生まれ、埼玉県に育った人にとっては当然でも、他県から来た人には想像もつかないような仕組みで行われているのがわが県の高校入試だ。
その最たるものが、私立高校入試における「確約」だ。
同様なことが他の地域で全くないかと言えば、そんなことはないのだが、まあ埼玉県特有の仕組みと考えていいだろう。
この「確約」という仕組みは、高校側にとっては早期に生徒を確保することができ、受験生側にとっても早い段階で実質的な合格を手にするころができ、第一希望が公立である場合、安心してそれに臨むことができるというメリットがある。
ちょっと問題なのは、その材料として模試の偏差値が用いられることで、ここが埼玉県民以外からすると魔訶不思議なところである。
模試が合格可能性を測るものではなく、事実上の合格を手にするための手形になっている。
「偏差値手形」の威力は絶大なのであるが、かつて全国に先駆けて偏差値を追放したはずの埼玉県において、かくも幅をきかせているのは何とも皮肉な現象である。
が、この現象が一向に収まらないのは、これによって不利益を被っている人がいないからである。
というわけなので、仕組みそのものの是非はこのくらいにしておこう。
◆なぜ第一希望対策を優先しないのか
私が前々から気になっているのは、塾の指導などが私立で引っ張り過ぎになっている点だ。受験生・保護者の気持ちも私立に向かい過ぎ。
確約を取るために偏差値を上げる。
このことが最大の目標になっている。
私立が第一希望なら分かるが、公立第一希望の受験生までが確約のための偏差値上げに狂奔する。
これはちょっと変だ。
仮に公立が第一希望であるなら、時間とエネルギーの8割以上はそちらに投入すべきだ。私立は第二希望の位置づけだから残りの2割でいい。
また、順番的には第一希望の対策が先に来るべきで、第二希望の対策は後でいい。
これは、ごく普通の考え方だと思う。
まあ、実際にはそうしている人の方が多いはずだが、中には逆になっている人もいる。
そういう人への警告だ。
◆過去問6年分を2回やるのにどれだけかかる
この話は「よみうり進学メディア10月号(10月8日発行)」にも書いた。
仮に公立過去問集6年分を2回やるのにどれだけ時間がかかるか、である。
1日に1教科ずつやって行くと1年分が1週間で終わる。
土日は説明会用に空けておく。
6年分やるには6週間、つまり1か月半かかる。
1回では不安なので、二度目をやるとしたら、さらに1か月半。
合計で3か月かかる。
実際にはもっとペースを上げることは可能だし、二度目は一度目よりも早く終わるだろう。
が、それにしても2か月やそこらはかかるのだ。
上位校を狙うなら、いろいろな出題パターンに慣れるため、埼玉が終わったら他県の過去問もやったほうがいい。
そのために時間も計算に入れておく必要がある。
◆分からなかったら答えを見ればいいじゃないか
それなのに、である。
10月、11月になって、「そろそろ過去問を始めた方がいいですか」という質問が来る。
そろそろとは何だ。
本気で第一希望目指してるのか。
という話をすると、今やっても出来ない、自信がない、と来る。
だったら解説や解答を見ながらやればいいじゃないか。
最初は地図を見ながら目的地にたどり着くんだろう。
最初はレシピ見ながら料理するんだろう。
2回も繰り返せば、地図もレシピも必要なくなる。
当てずっぽうや思いつきの自己流じゃなくて、正しい方法を最初に知るのだ。
これが、ものごとの覚え方のセオリーというものだ。
知識の詰まっていない空っぽの頭でいくら考えても答えなんて出るわけない。
だから、さっさと答えを見ろ。
◆公立対策が手遅れにならないように
私は何も私立対策はどうでもいいと言っているわけではない。
私立がおさえという位置づけだったとしても、どうせならワンランク上を目指したほうがいい。
特待を狙いに行ってもいい。
それに、確約のための偏差値上げが目標だったとしても、やることはそんなに違わない。
つまり私立対策がそのまま公立対策につながる部分もある。
ただ、私立は3教科型、マークシート方式が主流なのに対し、公立は5教科型記述・論述あり、である。
私立対策だけは乗り切れず、別途公立対策は必要だ。
もし、まだであるなら、早く手がけたほうがいい。
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