知られていないのは存在しないのと同義である。
これ、マーケティングの世界では昔から言われてきたこと。
だから、募集に悩む学校には、まずは知名度・認知度を上げる努力をするべきだと言う。
知名度を考える時は、自分の感覚とお客の感覚には乖離があることを前提に、「自分が思っているほど知られていないかもしれない」あたりからスタートした方が無難だ。
自分が「70%ぐらいの人に知られている」と思ったとしたら、実際はそれを上回ることはあり得ず、50%がいいところだ。
知名度を上げるには、お客が目にし耳にする機会を増やせばいいから、看板を出す、新聞・テレビ等メディアに広告を出す、記事や番組に取り上げてもらうなどで接触回数を増やせばいい。
今ならSNSなども利用価値はある。
知名度と認知度は若干違っていて、認知度は知名度をもう一歩進めた形と考えればいいだろう。
学校の場合で言えば、名前を知っていると言ってもらえば知名度はクリアできている。
だが、「で、どんな学校なの?」と聞かれたときに何も答えられなければ認知度があるとは言えない。
実はここでつまずいている学校がかなりある。
と言うか、公立の中位以下の学校は、ほとんどそこの段階にある。
◆とりあえず見に来てくださいって、何言ってるのよ
こういう言い方する先生多い。
来てくれれば良さが分かる、って寝言言ってる場合か。
まずは中華料理の看板出して、「ギョーザのおいしいお店です」と言いふらして、それから食べに来てくださいだろう。
どんな学校ですとも言わないで、とにかく来てくださいじゃお客をなめてるとしか思えない。
お客(受験生・保護者)には学校を見に行かなきゃならない理由がある。
これは学校側にとって有利な状況だ。
普通の商売はこうはいかない。
どうしてもラーメンを食いに行かなきゃならない理由なんてないし、寿司食う理由もない。
そういうところで勝負している。
学校はその自覚はないと思うが、有利な状況に甘えているわけだ。
だから、「自家製です」「天然ものです」「産地直送です」というアピールが浮かんでこない。
◆選ぶ理由はこっちで作ってやる
ここ根本的に違っていると思うが、見に行く理由、受ける理由、入る理由は、お客じゃなく、こっち(学校側)が作るものだ。
面接で、どんな理由でこの学校を選びましたかと聞く。
これはまあ、お約束だからいい。
で、その時の受験生の答えは、全部こっちが提示したものだ。
そうじゃなきゃ困る。
勉強頑張らせようと思っている学校に、「部活に命かけます」って生徒が来たらどうするのよ。
うちの学校に入った方がいい理由をちゃんと作ってやってる?
私立はかなり強力にやっているが、公立は心許ないね。
今の状態だと、学費の心配さえなければ、みんな私立を選びたくなるよ。
そのうち私立は単願だけで定員がいっぱいになる。
それはそれで困る事なのだが、その話は別の機会にする。
◆そうは言っても、実績ないから
これもよく聞かれる。
進学や部活で集めようにも実績がない。
で、ここで大事なのは、現実の達成度(実績)がどの段階まで来たら、強烈にアピールすべきかだ。
達成度が100%になった時。
完全な実績を作ってからということだが、その瞬間は永久に訪れない。
達成度100%になるとしたら、そういう素材を集められた時であるから、現有の素材では無理。
ここで先生や生徒を素材という失礼な言い方をしているが、目をつぶってもらおう。
どこから見ても、誰が見ても、文句のつけようのない実績を作ってからなどと言っていると、人生終わるぞ。
達成度が10%か20%の時。
何らかの偶然で、この程度の達成度でも生徒が集まってしまうことがある。
ただし、危険も潜んでいる。
商品で言えば、開発途上で未完成部分も多いものを広告宣伝力や販売力で売ってしまう場合だ。
当然、お客に満足を与えられない。ばかりか会社そのものの信用を失ってしまう。
実績が出ないのは体制の不備もあるわけだから、そこに大ナタを振るってからでないと、ゼロからの出発でいいものがマイナスからの出発になってしまう。
達成度が50%前後になった時。
実績としてはまだまだ不満と思うが、実はこの段階こそちょうどいいタイミングだ。
ここまでの50%は手持ちの素材で実現したもの。
残りの50%は新しい、もっと優れた素材の力を借りないと達成できない。
だから、実績アピールはここしかないのだ。
私の見たところでは、50%あたりに線引きすれば、結構いい線行ってる学校はある。
なのに、「実績が…」と言っている。
適当なラインが40%なのか60%なのか、そのあたりは個々に判断してもらうとして、思い描いている達成度(実績)の半分くらいに達したら、アピールしていいし、むしろアピールするならそのタイミングしかないんだよと言っておこう。
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