文部科学省は5月18日、全国の公立小中高校を対象にした「令和3年度英語教育実施状況調査」の結果を公表した。
調査は昨年(2021年)12月1日時点。
新型コロナの影響で令和2年度は実施しておらず2年ぶりの調査であった。
中学3年で「英検3級」(中学卒業程度)以上の実力があるのは47.0%。
高校3年で「英検準2級」(高校中級程度)以上の実力があるのは46.1%。
この数字が高いのか低いのかわからないが、いずれも政府目標(50%)を下回っている。
中3で47.0%というのは、英検3級相当以上の取得者27.2%と、学校の成績などを基に教師の裁量で「相当の力がある」と判定された生徒19.8%との合算である。
同様に高3の46.1%は、準2級以上取得者31.2%と、教師の判断による生徒14.9%の合算である。
高校の学科別では普通科が59.4%に対し、英語・国際関係の学科92.8%、その他の専門学科17.6%と、それなりにうなづける結果となっている。
◆先生の取得率、低いな
資格の取得率がそのまま先生の実力とはならないだろうが、中学英語教師の場合、英検準1級相当以上の取得者が40.8%、高校英語教師の場合が74.9%。
中学の先生はかなり低いなという印象。
高校の先生はまずまずと思うが、想定は75%以上ということなので、僅かに及ばない。
新学習指導要領では「授業は英語で行うことを基本とする」としている。
昨年度は「半分以上を英語で授業している」とした中学が73.4%だった。
高校は新指導要領実施前ということもあり46.0%にとどまった。
今年度から高校も新指導要領がスタートしたので、次回調査でどうなるか注目しよう。
調査結果の分析では、生徒の英語力向上には、「教師の英語力」と「生徒の英語による言語活動時間」の二つが影響しており、「教師の英語使用割合」が高いほど「生徒の英語による言語活動時間」が多くなる傾向が見られたという。
まあ、当然だろう。
◆中学生、さいたま市が全国トップ
中学生の都道府県・政令都市別では、さいたま市が86.3%で全国トップだった。
1 さいたま市86.3%(81.9%)
2 福井県 85.8%(84.3%)
3 福岡市 66.0%(23.6%)
4 群馬県 60.9%(42.8%)
5 石川県 56.3%(41.2%)
数字は「取得者プラス教師判断」で、カッコ内は取得者のみ。
全国5位でも50%台であるから、全般的に低調であることが分かる。
なお、埼玉県は46.8%(31.0%)で全国平均をやや下回っている。
さいたま市では小中9年間を通したカリキュラム「グローバル・スタディ」を実施しており、こうした実践が高い数字となって表れているのかもしれない。
詳しくは、さいたま市教育委員会のサイトへ↓
新しい英語教育「グローバル・スタディ」
◆なぜ、これほどまでに英語に夢中?
世の中で必要なのは、英語よりむしろ国語や数学ではないかと思うが、国をあげて「英語!英語!」と大騒ぎしている。
たしかに国際交流や海外ビジネスが盛んになった今日、英語は必須のツールというのは分かる。
だが、日本人の大半は、日本で日本語を使って商売し、生活しているわけである。
これは、この先もそんなに変わらないのではないか。
「これからは英語」
たしかに、どんな能力も、無くて困ることはあっても、あって困るということはない。
だから学ぶのは大いに結構。
ただ、英語ができるようになって得をするのは日本人(本人)だけではない。
日本でビジネス展開したり、日本人にモノを買わせようとしているアメリカ企業にも大きなメリットがある。
もっと日本人に英語をやらせろと文部科学省や経済産業省に圧力をかけているのはアメリカなのではないか。
とまあ、これは昭和世代、戦後世代の被害妄想なのかもしれないが。
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