ほんの少し法律の話をしてみよう。
今日取り上げるのは「学校教育法施行規則第103条の2」というものである。
学校教育法施行規則
第103条の2
高等学校は、当該高等学校、全日制の課程、定時制の課程若しくは通信制の課程又は学科ごとに、次に掲げる方針を定め、公表するものとする。
一 高等学校学習指導要領に定めるところにより育成を目指す資質・能力に関する方針
二 教育課程の編成及び実施に関する方針
三 入学者の受入れに関する方針
高校の先生方にとっては常識であり、今さら解説の必要はない。
ただ、本ブログの読者の中には塾の先生も多い。
中学校の先生も若干いるようだ。
そういう方々には「高等学校は」で始まるこの条文は、知らなくてもいいものだ。
◆3つのポリシー
一「育成を目指す資質・能力に関する方針」はグラデュエーション・ポリシーである。
二「教育課程の編成及び実施に関する方針」はカリキュラムポリシーである。
三「入学者の受け入れに関する方針」はアドミッションポリシーである。
以上3つをまとめてスクールポリシーと言う。
これらは「公表するものとする」と法で定めているから、どこかで見られるはずだ。
では、どこにある?
ここだ。
ここに埼玉県県立高校のスクールポリシー一覧がある。
学校の活性化・特色化方針【県立学校魅力発信サイト】
一つ例を見てみよう。
右下に小さく、この内容が「学校教育法施行規則第103条の2」に基づくものであると書かれている。
小さくて読めない場合は、コチラへ↓
浦和高校スクールポリシー
この「学校の活性化・特色化方針」では、各校の3つのポリシーが公表されているのだ。
なお、アドミッションポリシーに関しては、来週あたり公表される「選抜基準」に、より詳しい内容が示される。
◆ホームページでの公表
法律(規則)では、公表を義務付けているが、公表の方法についての具体的な規定はない。
各学校は、学校案内パンフレットその他の紙媒体、あるいはホームページなど、様々な方法により公表し、周知徹底を図るべきだろう。
上記「学校の活性化・特色化方針」の場合、統一様式になっており、スペースに限りがある。
学校案内パンフレットなども紙数に限りがある。
その点、ホームページにはボリュームの制約がないので(少ないので)、ここにおいて3つのポリシーについての詳しい内容を掲載することが望まれる。
私は年がら年中各校のHPを見ているが、カリキュラムポリシーが明確でない学校も見受けられる。
せめて教育課程表(カリキュラム表)ぐらいは載せておいてくれと思う。
◆スクールミッション
スクールポリシーの前提となるのが、スクールミッションである。
私立の場合ではあれば、「建学の精神」がこれに当たるだろう。
ミッション(期待される社会的役割)があり、その下にポリシーがある。
埼玉県立高校の場合、「学校の活性化・特色化方針」の中に、「目指す学校像」という項目がある。
これが「スクールミッション」に相当するものと考えられるだろう。
いくつか見てみよう。
浦和「尚文昌武の理念のもと、時代の求めるリーダーの育成を目指す」
浦和一女「世界で活躍できる知性と教養、逞しさを備え、社会に貢献する高い志を持った魅力あるリーダーを育成する女子高校」
大宮「勉強と部活動等の両立の実践と自主自律の精神の涵養により、高い志と強い使命感を持った未来を創るトップリーダーを育てる学校」
まあ、そうだろうねと納得。
普通科ばかりでは面白くないので専門学科も見てみよう。
深谷商業「確かな学力と人間力を兼ね備え、渋沢栄一翁の教えに学び、地域へ貢献するとともに世界で活躍できる人財を育てる学校」
大宮工業「日本を支え、世界で活躍する人間性豊かなエンジニアの育成」
芸術総合「学芸を共に高め合い、芸術文化を担う人材を育成する高校」
これらもそれぞれ、なるほどと思う。
深谷商業の「渋沢栄一翁の教えに学び」というのがいいじゃないか。
これを言えるのは日本でこの学校くらいだろう。
◆ミッション、ポリシーはHPに掲載する
私立高校の場合、ホームページの「学校紹介」などのメニューの中に、建学の精神・校訓・教育理念・教育目標・教育方針が示されている。
ただ、中には、ただ箇条書きで、解説がない学校、あるいは極めて簡単な説明しか載っていない学校もある。
何のためのホームページか、と思う。
県内私立で3つのポリシーという形で表記している学校もある。
代表的なところを挙げておこう。
武南高校
開智未来
ミッションやポリシーは、学校が学校であることの存在証明みたいなものだ。
読まれようが、読まれまいが、こういうのはしっかり書いておいて欲しい。
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