大手電機メーカー・東芝が、社員が原則出社するというルールを撤廃する方針だという。
「東芝が原則出社を撤廃へ 遠距離勤務も試験導入」(TBS)
●対象となるのは国内グループ従業員約7万人のうち、テレワークが可能な約4万4000人。
●原則出社するルールを撤廃し、テレワークと組み合わせる「ハイブリッド勤務」に移行。
●すでにコロナ対策のため原則出社は求めておらず、コロナ終息後を見据えた施策。
●柔軟な働き方を認めることで、優秀な人材を獲得することや離職を防ぐことが狙い。
この手のニュースをもう一本。
「NTT、7月から原則テレワークに…居住地の制限なし・出社は『出張扱い』」(6月18日 読売新聞オンライン)
●社員の勤務を原則テレワークとする。
●本社やオフィスへの出社を「出張扱い」とし、交通費を支給する。航空機を利用した出社を可能にする。宿泊費も会社が負担する。
●自由に働ける環境を用意し、優秀な人材の確保につなげたい。
この両社よりもっと早かったのが富士通で、2020年にはテレワークを基本にした勤務制度への移行を進めていた。
つい最近、知り合いの富士通社員に聞いたら、最近1か月で会社(オフィス)に出社したのは1、2回だと言っていた。
もちろん自宅でオンラインによる社内外との打ち合わせや書類作成など通常業務を行っているから、暇ではない。
だが、今まで通勤往復に要していた2~3時間は自分の時間になったわけで、趣味や勉強や家事、それと子供と接する時間は大幅に増えたようである。
ここに取り上げた東芝、NTT、富士通。
これらの企業は、世の中にテレワークが普及することにより、ビジネスチャンスが拡大する可能性が高い。
だから自らが率先してテレワークを進める。
そういう意味合いもあるだろう。
が、そういった点を差し引いても、働き方の未来形であると考えていいだろう。
◆働き方が人材確保につながる時代
良い会社には優秀な人材が集まる。
昔からそうだった。
では良い会社とはどんな会社か。
業績が安定している。
将来性が見込まれる。
給料が高い。
休みが多い。
福利厚生が充実している。
今後はこれに「自由な働き方」が加わる。
満員電車で通勤しなくていい。
住む場所が縛られない。
仕事する場所も自由。
転勤もない。
ちなみに私は、「自由な働き方」については、すべて満たされている。
ただし、業績が不安定で、将来性がなく、給料が安く、休みがなく、福利厚生もゼロ。
が、それでも毎日がそれほど苦痛ではないのは、「自由な働き方」だけは確保できているからだろう。
「自由な働き方」の意味はそれほど重いということだ。
◆学校も働き方を変えなければ
学校はブラック職場なのだそうだ。
マスコミがあれだけ騒げば、そういう見方も広まるだろう。
たとえば、部活顧問の負担が槍玉に挙げられたのも、部活の民間移行をスムーズに進めるための下地づくりだったと思われる。
先生の負担を軽くするというのは表向きで、経済産業省が主導する民間スポーツ産業の振興が主たる狙いであろう。
何の前触れも無しに民間移行を口にしようものなら、「生徒の楽しみを奪うのか」とか「貴重な教育機会を奪うのか」といった反対論が噴出し、企業側の狙いが見透かされるところだった。マスコミを使い、学校部活の弊害や先生の過重負担を盛んに報道し、学校部活のあり方を変えたほうがいいのではないかという世論を形成しつつ、民間移行への道筋を付けたのは、なかなか上手いやり方だ。
まあ、これは「それって、あなたの感想ですよね(byひろゆき氏)」レベルの話と聞き流してもらうとして、「自由な働き方」が、職業選択や企業選択の重要なファクターに浮上してきたとすれば、学校としても優秀な人材確保のため、本腰を入れて働き方改革に取り組まなければならないのである。
◆働き方改革で好感度アップ
これからは、先生の働き方改革に積極的に取り組んでいる学校の好感度は高まる。
と、私は予想する。
はるか以前から「顧客満足(customer satisfaction)」に対し、「従業員満足(employee satisfaction)」という言い方はあった。
顧客満足度を上げることが、企業業績の向上に繋がると考えられてきたが、それだけだと従業員のモチベーションが下がり、かえって業務効率が低下する。そこで、従業員の満足度を向上させた方が、士気高まり、顧客満足も向上し業績が上がると考えられるようになった。
学校に置き換えれば、生徒・保護者満足を高めるための先生満足の極大化ということである。
先生方が疲弊しきった状態で、果たして生徒・保護者満足が実現できるだろうか。
結局、その「つけ」は生徒・保護者に回って来るのではないか。
だから、生徒・保護者のためにも、先生方が常に心身とも健康な状態を保つべきなのである。
そのための働き方改革を、誇りを持って進めるべきなのである。
その方が、好感度はアップするだろう。
◆教員根性との闘い
「児童生徒のためなら、己を顧みず、とことんやる」。
これ、良く言えば「先生魂」、ちょっと悪く言えば「先生根性」。
私の交友範囲には、こんな連中が多い。
おまえら、いつ休んでんだ。
しかしながら、世はサスティナビリティの時代だ。
これについてはいずれまた書くつもりだが、持続可能性が求められている時代なのだ。
病んだらだめだ。倒れてはいけない。続けるのだ。
だから、働き方を改革する。
「とことんやる」を持続するための改革だ。
◆DXで時間を生み出す
最近繰り返し言っているDX、あるいは教育DX。
これが個別最適化された学びを目指すものであることはすでに述べた。
と同時に、DXはIT技術を駆使し、業務改善を目指すものでもある。
新しい時間、そして自由な時間を創造してこそのDXである。
移行期において一時的に業務量が増えることはあるかもしれないが、最終的には無駄な業務が減り、あるいは時間短縮され、新たな自由な時間が生み出され、それを児童生徒のため、自分や家族のために使えるようにする。
近頃流行だからDXを使っているが、この用語にこだわる必要はない。
要は働き方改革、授業改革を進めればいいのだ。
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