都立工業高校の名称が、来週から工科高校に変更される。
はたしてどれほどの効果があるか。
ニュースはこちら。
就職は引っ張りだこなのに定員割れ…工業高校、都立は来春「工科高校」に変更
東京都教育委員会の発表はこちら。
都立工業高等学校の名称変更について
東京はさておき、埼玉特化ブログなので埼玉の状況を見てみる。
工業に関する学科を持つ学校は次の14校である。
浦和工業
大宮工業
春日部工業
川口工業
川越工業
久喜工業
熊谷工業
越谷総合技術
児玉
狭山工業
進修館
秩父農工科学
新座総合技術
三郷工業技術
校名に「工業」が付く9校は工業系学科のみの学校である。
それ以外の5校は、
越谷総合技術(工業+商業+家庭)
新座総合技術(工業+商業+家庭)
秩父農工科学(工業+農業+家庭)
児玉(工業+農業+普通)
進修館(工業+総合)
と、複数学科を擁する複合型の学校である。
もし埼玉県で東京都同じようなことをすると、
浦和工科
大宮工科
春日部工科
川口工科
川越工科
久喜工科
熊谷工科
狭山工科
と、こんな感じになる。
なお、浦和工業と大宮工業は統合が決まっており、いずれ新校名となるだろう。
令和4年度入試の状況を見ておこう。
欠員補充を行わなかった学科、すなわち定員を満たした学科は太字で表記した。
浦和工業 電気科
機械科
設備システム科
情報技術科
大宮工業 機械科
電気科
建築科
電子機械科
春日部工業 機械科
建築科
電気科
川口工業 機械科
電気科
情報通信科
川越工業 デザイン科
建築科
機械科
電気科
化学科
久喜工業 電気科
工業化学科
機械科
環境科学科
情報技術科
熊谷工業 電気科
建築科
土木科
機械科
情報技術科
越谷総合技術 電子機械科
情報技術科
児玉白楊 機械科
電子機械科
狭山工業 機械科
電気科
電子機械科
進修館 電気システム科
情報メディア科
ものづくり科
秩父農工科学 電気システム科
機械システム科
新座総合技術 電子機械科
情報技術科
デザイン科
三郷工業技術 機械科
電子機械科
電気科
情報技術科
情報電子科
14校すべてにあるのが機械科と電気科である。
機械科で定員を満たしたのは春日部工業、川越工業、久喜工業の3校である(3/14)。
電気科で定員を満たしたのは、川越工業のみであるが、秩父農工科学の電気システムを加えれば2校である(2/14)。
工業高校の二大学科である機械科と電気科の人気が低迷していることが分かる。
情報技術科は6校にある。
川口工業の「情報通信科」や進修館の「情報メディア科」もここに加えれば8校にある。
浦和工業、久喜工業、熊谷工業、越谷総合技術、新座総合技術、三郷工業技術、川口工業、進修館のうち、久喜工業以外は定員を満たしている。久喜工業も(39/40)と、欠員は僅か1人である。
情報技術はまずまずの人気を保っていることが分かる。
電子機械科は5校にある。
三郷工業技術の「情報電子科」もここに加えれば6校にある。
大宮工業、越谷総合技術、児玉白楊、狭山工業、新座総合技術、三郷工業技術のうち、越谷総合技術、児玉白楊、三郷工業技術の3校は定員を満たしており、大宮工業が欠員募集3人、狭山工業が同15人、新座総合技術が同8人となっている。
情報技術ほどではないが、そこそこの人気は保っている。
こうした状況を考えると、工業を工科に変える以前に、時代に合わせた学科再編が必要だと分かる。
東京の場合も同じだろう。
日本で一番難しい工業系大学は、東京工業大学であって東京工科大学ではないのである。
工科>工業というわけでもないだおる。
ただ、工学と科学を合わせて工科というのは決して悪くはない。
科学技術というのもいいかもしれない。
秩父農工科学ではなく秩父科学技術、三郷工業技術ではなく三郷科学技術という感じ。
工業高校というと、まだまだ男子のイメージが強いので、共学イメージを強力に打ち出すことも必要だ。
女子受けを狙った学科新設や改編・改称も必要だ。
建築ではなく建築デザインとするだけで女子の目をひくだろう。
就職が心配ないのは分かったが、将来的に学歴を心配している人も多い。
やっぱり大学ぐらいは出ておいた方がいいんじゃないか。
そのためには普通科の方が有利なんじゃないか。
そう考える人は多い。
だから、工業高校から工業大学あるいは大学工学部への道が開けていることを強くアピールする必要もある。
今の時代、いったん就職してから大学に入り直す人もいるし、中卒や高卒で大学院に進む人もいる。
15歳の選択で一生が固定化されてしまうわけでもない。
ちょうど今、中学生向けに専門学科に関する記事を書いているところだが、その中で言っているのは「技術と資格は未来を切り拓く武器である」ということだ。
素手で戦っても勝ち目はないぞ。
専門学科に入って強力な武器を身に付けよう。
大人になってからようやく気づいて、あわてて資格や技術を身に付けようとする人が何と多いことか。
専門技術や資格は、目先の就職のためというだけでなく、将来を生き抜くためにこそ必要なのだ。
専門高校(学科)に進むことは、選択肢を狭めると考えている人が多いが、むしろ選択肢は広がるかもしれないのだ。
このあたりのアピールが足りていないように見える。
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