高校生のスシローでの迷惑行為問題が話題になっている。
 まあ本人自ら動画を流してしまったのだから仕方ない。

 たぶん、仲間内で「やってやったぜ」と自慢していたのだろう。
 それが目的だったのだろう。
 まさかここまで大事になるとは思っていなかったはずだ。

 あわてて謝罪に行ったが、スシロー側は「刑事・民事の両面から厳正に対処する」と厳しかった。
 実際の被害をどのように見積もっているかは分からないが、スシローにだって社員やその家族もいるわけだし、「相手は子供だから」と甘い態度を見せるわけにもいかなかったのだろう。
 それに、法的措置を取ると明らかにすることで、模倣犯を防ぐ抑止効果を狙ったとも考えられる。

 この件を刑事事件ととらえれば、おそらく威力業務妨害罪や器物損壊罪が該当するのだろうが、せいぜい50万円以下の罰金という程度かと思われる。
 民事の方は、スシロー側が民事訴訟を起こし損害賠償請求をする形になると思うが、スシロー側がどこまで本気でやるかだ。
 瞬間的に株価が大幅下落したという話も伝わっている。
 一部マスコミは面白がって損害額百数十億円などと報じている。
 しかし、株価が下がって直接被害を受けるのは株主であって会社ではない。
 
 この行為によって、どれだけの被害額になったのかは算定が難しいが、素人的には大した金額にならないだろうと思う。
 数千万や億の損害賠償を求めても、取れそうな相手には見えない。
 だったら、そこそこの金額を提示し、和解が落としどころだろう。
 それよりも、これを機にオペレーションを改善し、常連客はもとより新たな顧客層を開拓したほうがよほど得策だ。

◆仲間の外にある本当の世界
 それにしても困ったガキだ。
 工業高校生のようだ。
 これで、まともな就職はできなくなった。
 なにせ自ら顔を晒し、それが拡散され、名前もほぼ確定されてしまったのだ。
 もっとも、この程度の頭脳と精神性では、元々就職といっても高が知れていたとは思うが。

 中高生にとって、世界と仲間内は同じ意味を持つ。
 彼らにとって仲間こそが世界である。
 SNSは仲間とつながる手段であってそれ以上のものではない。

 まさかその先に本物の世界があるとは想像すらしてこなかった。
 この子も、今回の件で仲間内だけが世界ではないことをちょっとは思い知っただろう。
 それにしても代償はあまりにも大きかった。

 かれらが成長の過程で、うちらの仲間やうちのクラス、また、少し広めに見積もってうちの学校が世界そのものと思い込むのはやむを得ないところだ。
 少しずつ世界というものの概念を広げてもらうしかない。
 世界を見ろと言われれば、一応は見るフリはするが、心は仲間にある。

 大人になると少しは改善されるが、それでもいいとこ世間の評価。
 上司や仲間の評価、社内の評価、取引先の評価、ご近所の評価。
 要するに半径数キロの肉眼で見える範囲が世界であり、これで一生暮らしていける。

 が、現代の恐ろしいところは、ネットを通じて、無関係の見ず知らずの人々と繋がってしまうことだ。
 今回の件にしたって、直接被害を受けたわけでもない有象無象が大騒ぎしているではないか。
 ひと昔前なら、せいぜいが地元での評判を落とすくらいで済んだ。
 だから、どこかよその土地でやり直すこともできたかもしれない。

 だが今は違う。
 ネットの世界において、「世のなかをなめくさって醤油瓶をなめたやつ」として刻印される。
 これは何十万、何百万の賠償金を払ったところで消えるものではない。
 「さすがにそれはヤバいぞ」と制止する仲間がいなかったことが悔やまれる。

 さてと、今日は2月3日、恵方巻でも食うとするか。