私立高校の生徒募集は難しい。定員を割ってはいけないし、かと言って集め過ぎてもいけない。
公立は定員を割ってもただちに学校経営に影響することはないが、私立の場合は経営に直結する。
少し多めにとろうとするのが一般的だが、見通しを誤ってとりすぎてしまうと、助成金が削減されたりして、これまた経営に直結する。
公立の募集が木刀か竹刀で戦っているとすれば、私立の募集は真剣勝負だ。
失敗したら怪我じゃ済まない。命に関わる。
少し前だが、こんなニュースがあった。
「小松大谷高の一般入試、7割不合格 推薦増で「狭き門」に、「本命」の公立受験に影響」(北国新聞 2月10日)
石川県の私立、小松大谷高校で、推薦合格者をとりすぎてしまったため、一般募集の残り枠が少なくなり大量の不合格者を出してしまったというニュース。
高校入試制度は都道府県ごと異なるので、そのまま埼玉に当てはまるわけではないが、一部の私立ではすでに「とりすぎ問題」が現実化しており、他人事では片づけられない。
大さっぱに言えば「公立が第一志望で県内私立は滑り止め」というのが埼玉県の高校入試シーンの一般的な姿だったが、こうした言わば「昭和・平成モデル」はすでに賞味期限切れを迎えており、新たなモデルの構築が迫られている。
が、その話はまた別の機会としよう。
本日お伝えするデータは、公立の不合格者輩出校ベストテンだ。
倍率だけでは分かりにくい数字なので、簡単にまとめてみた。
志願先変更後の確定データで見ているので、志願取消があったり、入学許可予定者以上に合格を出したりした場合は、やや数字が違ってくる。
【推定される不合格者数】
【150人以上】
川口市立 348人
市立浦和 288人
大宮 206人
浦和 197人
伊奈学園 172人
浦和西 162人
※川口市立は「普通+スポーツ科学+理数」、大宮は「普通+理数」
【100人以上】
川越南 147人
浦和南 146人
越谷南 148人
川越 144人
越ヶ谷 138人
浦和北 130人
川越女子 129人
浦和一女 124人
所沢 122人
所沢北 121人
蕨 121人
和光国際 117人
春日部 110人
不動岡 109人
川口北 101人
※越谷南は「普通+外国語」、蕨は「普通+外国語」、和光国際は「普通+外国語」、所沢北は「普通+理数」
【50人以上】
南稜 98人
越谷北 93人
上尾 81人
豊岡 74人
浦和東 71人
大宮南 67人
岩槻 65人
市立川越 64人
与野 59人
大宮北 59人
川口 56人
草加東 50人
※南稜は「普通+外国語」、越谷北は「普通+理数」、上尾は「普通+商業」、岩槻は「普通+国際文化」、市立川越は「普通+国際経済+情報処理」、大宮北は「普通+理数」
【その他】
坂戸 48人
熊谷 40人
熊谷女子 40人
熊谷西 37人
※坂戸は「普通+外国語」、熊谷西「普通+理数」
県内私立の多くが併願推薦という方式を取り入れている。
公立を第一希望とし、合格すれば公立へ、不合格なら私立へというシステムだ。
近年、公立上位校に受験生が集中する傾向が顕著になっているため、これらの学校の併願校と考えられている学校には一定数の併願入学者が期待できる。
だが、中堅以下校はさほど倍率が出ず、それほど多くの不合格者が出ないので、それらの学校の併願校と考えられている学校では併願入学者が期待できない。
「昭和・平成モデル」では、単願である程度の数(量)を確保し、併願で学力上位生(質)を担保するといった募集戦略が成功を収めたが、再考すべき時期が来ていると言えるだろう。
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