休日にもかかわらず某塾長からLINEが届いた。
 「県立○○高校から塾説案内が届いたんですけど、これって行かせてもらっていいんでしょうか?」

 なになに、言ってる意味が分からんぞ。
 順を追って説明してくれ。

 「まず塾名の漢字が違っていました。でも、うちはよく間違えられるんで、それはいいです」
 なるほど。それで。

 「切手が封筒からはみ出して貼ってありました」

 たしかに。明らかに貼る位置が違っておるな。
 で、それだけじゃない?

 「中身の案内状がA3サイズだったのには驚きましたが、これはこれでインパクトがあるのでいいとして、折り目がかなりずれていました」

 切手の貼り位置にしても、内容物の折り方にしても、「テキトーにやった感」が溢れておる。
 それとも、相当に急いでいたのか。

 で、何が言いたい?

 「先生がお忙しい中してくださったのだし、多少雑になってしまうのは仕方ないとは思います」

 そういう受け取り方か。優しいな。

 「ただ、あまり歓迎されていないのかなと、少し不安な気持ちになりました」

 不幸の手紙というのは聞いたことがあるが、不安の手紙が届いたってことか。
 で結局、行くの、行かないの?

 「公立高校に行ける貴重な機会なので、できれば行きたいです。私立は何度も足を運んでいるので生徒に聞かれたらいろいろ説明できるし、自信を持って薦められます。でも公立は情報が少ないので偏差値的に大丈夫とか無理とかしか言えません。それに自分自身一歩も足を踏み入れたことのない学校を生徒に薦めるのは不安です。だから、こういう貴重な機会を作ってくれたことには感謝の気持ちしかありません」

 あくまでも優しいな。
 私なら、直ちにテメエらどういう料簡してるんだと抗議の電話をかけるところだ。

 私立の場合だと発送件数が桁違いに多いので、こうした郵送物の発送は外部委託することも多い。
 公立はそこまで件数も多くないし、予算も無い。
 どうしたって先生の手作業にならざるを得ない。
 そのあたりは塾の先生も承知しているから、多少の不手際は許容できるだろう。

 が、それにしてもこの「やっつけ仕事感」はいただけない。

 私もはるか昔、そっち側(公立高校)にいたので分かるが、公立が塾説明会を開いたり塾訪問するのは相当に難しいのである。
 そこまでやる必要はない。
 そういう意見が必ず出て来る。

 私立にとって定員確保は最優先課題と言っていいが、公立にはそこまでの考えはない。
 どちらが正しいかの問題ではなく、組織の性格や担うべき役割の違いであろう。
 よって、生徒募集に関しては最低限のことをやればよく、塾説明会などはそれを越えるものであるという考え方があってもいいと思う。

 そんな中、塾説明会の実施に踏み切ったのは、学校側のやる気と本気をアピールするには十分だったはずだ。
 ただ、ややツメが甘かった。

 今回紹介した杜撰な案内がすべてではないだろう。
 たった一つの偶然かもしれない。
 それにしても、もうちょっと細かな配慮が欲しかった。
 送る側からは数ある中の1通であるが、受ける側はこの1通がすべてなのだ。