なんだ、まだやってないのか。その話したのは先週だろう。教員を辞め、サラリーマンをやっていた頃、会社でよく言われた。
 土日は休みの会社なのだが、たとえば木曜日とか金曜日に「こういう企画考えておくように」と言われる。「はい、分かりました」。

 月曜日。
 「あの話、どうなった」
 「えっ、何の話でしたか?」
 「寝ぼけたこと言ってんじゃないよ。先週言っただろう」
 「あっ、あれならまだですけど」
 「この野郎、言われたことはすぐやれよ。1週間前だぞ」

 たしかに先週ではあるけど、土日を除けば昨日の話でしょう。どこが1週間前なんですか。こっちだって通常業務があるわけだし、昨日の今日で企画書なんかできませんよ。
 などと口に出して言えば修羅場となるのは目に見えているから、「分かりました。すぐやります」となり、徹夜をする羽目になる。
 要は土日も働けということなんだね。

 昭和はこういうのが普通で、平成にも引き継がれたが、まだ続くんですかね。

 「今週末に原稿入れてもらいたいんですけど、無理なら週明けでもいいです」
 それって、土日にやれってことだろうが。
 まあ仕事をいただいている立場だから、結局は言われたとおりにするしかないけどね。

 もちろん、いざとなれば夜でも休日でもやるときはやるのだが、最初からそれを当てにした仕事の仕方とは訣別しよう。そう決めた。
 私のように個人で仕事をしている、いわばフリーランスみたいな者は、自分で決心するしかないのだ。
 今、ついつい「土日にやればいいや」となってしまう自分と戦っている。
 まだ、この戦いでは敗れることの方が多いが、ときどき勝利を収めることもある。少しずつ平日の生産性が向上してきたのかもしれない。