先行者利益、または先発優位。これはマーケティングの世界で用いられる用語で、新たな市場にいち早く参入したり、新製品をいち早く発売したりすることにより得られるメリットのことである。
この反対に後発優位というのもあるわけだが、だいたいにおいて先発優位であって、学校にもそれが当てはまるのではないかと思い、作ってみたのが次の一覧表だ。
今回は、昨日からの流れで、埼玉県私立中学校についてだ。
青字は男子校、赤字は女子校、黒字が共学校である。
上記27校は平成になって設立された学校であり、昭和時代設立の浦和ルーテル学院・自由の森学園・秀明・聖望学園は除いてある。
企業であれば、売上高であるとか、市場シェアであるとか、分かりやすい指標があるわけだが、学校は何で比較するかがなかなか難しい。
比較可能な数値としては志願者数、受験者数、入学者数などがあるわけだが、今回は、募集人員に対しどれだけの入学者が得られたか。(入学予定者数÷募集人員=定員充足率)で見てみる。
仮説。
先発優位の原則が当てはまるとすれば、設立年の古い学校ほど募集活動を有利に展開し、多くの入学者を集められているはずである。よって定員充足率が高いはずである。
なお、使用データは平成31年3月時点の中高協会及び県学事課のデータを用いているので、実際の入学者とは若干のずれがある。また、学校によっては政策的に入学者数を抑制している場合もあるので、その点は注意が必要だ。
では、定員充足率の順に並べ替えてみよう。
結論。
きれいに年数順というわけには行かないが、設立年代が古い学校ほど定員充足率が高く、新しい学校ほど充足率が低いと言えるのではないか。
設立から10年以内の学校には定員充足率が50%以下の学校が多い中、9年目の昌平が第2位に躍進している。募集人員が80人と少ないため充足率が高めに出ているが、仮に120人募集であっても定員を満たせるほどの生徒数を確保している。14年目の大宮開成も並みいる先輩校を押しのけてトップに立っている。この2校に勢いがあることは、埼玉の教育関係者であれば皆知るところだが、こうした数値からも裏付けられる。
定員充足率が50%達していない8校のうち埼玉平成を除く7校は、設立から10年以内の学校である。先発優位が立証されたかに見えるが、昌平のケースもあり、これが正に後発有利を生かした典型的な例ではないだろうか。
まだ戦いは始まったばかりだ。後発校の奮起を期待したい。
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