進路希望調査がらみを連投中。今回は、「公立希望者は確実に減っている。では、その分どこが増えているの?」がテーマである。
ではまず、第2回進路希望調査(12月15日現在)でそのことを確認しておこう。
▼公立全日制希望者の割合(第2回調査)
21年 73.4%
22年 71.5%
23年 71.2%
24年 72.4%
25年 72.0%
26年 71.8%
27年 72.4%
28年 71.9%
29年 70.1%
30年 69.3%
01年 67.3%
調査時期が現在と同じになったのが平成16年で、それ以後の最高値が21年の73.4%だ。ちなみにその年度の中学校卒業予定者数は6万8150人。今年(6万3095人)より5050人多かった。
以後71~72%で推移し、30年に初めて70%を割った。そして、今回はさらに2%下がり67.3%となった。
1%は僅かな数字だが、母数をざっくり6万人と考えれば、その1%は600人であり学校1つか2つ分に相当するのであるから、無視できない数字なのである。
どこかが減ればどこかが増えているわけで、では増えたのはどこかを調べてみよう。面倒なので最初と最後だけ(21年と令和元年)。
▼県内私立希望者の割合
21年 13.4%
02年 17.0%
増加要因として私立中学校の増加もある。
▼県外私立希望者の割合
21年 6.5%
02年 7.4%
県外私立希望者は17年以前では8%を超えていたので、以前に戻りつつあると言ったほうがいいかもしれない。
そして、最近の傾向として見逃せないのは通信制課程だ。
▼通信制課程希望者の割合
21年 0.9%
02年 3.1%
2年前からグッと伸びた。
以上の数字は、第2回進路希望調査(12月15日現在)の時点を見ているので、実際の進学結果とは異なるわけだが、志向の変化は確かにあるようだ。
個人的には、埼玉県内私立の状況が気になるわけである。私立にとって最大の壁であった学費格差が徐々に縮小の方向に向かっているから、希望者は増加に向かうであろうことは容易に想像がつく。
では、どのくらい増えているか。
新聞紙上では公立の希望状況のみが掲載されているが、元の資料を当たれば私立希望者の状況も分かる。
第2回調査における私立高校希望者数を見てみる。統計表中の第4表である。注意が必要なのは中高一貫校の場合、付属中学校生(内進生)の数字も含まれている点だ。
そこで今回は、下に中学校を持たない高校単独校の数字を見て行くことにする。調査時期から考えて、単願希望者とほぼ一致するだろう。
▼私立高校希望者数(第2回調査) ※左が前年同期、右が今回(第2回調査)
秋草学園 50人→53人 +
浦和学院 344人→372人 +
浦和麗明 146人→219人 + ※50.0%増
叡明 278人→246人
川越東 257人→198人
栄北 166人→182人 +
秀明英光 118人→156人 +
正智深谷 194人→220人 +
花咲徳栄 277人→329人 +
東野 127人→83人
武蔵越生 209人→233人 +
山村学園 231人→181人
山村国際 232人→128人
ここに取り上げた13校中、8校が増、5校が減となっているので、全体としては増加基調と見て良さそうだ。
増加率がもっとも高いのは浦和麗明の50%増。次いで秀明英光の32.2%、花咲徳栄の18.8%増、正智深谷の13.4%増などとなっている。逆に減少しているのは山村国際の44.8%減、東野の34.6%減、川越東の23%減、山村学園の21.7%減などだ。
私立の場合、推薦基準を上げるなどして、あえて入学者の抑制をはかる場合がある。大幅な定員超過が続くと助成金カットというペナルティが科せられるし、教員や教室が不足するなど教育環境の悪化が懸念されるからだ。
希望者数の減少が意図したもの、すなわち政策的なものなのか、あるいは募集の失敗や人気低下によるものなのかは注意深く見て行く必要がある。山村国際の44.8減などは過去2年間の大幅な定員超過を調整するため、抑制策をとったからではないか。
中高一貫校については、統計上の希望者数の中に、いわゆる内進生が含まれているので、高入生の純増・純減を知るには引き算をする必要がある。
データが不安定なので詳細は後日とするが、ざっと計算したところ、一貫校27校(浦和ルーテル・浦和明の星女子・立教新座・細田学園を除く)のうち、純増が栄東・開智・大宮開成・星野など19校、純減が8校となっている。ただ、こちらも募集政策に左右されるという点では高校単独校と同じなので、表面的な数字だけで判断するわけにはいかない。
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