昨日(6月11日)、東京都教育委員会から「中学校等の臨時休業の実施等を踏まえた令和3年度東京都立高等学校入学者選抜等における配慮事項について」という文書が発表された。
 5月13日に文部科学省から出された「中学校等の臨時休業の実施等を踏まえた令和3年度高等学校入学 者選抜等における配慮事項について(通知)」を受けたものである。

 注目されていた出題範囲から除外される内容は次のとおりである。

 国語 中学3年生の教科書で学習する漢字
 数学 中学3年生で学習する内容のうち、次に挙げる内容
    〇 三平方の定理
    〇 標本調査
 英語 関係代名詞のうち、主格のthat、which、who及び目的格のthat、whichの制限的用法
    ※ 同様の働きをもつ接触節も出題しない。
 社会 公民的分野のうち、次に挙げる内容
    〇 『私たちと経済』の「国民の生活と政府の役割」
    〇 『私たちと国際社会の諸課題』
 理科 各分野のうち、次に挙げる内容
    〇 第1分野
    ・ 『運動とエネルギー』の「力学的エネルギー」
    ・ 『科学技術と人間』
    〇 第2分野
    ・ 『地球と宇宙』の「太陽系と恒星」
    ・ 『自然と人間』

 塾や中学校の先生が事前に予想していた内容とほぼ一致するのではないか。
 まだ発表のない他県もこれに近い内容になるはずだ。

 中3生に伝えなければならないのは、入試の出題範囲から除外するというだけで、学習しなくていいと言っているわけではないということだ。
 授業ではやるのだ。とすれば、定期考査にも出るだろう。
 高校入学後の授業も、やった前提で進められるだろう。
 
 そうでなければ、夏休みを短縮してまで、場合によっては土曜授業まで行う意味がなくなる。

 もう一つ中3生に伝えなければならないのは、範囲が狭まったからといって、入試が易しくなるわけではないということだ。
 範囲が狭まっても、一気に平均点が上がることはない。
 より深く、細かい内容を問うとか、選択肢を増やすとか、記号選択式を記述式に変えれば、難易度はすぐ上げられる。

 この2点は絶対に伝えなければなるまい。

◆私立高校の対応は
 私立学校は直接に文部科学省や都道府県教育委員会の管轄下にあるわけではない。
 出題等への配慮は、あくまでも「お願い」に止まる。
 近隣の公立に準じた範囲や内容にするか、独自路線を貫くかは学校判断だ。
 が、いずれにしても、判断に迷い決定・発表が遅れればその分だけ不利な戦いが強いられるだろう。

※6月13日追記
 高田埼玉県教育長は12日の定例記者会見で、出題範囲について「7月の頭の方で方でお知らせしたい」と述べている。
 会見の内容は、「埼玉新聞ニュース」へ。

※7月7日追記
 東京都教育委員会は7月3日、出題範囲に関する生徒向けリーフレットを発表した。
 中学3年生・保護者の皆さんへ「令和3年度都立高校入試における出題範囲等について」