今年は例年にも増して「安心」がキーワードになるだろうという話。これは年度当初から何度も言ってきたことだ。 
 
◆漠然とした不安にどう応えるか
 今年は新年度新学期の実質的なスタートが遅れたため、受験生としての自覚や意識の高まりが遅れているようである。
 いつもなら、学校の定期考査、模擬試験、進学フェア、体験入学、さらには塾の夏期講習などを通じて、階段を一段一段上がるように自覚や意識が徐々に高まって来たものだが、今年はキッカケが少なかった。
 受験勉強へのモチベーションを高める機会が少なかった。

 が、その一方で、焦りや不安だけはいつもより早くやって来ているようだ。
 受験生・保護者から寄せられる質問の中に「大丈夫か」というワードが目立つのが今年の特徴である。

 「安心」とか「自信」とかは、ポケットから取り出して、ハイどうぞと渡せるものではないから、一つ一つの具体的な行動によってしか与えることができない。
 今年は「安心」を与えた学校の勝ち、だ。。

◆「受付終了しました」、えっ、それだけ?
 たとえば説明会。
 今やほぼすべての学校が人数制限付きの事前予約制だ。
 そのため、申し込みはすぐにいっぱいになる。それは仕方ない。

 が、中に「第〇回説明会の受付は終了しました」としか言っていない学校がある。
 何と冷たい態度。
 私立の場合だと回数が多いので、1回や2回逃してもまだ機会があるからいい。
 しかし、元々回数が少ない公立から断られたら、どれだけショックを受けることか。
 9月を逃したら次は12月というのでは、不安で夜も寝られない。

 先生の働き方改革やら何やらあると思うが、追加実施するとか手を打たないと、よそに逃げられちゃうぞ。
 
◆中止・延期の場合もあります、って、そりゃそうなんだが
 よくある断わり書き。 
 「新型コロナウィルスの感染拡大状況によっては、中止・延期の場合もあります」

 まあ、その通り。何も間違ったことは言っていないが、これまた冷たい態度。
 じゃあ、中止・延期になった場合、どうしてくれるのよ。

 中止・延期になるかもしれんぞと聞いて、誰か「じゃあ、安心」と思う人います?
 対応として正しい、ってことと、安心を与えるというのは別の話だからね。

 自分らのアリバイ作りみたいな文言を並べるだけじゃなく、読み手である受験生・保護者の気持ちに寄り添った言葉を選んで欲しいものだ。