今日と明日は千葉県公立入試、そして明後日は埼玉県公立入試。神奈川県、東京都はすでに終了しているので、今週末までには首都圏公立入試は一段落する(追検査等は除く)。

 さて、本日のお題は、「埼玉県公立の志願者数を学校規模別(定員別)に見る」である。

 県内の公立高校普通科では、伊奈学園(定員680)と川口市立(定員400)を例外とすれば、360人定員の学校が最大規模であり、次が320人定員。以下、280人、240人、200人となり、160人が最小規模である。
 120人以下の学校もあるが、その場合は他学科との併設であるから、普通科単独では160人定員が最小となる。
 定員と募集人員(入学許可候補者数)との誤差は、転編入枠による。

 では、結果を見て行こう。

◆360人定員校
 表現の仕方は難しいが、「多人数の募集に耐えられる学校」、あるいは「多人数の志願が期待されている学校」と言っていいだろう。
 普通科単独の360人定員校は12校ある。

川越南  1.67
浦和一女 1.38
浦和西  1.38
川越   1.36
浦和   1.34
川越女子 1.29
春日部  1.28
所沢   1.23
与野   1.16
川口北  1.05
草加   1.05
大宮南  0.98

 普通科平均1.13倍をクリアできなかったのは、川口北・草加・大宮南の3校。特に定員割れの大宮南は募集側からすれば大誤算だった。

◆360人定員校・その2
 普通科は320人だが、他学科の募集も合わせて360人定員となっている学校である。(川口市立のみ普通科280人、普通科スポーツ科学80人、理数40人で総定員400人)

川口市立 1.73 +理数+スポーツ科学 総定員400人
大宮   1.51 +理数
所沢北  1.43 +理数
越谷北  1.36 +理数
蕨    1.36 +外国語
南稜   1.35 +外国語
不動岡  1.32 +外国語
越谷南  1.27 +外国語
春日部東 1.14 +人文
坂戸   1.01 +外国語

 普通科平均1.13倍をクリアできなかったのは、坂戸のみ。坂戸は外国語科が0.75倍と定員割れ。春日部東は普通科は平均を超えたが人文科は0.55倍と定員割れ。

◆320人定員校
 普通科単独の320人定員校は19校ある。

越ヶ谷  1.36
本庄   1.27
朝霞西  1.23
浦和南  1.21
朝霞   1.20
所沢中央 1.19
川口   1.14
豊岡   1.14
熊谷女子 1.13
坂戸西  1.13
草加東  1.13
入間向陽 1.08
所沢西  1.08
浦和北  1.05
浦和東  1.03
熊谷   1.03
越谷西  1.02
川越西  1.01
松山女子 0.97

 普通科平均をクリアできたのは約半分の10校。
 このうち、越ケ谷・本庄の2校は、仮に360人定員だったとしても1.13倍を維持できたことになる。
 全体としては何とか320人定員を維持できているが、前年まで1.20倍前後を維持してきた松山女子の0.97倍は誤算だったろう。
 地域の人口減少などがあるにしても伝統校・熊谷が320人定員の維持が難しくなっているのは深刻だ。

◆320人定員校・その2
 普通科は280人だが、他学科(またはコース)の募集も合わせて320人定員となっている学校である。

大宮北  1.33 +理数
和光国際 1.14 +外国語2クラス
岩槻   1.03 +国際文化
松山   0.90 +理数

 大宮北は仮に普通科320人定員でも1.17倍、同360人定員でも1.04倍を維持できる。
 過去5年間平均1.15倍と堅調だった松山の定員割れは大誤算だったろう。男子校人気の低下もあるだろうが、この学校はコロナ対応で学校説明会をすべてオンライン化し、対面式のリアル説明会を行わなかった。もしかしたら、これが影響しているかもしれない。この点は、後日正確な資料を元に検証してみようと思う。
 和光国際は看板である外国語科も1.04倍の低倍率であり、ここも誤算だった。

◆280人定員校
 普通科単独の280人定員校
越谷東  1.13
深谷第一 1.13
久喜   1.09
川口青陵 1.08
川口東  1.03
鷲宮   0.99
杉戸   0.91
桶川   0.90

 越谷東・深谷第一はまずまずだが、久喜以下は徐々に280人定員の維持も難しくなってきた。桶川は320人定員から280定員に減じたが定員割れとなっている。

◆280人定員校・その2
 普通科は240人だが、他学科(またはコース)の募集も合わせて280人定員となっている学校である。

上尾    1.21 +商業
春日部女子 1.20 +外国語
熊谷西   1.12 +理数
草加南   1.02 +外国語
大宮東   0.94 +体育

 春日部女子は定員減もあり、何とか倍率を維持した。
 熊谷西は理数科も1.03倍と低迷している。熊谷・熊谷女子・熊谷西と市内3校の普通科はいずれも定員維持に苦しんでいる状況だ。

◆240人定員校
 とりあえず市立浦和(1.90倍)を別格として、それ以外の学校である。なお、市立浦和は仮に360人定員だったとしても1.28倍が維持できる。もう少し定員を増やして欲しいところだが、併設中学校からの内進生を考えると、これがいっぱいなのかもしれない。

志木    1.22 ※定員減
三郷北   1.11 ※定員減
草加西   1.06
大宮武蔵野 1.04
飯能    1.04
上尾南   1.00

 今年の定員減の結果、志木・三郷北はある程度の倍率を出したが、他は240人定員でも厳しい。

◆240人定員校・その2
 普通科は200人だが、他学科(またはコース)の募集も合わせて240人となっている学校である。

鴻巣   1.09 +商業
大宮光陵 1.05 +外国語コース

 大宮光陵は普通科200人、普通科外国語コース40人、美術・音楽・書道各40人で、合計360人となるが、普通科だけだと計240人なので、とりあえずここに加えた。

◆200人定員校
 普通科単独の200人定員校。

上尾鷹の台 1.14 ※定員減
新座柳瀬  1.12 ※定員減
狭山清陵  1.11
深谷    1.04
宮代    1.04
新座    1.03
秩父    1.01
三郷    1.01
富士見   1.00
鶴ヶ島清風 0.95
小川    0.81
栗橋北彩  0.81
川越初雁  0.80
蓮田松韻  0.60

 今年度定員減があったため上尾鷹の台・新座柳瀬は何とか倍率を維持できたが、この規模になると1.0倍台または定員割れの学校が一気に増えてくる。

 以上。本当は全校やりたいところだが、それはまた別の機会に譲ろう。
 本日は、受験生側視点ではなく、募集をする学校側の視点から見た場合にはどうなのだろうと考えてみた。

 360人あるいは320人といった多人数の定員でありながら高倍率を維持している学校がある一方、徐々に定員を減らしながら、それでも定員を維持できない学校とがくっきり分かれているのが今日の状況である。

 もしこのブログを私立募集担当の方がご覧になっていたとしたら、これまでもそうだったが、今後はそれ以上に、定員が多くかつ倍率が出る一部の学校をターゲットにしない限り、「併願戻り率」の維持または上昇は期待できないことがお分かりいただけるだろう。