都立高校入試の男女別定員制が不平等だ、女子差別だと話題になっている。
 何を今さら。
 
 なにせ私でさえ生まれる前の1950年、新制高校が男女共学でスタートを切る際に、女子は不利になるからと女子枠を設ける意図で始まったものが、時代変われば差別と言われる。
 世の中というのはそういうものだ。
 近年やや緩和の方向に向かっているが、もう少し早く手をつけても良かった。

 マスコミは「全国で東京だけ」を強調するが、これはニュース価値を高めるための常套手段だ。
 「最高」や「最初」などと並び「唯一」はマスコミが、ということは読者・視聴者が、もっとも好む言葉だ。
 東京というのは日本の中できわめて特殊な地域であって、「全国で東京だけ」は数えきれないほどあるからネタは尽きない。

 私立高校のほうが公立高校より多いのは東京だけ。
 それに伴って、私立在学生のほうが公立在学生より多いのは東京だけ。
 ということは、私立の発言力も相応に強いわけだから、何でもかんでも都立の思い通りというわけにはいかない。
 そういう面も多分にあるだろう。
 コメンテーターなどが「私の県では、…」などと地方での経験を語っているが、田舎の例は参考にならん。

 義務教育ではない高校の場合、入試のあり方は都道府県ごとさまざまであるから、外野からああだこうだと言っても始まらないが、時代の風潮を考えたとき、不平等だ、差別だと言われるような制度は是正されなければならないだろう。
 ただ一点、言っておかなければならないのは、この制度は公然と行われていたということだ。
 不公平、不平等、あるいは不適当と言われるのは仕方ないとしても不正ではない。

 仮に東京都が男女別定員制度を完全撤廃したらどうなるか。
 緩和の次に来るのは順番として撤廃しかないわけで、いずれそうなるだろう。
 そうすると各校の男女比はかなりばらける。
 まあそれでも、7対3とか6対4ぐらいまでだろう。
 普通科ならそんなものだ。
 で、男子多めの学校、女子多めの学校が出現して、全体をならせば五分五分になる。

 東京に比べはるか田舎である我が埼玉県の例を持ち出してもあまり説得力はないが、男女別定員を設けなくても普通科、特に上位校の場合、ほとんどが55対45~45対55の間に収まっている。
 以前にも書いたかと思うが、70対30ぐらいになってくると、クラス編成とか授業展開、場合によっては行事などにもいろいろ面倒な点も出てくるわけだが、それで真っ当な教育が成立しないというわけでもない。

 あとは私立とどう折り合いをつけるかだ。