よく学校案内パンフレットやホームページに「早慶上智〇人」とか「MARCH〇人」とか載っている。
 要するに「すごいだろう」と胸を張っているわけである。
 もちろん、それは全然問題ない。
 今まで1ケタだった学校が2ケタに乗ったり、2~30人だった学校が50人を突破したりすれば、誰だって大声でアピールしたくなる。

 ただ、それを見たり聞いたりする側からすると、増えたという事実は分かっても、その数字が多いか少ないかは実のところ、よく分からないのである。
 「今年は早慶上智で30人超えました」とか「MARCHで50人超えました」とか言われても、どうもピンと来ない。
 ならば、調べてみよう。

 今年(2021年)3月の実績である。
 人数は現役プラス浪人、かつ「のべ人数」である。

 一人が多くの大学・学部を受かれば、その分数字は大きくなる。
 学校として見かけの数字を大きくしようと思ったら、一人当たりの受験校数を増やす方向で指導すればよく、実際にそのような政策をとっている(とっていた)学校もあるが、どこまでが本気の受験で、どこからが合格件数稼ぎの受験かなど分かりようもない。
 なので、そこは深入りせず、素直に表に出てきた数字で見て行く。
 
 今日は、さしあたり「MARCH(マーチ)」について調べてみる。
 明治(M)・青山学院(A)・立教(R)・中央(C)・法政(H)。
 これに学習院(G)を加えて「G-MARCH(ジー・マーチ)」とする手もあるが、今回はGはなし。

 ではまず、単純にMARCH合格件数の多い順(★印は私立)。
1 市立浦和 528人
2 開智★  524人
3 大宮開成★482人
4 川越東★ 481人
5 春日部  429人
6 浦和一女 422人
7 大宮   398人
8 栄東★  380人
9 川越   363人
10 淑徳与野★319人
11 浦和   313人
12 蕨    310人

 とりあえず300人以上でいったんストップ。
 確かに多い。ただ、この辺りになると、主戦場は国公立や早慶上智になってくるので、MARCHの数字にはあまり意味はないだろう。
 これらの学校は、国公立も早慶上智も100を超えている。例外は川越東(国公立76・早慶上智81)、蕨(国公立99・早慶上智62)、淑徳与野(国公立63)の3校。
 浦和もMARCHでそれなりの数字を出しているが、たとえば明治は合格153人に対し、実際の進学者は11人しかいない。立教にいたっては合格32人に対し、進学者はゼロ。MARCHはそういう位置づけなのだ。他の学校もほぼ同様で、特別な志望やこだわりがある子を別とすれば、第二志望以下で受けるケースが多いと分かる。
 
 続いて200人以上、300人未満。
13 川越女子 277人
14 越谷北  276人
15 不動岡  252人
16 浦和西  249人

 校数は少ないが200人以上で区切ってみた。
 川越女子・越谷北・不動岡は国公立は100人を超えている。早慶上智は、川越女子67人、越谷北44人、不動岡45人、浦和西35人である。
 これらの学校にとっては、MARCH人数もアピール材料の一つにはなりそうだが、国公立を減らさずに早慶上智を増やすのが目標だろう。

 続いて150人以上200人未満。
17 所沢北  194人
18 浦和明の星女子★191人
19 熊谷   161人
20 狭山ヶ丘★155人
21 川口北  154人
22 春日部共栄★153人

 生徒数少なく、高入なしの完全中高一貫の浦和明の星女子は例外。
 このあたりから、だんだん微妙になってくる。
 これらの学校も国公立、早慶上智を増やしたところだろうが、上位校の例を見るとMARCHで200人~250人を超えるようでないと、国公立100人以上かつ早慶上智50人以上が見えてこないわけである。

 続いて100人以上150人未満。
23 越ケ谷  148人
24 昌平★  143人
25 本庄東★ 134人
26 伊奈学園 131人
27 和光国際 128人
28 西武文理★120人
29 星野★  111人
30 栄北★  101人

 この辺になると国公立も早慶上智もだいぶ少なくなってくるのでMARCH100人以上は強力なアピールポイントになりそうだ。
 現在の勢いからすれば、昌平は早晩このレベルを脱し、MARCH200人超え、国公立3ケタ、早慶上智50人以上を達成しそうだ。
 
 この後、MARCH50人以上が13校ある。
 学校規模(生徒数)が異なるので一概には言えないが、ここまで見てきた限りでは、少なくとも100人、できれば150人を超えてもらわないと、多いとまでは言えないのではないか。
 そして、200人を超えるとかなり多いと言うことができ、300人を超えたあたりから、多いには違いないが、その数字にあまり意味がなくなってくる。
 これが今日のところの結論である。

 もちろん、最初にも書いたとおり、こうした数字は段階を踏んで伸びて行くわけであるから、以前との比較で増えていれば、それはそれで立派なことであり、誇っていいのである。