埼玉県公立入試、第2回進路希望調査の結果は明日(13日)発表される予定だ。
 14日付の各紙朝刊には、学校ごとの倍率が掲載されるはずだ。
 これまでの例に従えば、その前に、県教委HPでも見られるだろう。

 受験生としては、自分の志望している学校の倍率が気になるところだろう。
 少しでも倍率が下がってくれないか。
 私が受験生だったら絶対にそう思うだろう。

 自分が降りれば、倍率はその分だけ下がるわけだが、それでは意味がない。
 自分は降りずに、自分以外の他人に降りてもらうことが必要だ。

 さて、そこで。
 今さらだが倍率の見方について確認しておこう。

 まず押えておかなければならないのは、倍率イコール競争の激しさではないことである。
 
 例えば第1回希望調査である。
 いくつかの学校は、2倍あるいは3倍を超える高倍率となっている。
 では、なぜそのような高倍率となっているか。
 その構造を考えてみる。

 志望者は三つに大別できる。
 学力とかではなく、志望の強さによって分けられる。
 言い方はどうでもいいが、仮に「強」「やや強」「弱」としよう。

 「強」は、どうしてもその学校に入りたい理由を持っているグループで、落ちたら私立でもいいと覚悟を決めているから、倍率によって動くことはない。
 「やや強」は、絶対的な第一希望というより、他校との比較の中で第一志望としている人も多いので、倍率によって動く可能性がある。
 「弱」は、どうしてもその学校じゃなければという強い動機や目的がないので、倍率が高ければ離脱する。

 以上のように三分した場合、第1回希望調査で極端な高倍率である学校は、「弱」のグループが倍率を押し上げている可能性が高い。
 志望の強さが弱いのであるから、10月から12月中旬までの間に、他の公立や私立に希望を変更しているだろう。
 割合で言うと2割から3割くらいだろうか。
 よって、第2回希望調査では、「弱」の層を差し引いた数が、その学校の志望者数となる。

 例えば、第1回希望調査で普通科で倍率トップだった市立川越の場合、定員140人に対し、志望者は553人で、倍率は3.95倍だった。
 仮に志望者553人の2割に当たる111人が「弱」に属する志望者で、これらがすでに離脱していると考えれば、第2回希望調査では志望者は442人に減っていることになり倍率は3.16倍となる。
 また、3割に当たる166人が「弱」に属し、すでに離脱と考えれば、希望者は387人に減り、倍率は2.76倍となる。
 市立川越の場合、定員が少ないためブレ幅が大きくなるが、以上から、第2回希望調査の倍率は、3倍を少し超えるあたりか、2倍台の後半あたりが予想されるのである。

 さあ、倍率は下がった。
 では、競争の激しさは緩和されただろうか。
 そこが問題だ。

 前述したように第1回希望調査の高倍率は、「弱」に属する受験生が押し上げた結果だった。
 言葉を選ばずに言えば、それほど本気ではなかった人が殺到したことによる高倍率だった。
 つまり、「強」や「やや強」の人たちにとって最初から競争相手ではなかったのだ。
 そういう人たちが競争から降りたために倍率が下がったとしても、実質的な競争の激しさには何の影響もない。

 仮に1.1倍とか1.2倍とかの低倍率であっても、志望者が「強」や「やや強」だけで構成されていたり、「強」の割合がものすごく多かったりすれば、競争としては厳しいのである。
 
 第2回希望調査では劇的に倍率が下がる学校もあるだろうが、元々強力なライバルではなかった受験生が離脱した結果という場合も多いので、それでホッとしてはいけない。
 と、やや厳しめのアドバイスをしておく。