まだ全てとは言えないが、2022入試シーズンは一応終了した。
 そして、あっという間に次のシーズンに入って行くが、そうなると日々の業務に追われる。
 だから、遊ぶなら今だ。
 いや、待てよ。そんな場合ではない。
 勉強しなくてはいけない。
 人生死ぬまで勉強だ。

 と、ここまでは見栄を張り、格好いいことを言っておく。

 時間がある時に、難しい本を読んでおこう。
 買うと結構高いやつ。
 2、3回読まないと理解できないやつ。
 若い頃に比べて脳が劣化(退化か?)しているので、4、5回読まないと無理かもしれない。

 最近読んだ本。その1。
 「システムの科学」
 著者はノーベル経済学賞受賞者、ハーバート・A・サイモン(1916~2001)。

 こいつは相当気合を入れないと読み続けることができない。
 話が広範であるのに加え、翻訳もあまり上手いとは言えない。
 こいつを読むきっかけとなったのは、目次の中に、「デザインの科学:人工物の創造」という章があったからだ。
 次に触れるデザイン思考に関する本を探している中で、見つかったものだ。
 30年も前に出版され、今もなお読み継がれているから名著には違いない。
 ただ、素人が最初に手にする本ではない。
 それだけは分かった。
 

 最近読んだ本。その2。
 「デザイン思考が世界を変える」
 著者はIDEOという会社を創設したティム・ブラウンという人。
 やはり、こちらを最初に読むべきだった。
 私は今さらデザイナーを目指そうなどと思ってはいない。
 知りたいのは、普通みんなが想像するデザイン(グラフィックデザインとか服飾デザインとか建築デザインとか)ではなく、「デザイン思考」というやつだ。
 
 デザイン・シンキング(デザイン思考)としばしば対比されるのがロジカル・シンキングだ。
 論理的に答を導こうとするロジカル・シンキングは、課題解決の手法として、きわめて有効だ。
 私も、過去や現在のさまざまなデータを収集、分析し、それを論理的に積み上げ、答えを導こうと努めている。

 だが、ロジカル・シンキングは必ずしも無敵の思考法というわけではない。
 というのは、私が言っているのではなく、ここ10年以内だと思うが、いろいろな方が言っている。

 ロジカル・シンキングは、目の前で起きている現象に対し、その解決策を提示するには適している。
 が、隠れたニーズを探り当てたり、革新的・創造的な技術を産み出したりするのは、どうやら苦手なようである。
 で、そこに現れたのがデザイン思考ということらしいのである。

 皆さんお馴染みのパンフレットやポスターやホームページにおいてデザインは重要だ。
 陳腐なデザインや、時代遅れのデザインでは読んだり見たりする気力も失せる。
 ということはつまり、コミュニケーションツールとして機能しない。

 クソなデザインを平気で垂れ流しているようでは、本気度が疑われてしまうし、もちろんブランドイメージだって損なう。
 だから、デザインを軽視してはいけない。

 さて、そんな中。
 デザイナーがデザインをする時の思考は、もしかしたら組織変革やイノベーション(技術革新)といったビジネスシーンにおける課題解決にも有用性があるのではないか。
 そう考える人が出てきた。

 なんか「正解のない問い」に答える能力が必要と言われる時代に、ぴったり合っていそうじゃないか。
 本を読むだけでは分からんから、先日も大手電機メーカーのデザイン部長という方に会ってきた。
 電機製品のプロダクトデザインをやっているのかと思いきや、それもあるが、一番のテーマはデザイン思考を社内に浸透させることだと言っていた。

 この手の話は、流行り廃りがあるので、この先のことは分からないが、ちょっと本気出して勉強してみよう。
 そう思っているところだ。