埼玉県公立入試、平均点推移をグラフ化した。
 昨年同時期にも同様の記事を書いている。
 今回は、4月28日に発表された令和4年度の結果を加えた。
 記事タイトルには過去10年間となっているが、実際には11年分である。
 
◆5教科(学校選択問題除く)全体推移

 5教科中、どの教科の平均点がもっとも高かったかという視点で見ると、国語が11年間で6回と最多である。平成28年度から31年度までの4年間は社会がもっとも高かった。
 逆に5教科中もっとも低かった回数は、今回(令和4年度)も含め、数学の8回が最多である。
 したがって、今回(令和4年度)は、「国語が最高で、数学が最低」という、これまでに何度もあったパターンだったということになる。

 次に最高の教科と最低の教科とで、どのくらいの点差があったかという視点で見ると、20点以上開いたのが3回、10点差以内だったのが1回(27年度)で、その他は10~19点差である。
 今回(令和4年度)は、最高の国語(62.9)と最低の数学(48.0)の差が14.9点だったが、これは27年度(7.9点差)、30年度(11.9点差)に次いで、3番目に少ない点差である。60点台の国語と、40点台の数学との間が大きく開いているように見えるが、これでも少ない方なのである。

◆国語

 過去最高だった昨年よりは下がったが、5教科中唯一の60点超え。
 他教科と異なり、これまで50点を下回ったことがない。
 出題に大きな変更がない限り、今後も55~60点で推移しそうだ。 

◆数学

 令和2年度(67.9)、令和3年度(62.2)と高い点数が続いたが、それ以前に逆戻りした。
 この2年間が高過ぎたので、調整する意図があったかもしれないが、やや下がり過ぎた。出題側としては55点前後で安定させたいところだろう。
 
◆英語


 令和2年度(52.2)、3年度(51.4)、4年度(52.6)と、ここ3年間で見ると5教科の中でもっとも安定している。

◆社会


 前述のように高い平均点が続いた時期もあった。今回(令和4年度)の52.9点は、7年前の27年度(49.1)以来の低い点数である。

◆理科


 英語と並び、2年度(51.1)、3年度(56.2)、4年度(52.5)と比較的安定している。

◆数学・学校選択問題


 過去3年間、55点前後で安定していた。40点台は学校選択問題初年度である29年度(43.2)を下回り、過去最低である。

◆英語・学校選択問題


 学力検査問題と同様、2年度(58.9)、3年度(61.6)、4年度(58.3)と比較的安定している。

◆令和5年度の注目は数学の変化か
 前年度と比較してみることも重要だが、10年間の流れの中においてみると、また違った面も見えてくるのではないか。
 数学・学校選択問題は、前年から大きく下がっただけでなく、過去最低であった。数学・学力検査問題もここ2年間の高水準が特別だったのかと思わざるを得ない低得点だ。
 他の教科は、前年との違いはあるものの、10年間ないしここ3年間の流れの中に置いてみると、さほど大きな変化はない。
 令和5年度入試では、大きく下がった数学(学力検査も学校選択も)がどう変化するかが一番の注目点になるだろう。