スポーツ庁の有識者会議は5月31日、休日の部活指導を地域移行すべきだとする提言を了承した。
2025年度末の実現を目指す。
検討の経過はこれまでにも度々報道されてきたので、皆さんすでにご存知の内容である。
新聞記事以上に詳しく知りたい方はコチラに提言の全文がある。
「運動部活動の地域移行に関する検討会議 提言(案)」
A4判57ページあるので、読むのに一苦労だ。
手短に概要をチェックするならコチラがいいだろう。
「運動部活動の地域移行に関する検討会議提言(案)の概要」
◆学校から部活がなくなる?
いやいや、そこまでは言っていない。
新聞記者も忙しいので全文を読んで記事にしているとは限らない。
テレビは視聴者が食いつきそうなところだけ取り上げる。
コメンテーターは元資料など一文字も読まず、自分の経験だけを語る。
彼らはそれでいいが、直接生徒の指導にあたる先生方はそうも行くまい。
今回の提言で示されているのは、
公立中学校の、
運動部の、
休日の活動を、
来年度から3年間かけて、
地域移行しようというものである。
というわけなので、内申書がどうなるといった話は、今は考えなくていい。
◆いずれは平日の活動も
提言では、「まずは休日から段階的に」と言っている。
いきなり平日も含めるのはハードルが高過ぎる。
休日の方が指導者も確保しやすい。
「まずは休日から」なので、いずれは平日にも拡大するつもりだ。
今回の提言は運動部に限っている。
スポーツ庁だからである。
練習の長さでは定評のある吹奏楽部はどうなる?
それは近く、文化庁から今回と同じような方向が示されることになるだろう。
◆私立学校はどうなる
今回私立中学校は対象としていないが、義務教育ということで公立に準じた取り組みが期待されている。
高校の運動部活は今回対象外である。
公立高校については。
「義務教育を修了し進路選択した高校生等が自らの意思で運動部活動への参加を選択している実態や、多様な教育活動が行われる高等学校の中でスポーツに特色を有する学校が存在することなどの面で、中学校等とは異なる状況にある」(太字は筆者による)。
としている。
運動部活で進路を決めている生徒もいるし、運動部活を特色(売り)にしている高校もあるので、中学校と同列には論じられないということだ。
スポーツ庁としてはトップアスリートの強化も考えなければならないので、そうなるだろう。
ただし。
「高等学校等においても、スポーツを通じた生徒の心身の健全育成や教職員の働き方改革の観点は重要であり、学校等の実情に応じて運動部活動の改善に取り組むことを望みたい」と言い添えている。
私立学校については。
「私立学校においても、これらの取組も参考にしながら、学校等の実情に応じて適切な指導体制の構築に取り組むことを望みたい」と、サラッと書いている。
私立学校関係者は、ただちに何か求められている状況ではない。
が、世の中の流れがどっちに向かっているかは、しっかり見極めたほうがいいだろう。
私立学校、私立高校には、むしろ時代を先取りして欲しいと思う。
公立中学校や公立高校がそうなったから仕方なくではなく、あるべき姿を率先して示す。
まずは休日から始め、平日に拡大する。
公立中学校から始め、公立高校に拡大する。
これには軽く10年はかかると思われるので、その間にさっさと改革を進めてしまう。
私立学校に期待したい。
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