昨日のことである。
 早朝、知り合いから電話があった。
 「どうした。何かあったか」
 「それ聞きたくて電話しました」
 「今、Messenger(メッセンジャー)で何か送りました?」
 「いや、何も送っとらんよ。てか、朝からスマホ触ってないもん」

 で、聞いてみると、こういうのが入ってきたというのだ。
 
 「開いた?」
 「いえ、何もしてません」
 「じゃあ、そのまま無視しといて」
 とうことで、一件落着。

 と、思いきや、そうではなかった。

 その後、他からも、何か変だよという電話やメールが相次いだ。
 ここに至って、ようやく事の重大さに気づいた私だった。
 そう言えば、このところ、「これは何の写真か」とか、「この動画に写っているのは誰だ」みたいな訳の分からんメッセージが入っていたっけ。
 むろん全部無視してきたが。

 これは要するにアカウントの乗っ取り、または乗っ取り未遂だ。
 たしか以前にTwitterで似たようなことがあった気がする。
 その時は、パスワードを変更したんだったか。

 では、とりあえずパスワードを変更してみよう。

 出来た。
 相手に勝手にパスワードを変更されると手に負えなくなるが、変更できたということは完全には乗っ取られたわけではないのだろう。
 ついでに二段階認証というやつにしておいた。
 そんなの常識。
 なのかもしれないが、元来Facebookに関してはほっぽらかしなのだ。
 人のは見るが、自分からは発信しない。
 Messengerも自分からグループを作ったことはない。

 まあ、そんなこんなでガードが甘かった。

 しかし、面倒くせえ時代になったもんだぜ。
 というか、便利になったが、それと引き換えに今までにない面倒を抱え込んだ。

 ここで例によって昔話だ。

 猛暑で電力のひっ迫が叫ばれている。
 だが、自分が子供の頃は停電なんて日常茶飯だった。
 バチンと電気が落ちたら、すかさずロウソクにマッチ(ライターじゃないよ)で火をともす。
 しばらく待って回復しないと、みんな外に出てくる。
 「どうしたんだろうね。今日は長いね」
 などと、のんびりしたことを言い合う。

 中に、何だか難しい解説をしているお父さん達がいたが、子供の自分にはさっぱり分からなかった。
 が、少し大きくなって分かった。
 そこは電源開発(今のJパワー)の社宅だったので、電力に関しては詳しい大人がいっぱいいたのだ。

 電気がストップしても大して困らなかった。
 電話なし。
 テレビなし。
 冷蔵庫なし。
 クーラーなし。
 要するに電気というやつは、街や部屋を明るくする役割だけなのだ。
 夜だから困るんであって、昼間ならどうってことない。
 ちょいと暗いが、風呂(燃料は薪だぜ)でも浸かって待つか。
 貧しく、また長閑な時代であった。

 が、世の中は恐るべきスピードで変化した。
 便利になった。
 その分、余計な面倒を抱え込んだ。
 だからと言って、昔は良かった戻りたい、などとは微塵も思わないのであるから、この面倒と付き合って行くしかない。

 この度の一件。
 不幸中の幸いがあるとしたら、友達が少なかったことだ。
 リアルの友達が少ない私は、当然ながらFacebookのお友達も少ない。
 今から10年前、2012年から始めて友だち124人。
 
 だとしても、どなたかに迷惑をかけていないか心配だ。