昨日に続き、個別相談に関する話題だ。
主に公立高校の先生方向けということになる。
説明会と個別相談の位置づけを逆転させたらどうかと提案している。
個別相談が「個の時代」あるいは「多様性の時代」に即したマーケティング手法であると考えるからだ。
受験生・保護者はいろいろな思いを持って集まって来ている。
学力・成績レベルにはかなりの幅がある。
さしあたり志望校の一つとして考えているのは共通とみなしていいが、志望の強さはバラバラだ。
もちろん志望理由もさまざまだ。
よって聞きたい内容も一人一人異なる。
そういう相手に対し学校側は、言いたいことを一方的に話す。
学校アピールの場であるからやむを得ない面もあるが、これだと受験生・保護者側が聞きたいこととの間にズレが生じる可能性が高い。
学校側としては、「よし、この学校を目指そう」と決意して帰ってもらいたい。
その思い(決めたい気持ち)は受験生・保護者も同じだろう。
そのためには、この機会を通じて不安や迷いを払拭してもらわなければならない。
そう考えると、説明会における一斉説明方式には限界があると言わざるを得ない。
むろん中には一発で親子の心をつかんでしまうスーパープレゼンターもいるが、稀である。
以上から、個別相談を脇役から主役に昇格させるのが、今後の方向性であると考える。
◆確約だけのためではない
公立の先生に個別相談を積極的に行うよう提案すると、決まって返って来る言葉がある。
「私立と違って公立は確約ができないから・・・」
どうやら個別相談を確約についての話し合いの場だと考えているようだ。
それだけの目的で行われていると誤解しているようだ。
もちろん大きな目的としてそれはある。
受験生・保護者の中にだって、余計な情報は要らないから、「とにかく確約を出して欲しい」という人もいるだろう。
しかし、中には本気で迷っている人もいるだろうし、あれこれ悩み、不安に思っている人もいるのだ。
学校側としても、どうせなら併願でなく単願にして欲しいと考えている。
複数併願するなら、そのうちの最上位に位置づけて欲しいと考えている。
「確約します。以上」というのでは、個別相談をする意味はないのだ。
わが校を第一希望にしてもらうための説明と話し合いの場。
それが個別相談だ。
個別相談を、単に確約のための場ではなく、わが校を第一希望にしてもらうための相談、話し合いの場と考えれば、公立ではやっても意味がないということにはならないわけである。
◆時代に合わせた方法
自称「授業ウォッチャー」の私は、よく授業見学に行く。
5年前、10年前と比べ、授業のやり方はすっかり変わっている。
さすが先生方、授業の改善改革には熱心だ。
が、生徒募集のやり方や説明会等の運営方法の改革改善にはそれほど積極的ではない。
5年前、10年前とほとんど変わらない。
授業の改革改善に向けるエネルギーの、ほんの一部でいいから、それを募集広報の改革改善に振り向けてほしいと思う。
私立の先生方からすれば、そのまま寝ててくれ。
「寝た子を起こすな」といったところだろう。
しかし、受験生・保護者を第一に考えれば、募集広報のやり方は改革改善してほしい。
また、公私立が高いレベルで競争してくれたほうが、全体利益の向上につながる。
◆個別相談に要する時間を試算してみる
仮に1回100組程度の比較的小規模な説明会を想定してみる。
これをすべて個別相談に切り替える。
相談時間は1組当たり15分とする。
1人の相談員は1時間で4組、1時間半なら6組こなせる。
100÷6=16.666
16~17人の相談員を確保できれば、1時間半で100組をさばける。
300組、400組といった大規模説明会だとすべてを個別相談に切り替えることはできないが、比較的小規模であれば計算上は可能だ。
100組を一堂に集めて説明し、そのうち何組に受験を決意してもらえるか。
100組と個別相談し、そのうち何組に受験を決意してもらえるか。
成功率は個別相談の方が高そうだ。
募集に課題を抱えている学校は、個別相談について考え直してみてほしい。
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