埼玉県教委から「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策(案)」に対するパブリックコメントの結果が発表された。
 たぶん反対論が大半を占めるんだろうな。
 そう思ってみたら予想通り。

 「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策」の策定及び県民コメント(意見募集)の結果について(10月27日)

 具体的な意見と、それに対する県の考え方はコチラから。
 「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策(案)」に対する御意見と県の考え方

 コメントの募集期間は約1か月。
 集まったコメントは211件(個人93、団体7)
 公開はされないが意見応募に際しては、住所・氏名の記載が必須。
 
 国が実施するパブリックコメントでは数千、数万の意見が集まることが稀にあるが、1件、2件などというのはざらである。
 そう考えれば200件超えは、まあまあなのかなと思う。

 およそ200件のコメントが次のように分類されている。
 A 意見を反映し、案を修正したもの 1
 B 既に案で対応済みのもの     5
 C 案の修正はしないが、実施段階で参考とするもの 88
 D 意見を反映できなかったもの 98
 E その他 19
 合 計 211

 「意見を反映し、案を修正したもの」が1件とあるが、これは細かな字句の修正。
 「その他」が19件とあるが、今回の案に関係ない意見が主だ。
 例を挙げれば、
 「私学へ定員縮小の協力を強く依頼すべきである」、
 「男女別学校の共学化には断固反対する」、
 「感染対策について、マスクの強制はやめるようにしてほしい」、
 といったもの。
 これが高校入試の作文だったら、問題に正対していないということで0点になるところだ。
 県は「魅力ある県立学校づくり第2期実施方策についての御意見ではないため、御意見については、反映することができません」と冷たくあしらっている。

 冒頭述べたように反対論や、問題点を指摘したものが多い。
 「私たちは強い憤りを禁じ得ない」。
 「憲法で保障された学習権を侵害するものとして強い憤りをもち、厳しく抗議する」。
 私たちと言っったり、憲法を持ち出してくるところをみると、教職員組合あたりか。

 およそ半数が統合計画全般に対する意見(主に反対意見)である。

 個別案件については、コメント数に大きな開きがある。
 秩父+皆野に関するもの 52件
 和光国際+和光に関するもの 32件
 大宮工業+浦和工業に関するもの 12件
 八潮+八潮南に関するもの 6件
 越生+鳩山に関するもの  5件
 岩槻+岩槻北陵に関するもの 1件

 秩父+皆野関連の意見は多かった。
 秩父市では平成の中ごろ、秩父東高校(女子校)が秩父農工(現在の秩父農工科学)と統合される形で消滅した過去がある。
 皆野が消滅すると秩父郡の公立は3校になる。
 伝統ある秩父高校は何とか定員を確保しているが、秩父農工科学は僅かではあるが定員割れ、小鹿野にいたっては120人募集で30人ほど。
 皆野の事実上の廃校とみた上での意見が多数あるが、それでも地域から高校が消えて行く危機感があふれている。

 和光国際+和光関連の意見も比較的多かった。
 「和光国際高校と和光高校の統合に反対である。両校は偏差値、校風共に大きな差がある」。
 これと同様の意見はいくつか見られた。
 まあ、高校事情が少しでも分かっているなら、和光国際をそのまま存続させ、和光高校を廃校にすることだと理解する。
 言い方は何だが、和光国際は和光高校つぶしのだしに使われているようなもの。

 そのへんを分かった上で、ちょっと皮肉っぽいこんな意見も。
 「『廃校』より『合併』という言葉を使った方が良い理由があるなら、その理由を説明してほしい」。
 それに対する県の苦しい言い訳は、
 「2校を統合し新しく高校を設置するものであり、各校の取組を新校に引き継いでいくため、『統合』と表現しています。どちらか一方だけを残しもう一方を廃止する趣旨ではありません」。
 本当にそうなら、和光国際の先生を半分転出させて、そこに和光の先生を入れたらよかろう。
 でも、そんなことはしない。
 和光国際の先生方は通常の異動を除いてほぼそのまま残り、和光の先生方は散り散りによその学校に異動することになるだろう。

 大宮工業+浦和工業に関連する意見はそれほど多くなかった。
 現在、工業系学科を擁する学校が14校あり、そのうち9校が校名に工業を冠するいわゆる工業高校だ(三郷工業技術含む)。
 機械、電気、建築など伝統的な学科は施設の維持管理、更新に莫大な費用がかかる。
 今度の統合で8校となるが、もうあと1~2校減らしたいところだろう。

 残りの3案について、あまり意見がなかった。
 岩槻北陵をつぶすなという意見が一つもないのが何とも寂しい。