続きを書かなければいけないテーマがあった。
この記事の続きだ。
埼玉県高校入試、「公立VS私立」の状況はこのようになっている【前編】
◆併願入学者が多い学校は
全体として、併願入学者より単願入学者の方が多いのが、今の埼玉私立の入試だが、中には併願入学者の割合が多い学校がある。
人数で言えば、浦和学院のような大規模校がそれなりの人数になるが、ここでは割合に注目する。
【併願が50%を超える6校】
なお、入学者は内部進学を除いた人数である。
また、慶応志木・立教新座・早大本庄は除いた。
1 栄東
単願21人(9.8%) 併願194人(90.2%)
2 開智
単願88人(28.5%) 併願221人(71.5%)
3 大宮開成
単願135人(30.6%) 併願306人(69.4%)
4 城北埼玉
単願36人(41.4%) 併願51人(58.6%)
5 武南
単願251人(43.4%) 併願328人(56.6%)
6 川越東
単願232人(48.4%) 併願247人(51.6%)
【その他、比較的併願の多い学校】
7 春日部共栄
単願273人(52.0%) 併願252人(48.0%)
8 淑徳与野
単願139人(52.5%) 併願126人(47.5%)
9 狭山ヶ丘
単願156人(54.9%) 併願128人(45.1%)
10 獨協埼玉
単願114人(55.1%) 併願93人(44.9%)
11 山村学園
単願312人(56.2%) 併願243(43.8%)
12 西武文理
単願118人(57.8%) 併願86人(42.2%)
以上は令和4年度(2022年度)入学者の場合である。
年度により多少の変動はあるが、傾向は変わらないだろう。
なお、前回触れたように、私立全体では36.8%が併願による入学者である。
◆公立の大規模・高偏差値校の受け皿
併願入学者の割合が高い学校は、主として公立の大規模・高偏差値校の受け皿となっている学校である。
それぞれの私立が、どの公立との併願となっているかは大体想像がつくだろう。
ただ、ここには出ていなくても、コースやクラスによっては、大規模・高偏差値校の受け皿となっている私立もあるので注意が必要だ。
これも以前書いたことだが、今の公立は基本的には大規模校しか倍率が出ていないのである。
そして、多数の募集に耐えられるのは大学進学実績の高い進学校だ。
中には、大学進学実績はそこそこだが人気を保っている学校もあるが一部だ。
私立は、浦和・大宮・浦和一女をはじめとする上位進学校の併願校というポジションを確立しないかぎり、併願入学者の割合がこれ以上増えることはない。
あとは学校全体としてそのポジションを目指すのか、特定のコース・クラス等をそこに位置づけるかの選択だ。
◆下がらない上位校の倍率
令和4年度公立入試で、普通科倍率トップは市立浦和の2.06倍だった。
これまでの経験からは、希望調査の段階では2倍、3倍の高倍率であっても、実際の出願時にはそこそこの倍率に落ち着くものだった。
だが、落ちない。
2倍超のまま本番突入。
他県公立では見られたが、埼玉では初めてではないか。
今年の市立浦和は第1回調査(10月1日現在)で3.30倍を記録している。
前年は3.53倍から始まって2.06倍であるから、同様の経過をたどれば今年も再び2倍超もあり得る。
これは想像だが、ワンランク、ツーランク下げてでも公立にこだわる受験生が減ったからではないか。
下げるくらいなら私立でいい。
格下の公立よりも併願私立の方が良いと考える受験生が増えたからではないか。
従来は1番手から2番手、2番手から3番手と順送りに志望校を下げ、その結果、中堅校もそこそこの倍率を維持することができた。
だが、下げて公立と考える受験生が減れば、1番手は1番手のまま、下げても2番手どまりとなり、中堅まで波及しない。
波が縦に進まず、横に流れて行く。
そしてさらに、今後は最初から私立という選択をする受験生がますます増えてくる。
そうなると、私立の方も「単願にすれば基準が低いし、早く決まるからお得ですよ」といった従来型戦術でいいのかどうか、考え直さなければならない。
もしかしたら、単願・併願という区分も根本から見直す必要があるかもしれない。
平成半ばに開発され、私立躍進を支えともなった「確約前提の単願・併願システム」もそろそろ賞味期限切れか。
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