緊急対応が迫られる一件あり、予定が大幅に狂った一日。
 よくあることだ。
 大変なのは一人で解決しなければならないことくらい。

 今日のニュース。
 埼玉初!中学校区で小中一貫教育 統廃合なし、各校区でカリキュラム作成 2025年度から志木市(12月10日 埼玉新聞)
 例によって、「埼玉初」と来た。
 新聞って、これが使いたくてしょうがない。
 ご丁寧に「!」まで付けちゃって。
 学級新聞かッ。
 「統廃合なし」とわざわざ入れたのは、昨今この手のニュースが世間を騒がせているから、こいつを入れたほうが読者の食いつきも良かろうという判断だろう。

 志木市は人口約7.5万人の小都市だ。
 さいたま市民(旧浦和市民)の私からすると、秋ヶ瀬橋か羽根倉橋で荒川を超えた先にある町。
 高校は私立の慶応志木、細田学園と公立の県立志木がある。

 中学校は4校、小学校は8校。
 東武東上線に近いほうが志木地区、荒川に近いほうが宗岡地区。
 それぞれに中学校2校、小学校が4校という内訳になっている。

 今回のプランは、中学校1校に小学校2校をくっつけて、これで一つの小中一貫体制を作る。
 全部で4つできるわけだが、このうちの1つは9年制の「義務教育学校」とする。校長は一人ということだ。
 市教委は、小中一貫や義務教育学校化で「中1ギャップの予防と解消が図られる」と説明しているようだが、どこかに実践報告や研究成果があるのか。
 まあ、これは私の勉強不足の可能性が高いが、9年間イジメられっぱなしということはないのか。不登校からの立ち直りのきっかけがなくなりはしないかと、いいことばかりではないような気がする。

 小学校で英語が始まったり、教科担任制を導入したりという動きがあるから、先生の異動の垣根を低くし、小中の人事異動を活発化するには、良い方法かもしれない。
 学校行事も一体となってやることで効果が期待できるかもしれない。

◆最大のメリットは人件費削減
 そういう学力や生活面のメリットもあるが、市側の最大のメリットは人件費の削減だろう。
 教育的にどうかよりも、財政的にどうかが優先されるのは、致し方無いところだ。

 少し古い話になるが、平成の大合併の時代に、新座市・朝霞市・和光市・志木市による4市合併が検討されたことがある。
 仮に合併していれば、人口規模では川越市・越谷市・所沢市を上回り、さいたま市・川口市に次ぐ県下第3位の都市が誕生するはずだったが、和光市の反対(住民投票による)で実現しなかった。
 ちなみに、人口規模では、新座市(16.6万人)、朝霞市(14。2万人)、和光市(8。4万人)、志木市(7.5万人)の順である。人口は令和4年11月の統計だが、当時も規模・序列は現在とさほど変わらなかった。

 和光市民の反対が多かったのは、練馬区や板橋区と隣接しており、気分は半分「都民」。実際、横断歩道渡ったら東京都みたいな所もあるわけだし、生活圏はほぼ東京。今さら「だ埼玉」と合併なんぞ出来るかというところだったのだろう。それと、ホンダ関連の事業所が多く、財政的にも「地方交付税不交付団体」であるから、貧しい3市と一緒になって負担が増えるのは御免だぜということもあっただろう。

 ついでだが、国からの「地方交付税交付金」を当てにせず、自前で歳入を賄うのは、「財政力指数」が1.0以上の都道府県及び市町村である。
 都道府県では、ご存知のように東京都だけが「不交付団体」である。市町村では、青森県六ケ所村、福島県大熊町、茨城県東海村、新潟県苅羽村、福井県美浜町など、なるほどと思わせる市町村が並ぶ。
 東京と並んで「不交付団体」市町村数が多いのは愛知県で、さすがトヨタの力は偉大だと思わされる。

 埼玉県では、戸田市・和光市・八潮市・三芳町が令和4年度「不交付団体」となっている。
 戸田市は競艇(戸田ボート)の分配金というのは想像できるが、八潮市・三芳町は意外だ。企業の倉庫や流通センターがあるからだろうか。
 なお、必ずしも「不交付団体」イコール財政豊かとはならない。「財政力指数」0.90とか0.95で、「公布団体」となったほうが、歳入アップになる可能性が高いからだ。

 話がやや脱線したが、高校の統廃合にしても、今回のような小中一貫化にしても、結局は教育的理想よりも財政事情が優先されるということだ。