高校生がSNS(インスタ)で流した動画が問題になっている。
 動画内容はさておき、無名の一高校生の動画がここまで問題化したのは、SNS上で影響力のある人(インフルエンサー)の目にとまったためだと思われる。

 比較的最近書いたが、中高生にとっては「世界」とは「仲間内(なかまうち)」とほぼ同義である。
 かれらにとって「うちのクラス」「うちの部活」「うちらのグループ」が世界であり、そこでの評価がすべてである。
 中高生の想像力を超えた世界というものが、すぐ近くにあるのだが、まだ未熟で視野が狭い彼らにはそれが見えない。

 本人、仲間に受ければいいと軽い気持ちで動画を流したと思われるが、まさかの展開になった。
 大いに悔やんでいるはずだ。
 まだまだ先の長い人生であるが、本来必要のない重い荷物を背負ってしまった。
 だが、残り時間が僅かとなった我々老人とは違い、時間はたっぷりある。
 挽回して欲しいと思う。

 学校側は、騒ぎを知り、すぐにHP上に謝罪文を掲載した。
 心の教育やネットリテラシー教育が不十分だったと反省を述べている。
 ネットリテラシーについては確かにそうかもしれない。

 だが、心の教育や道徳については難しいところだ。
 これらは学校教育の一部ではあるが、両親や家族や身の回りの大人たちの協力なくしては成立しない領域だ。
 学校側は「二度とこのようなことが起こらないように」としているが、学校だけでは限界があるだろう。

 私は、当該生徒に何の問題もないとは思っていないし、学校側に何の責任もないなどとは考えていない。
 ただ、先生や学校には生徒を守る立場でもある。
 そして私自身は、そうした先生や学校を応援する立場である。

 生徒がやってしまったことはもちろん許されことではない。
 が、その結果、生徒は今、集中砲火を浴びている。
 とすれば、ここはいったん生徒を守るところだろう。
 厳しい指導はそれからでいい。

 ネット上に数多生息する正義の人たちは、明日になればまた別の誰かに正義の鉄槌を振り下ろすことだろう。
 1週間も経てば生徒の存在などきれいさっぱり忘れてしまうだろう。
 学校や先生はそうは行かないので、今この瞬間だけは生徒を守る側に回り、然る後、厳正に対処するがいい。