次年度向け教員採用試験について、さいたま市教育委員会が「パイオニア特別選考」という新たな枠を設けると発表した。

来たれ「パイオニア」…教員免許なしでも採用、特別免許状を授与 さいたま市教委、来月から願書受け付け(3月21日 埼玉新聞)

 同じようなものが埼玉県教育委員会の採用試験でも新たに導入されることになっており、こちらも教員免許状の有無は問わない。
セカンドキャリア向け教員採用説明会を実施します! ~これまでのキャリアを生かし、教員を目指しませんか?~(埼玉県教育委員会)

 教員免許状は、大学等で所定の単位を修得することで与えられる。
 教育学部で学ぶのがもっとも効率が良いが、その他の学部でも教職関係の単位を修得すれば得られる。
 
 教員免許状は、それを所持していれば直ちに教員になれるというものではなく、各都道府県等が実施する採用試験に合格する必要がある。
 その意味で、教員免許状は採用試験を受けるための受験資格のようなものであった。
 今後も基本的にその制度は変わらない。

 今回の新たな方針は、特別枠として教員免許状を所持していない者にも受験資格を与えようとするものである。
 全体の採用枠は決まっているが、パイオニア特別選考でどのくらいの人数を採用するかは特に決めてはいないようだ。

 が、問題は、どれくらいの応募者が集まるかだろう。
 教員の働き方をめぐってネガティブな情報が溢れている今、あえて恵まれた現職を捨てて教育界に飛び込もうという人がどれくらいいるかということだ。
 門戸を広げること自体は悪くないが、教員不足解消の決定打にはならないと思う。
 
 私はこのブログで何度も書いているが、民間人とか企業経験者というものに多くは期待していない。
 まあ最低でも5年とか10年、民間や企業で鍛えられれば、それなりの経験を得られ、能力も身に付くだろうが、3年や5年では経験と言ったって大したものではない。
 大学を出たばかりの3~5年で考えれば、民間や企業に就職した者より、教員となった者のほうが鍛えられるだろう。
 企業では新人にいきなり責任ある仕事を任せることはないが、教員の場合、最初から中堅・ベテランと同じ仕事が与えられる。
 だから、スタート直後の3~5年だけを考えれば、むしろ教員となった者の方が成長スピードが速いかもしれない。

 ただ、教員を志したタイミングが遅かったため、教職科目を取り損ない、そのため教員への道を断念した人もいるかもしれない。
 かく言う私も、教員を志したのが大学4年になってからであり、それから慌てて教職単位を取り始めたので、採用試験受験資格を得るためにずいぶん回り道をしてしまった。
 そうした経験からも、さまざまな採用枠を設けるのは悪くはないと考えている。