手元の原稿に目をやらず、聴衆を見ながらプレゼンする。
先生方なら当然のスキルであるが、近頃は高校生が難なくやってみせる。
今日はそんな話題だ。
5月20日(土)、花咲徳栄高校の第1回学校説明会を見に行った。
9時開始の部と11時開始の部の二部制。
参加者は両方合わせて50組100人といったところか。
この時期はそんなものだろう。
◆校長挨拶の後、いきなり登場
会は型通り校長挨拶で始まった。
関正一校長はこの4月に就任されたばかりで、言わば学校説明会デビュー戦となるわけだが、つい3月までは公立校長であったし、県高体連でも要職を務めたきた方なので安定感は抜群だ。
次に、生徒による学校説明。
オッと、ここで来るか。
校長の次だぜ。
生徒による学校説明は何もこの学校の専売特許ではなく、今どきどこの学校でもやっている。
だが普通は、一通り学校説明が終わって、その後だろう。
いきなり持ってくるとは思い切った構成だ。
下手をすれば会全体が締まりのないものになる。
受験生・保護者は学校を知ろうと、説明を聞きにやって来ているのだ。
校長の挨拶が終わり、さあと集中力が高まったところで、その前にちょっと余興をと言われたのでは、肩透かしをくらったような気になる。
大丈夫か。
◆生徒による説明の是非
私は生徒による学校説明には否定的だ。
全否定はしないが、少なくとも消極派だ。
在校生の生の声を聞いてもらうことに一定の意味はあるだろう。
受験生は先生のお堅い話より、少し年上の先輩の話に興味を持つことだろう。
だから、ちょっとした余興として、リラックスタイムとして生徒の話やら演奏やらを挿入するのは演出としてあってもいい。
学校による指導の結果を披露するという意味合いもある。
だが、説明会のメインは学校の指導育成方針を示すことである。
この学校に入ってくれれば、このような生徒に育てます、このような力を身に付けさせます、このような方向に進ませます。
学校説明会は、そういったことを責任を持って示す場である。
生徒による説明は、YouTubeやSNSでやってりゃいいじゃないか。
わざわざ人を呼んでまでやることじゃない。
というのが私の基本的な考えだ。
◆予想を覆す出来に考え変わる
さて、今日の生徒による説明であるが、出色の出来と言っていいものであった。
実は会の始まる前、当該の女子生徒と話をする機会があった。
学校ホームページでニュースキャスター役を演じている女子生徒だ。
この時は、やや早口で、原稿を読む形だ。
ニュースの体をとっているので、原稿を読むのが正しいスタイルである。
陸上の3000m障害を300m障害と読み間違っているがご愛敬だ。
で、今日も用意した原稿を読みながらの説明になるかと思いきや、そんな素振りは一切見せず、聴衆にしっかり顔を向け、よどみなく話すのである。
あらかじめ原稿は作ったと思われるが、それを思い出しつつ話すという風ではない。
バスケットやサッカーなどでノールックパスというのがあるが、その言葉を借用するならば、さしずめ「ノールック説明」と言ったところか。
これはもう余興ではない。
本人どこまで意識していたかは不明だが、校長から募集担当先生へのつなぎ役をしっかり果たしている。
このレベルなら、生徒による説明もあっていい。
と、ちょっと考えが変わってきた。
遠くからiPhoneで撮ったので音が録れていないが、雰囲気だけでもお伝えしておこう。
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