何気なく読んだ記事だが、意外と気づきが多かったのでご紹介。

 「時間確保につながった例も、GIGA構想で「ICT活用」進んだ自治体や学校の特徴」(9月15日 東洋経済education × ICT)

 タイトルにあるように、ICT活用が進んだ学校や自治体にはどんな特徴があったかという記事だ。
 国立教育政策研究所初等中等教育研究部総括研究官・卯月由佳氏へのインタビューをもとにしている。

 興味のある方には全文をお読みいただくとして、個人的に気になった点をいくつかピックアップ。

◆キーパーソンがいるとICT活用が進む
 まあ、当然と言えば当然。
 どんな仕事でもキーパーソンがいれば、はかどる。

◆キーパーソンは主に、校内での技術的支援や教員への心理的支援のほか、校内・校外のネットワークやプラットフォームの整備などの役割を果たしている
 キーパーソンは技術に通じ、技術を教えられる人かと思いきや、それだけではなく心理的支援もする人。
 さらに学校内外のネットワークづくりにも貢献している。

 私は以前、ホームページ担当が情報の先生という時点でその学校は終わっていると書いた。
 広報に関する話だが、ICT教育やDXも同じで、情報の免許を持っているというだけの理由でキーパーソンになれるかというと、どうもそうではないようだ。
 高校は小中と違って、情報科の先生がいるものだから、その先生が担ぎ上げられることになりがちだ。
 別に情報科の先生がダメだと言うのではなく、そういう決めつけが体制づくりを阻害しているということだ。

◆リーダーシップを分散させる体制づくりはポイントになりそう
 キーパーソンが動きやすい学校は、キーパーソンが複数いるということだ。
 リーダーシップは一人に権力や権限、責任が集中するというイメージだが、それを分散させるというのは新しい視点だ。

 これは決して、責任を曖昧にするということではない。負担を軽減するということでもない。
 
 これまた以前に書いたことだが、いま注目されているのは(正しくは、私の中でマイブームとなっているのは)、「権限のないリーダーシップ」論である。
 グループやチームのメンバーが、時と場合によって、代わる代わる発揮して行くリーダーシップ。

 まさか、ここでリーダーシップの分散という言葉が聞けるとは思わなかった。

◆ICTを授業でうまく活用するのは「ベテラン教員」
 やっぱりそうだったか。
 年配の先生は対応できていないという声もよく聞くが、私自身は「いや、そんなはずはないだろう」と思っていた。

 調査では、主体的・対話的・探究的な学びを促す授業スタイルを取る先生ほどICTを活用していることが明らかになっているという。
 また、ICTを使うことで、そうした授業スタイルに変容する傾向も示され、この傾向は50代以上の先生に顕著なのだという。
 「ICTの操作がうまいのは20代の教員だが、授業でのICTの上手な使い方を思いつくのは経験豊かなベテランの先生が多い」とも。

 まあ、考えてみれば当たり前のことで、素手で上手い授業が出来ない先生が、機械を使ったからといって急に上手い授業が出来るわけがない。
 若者よ、勘違いするなよ。
 ベテラン先生たちよ、今こそ皆さんの出番だ。

 と、なかなか面白い記事であった。