本日の訪問校は県立和光国際高校である。
 創立は昭和62年(1987年)。
 各学年、普通科6クラスと外国語科2クラス。

 大量の新設校づくりが一段落した後に作られた学校なので校舎も独自設計だ。
 最寄り駅は東武東上線「和光市駅」。
 そこから徒歩20分程度だろうか。
 以前に一度歩いたことがあるが今回は車で行った。

 今日の目的は授業見学である。
 授業の詳細は、「よみうり進学メディア11月号(埼玉版)」の特集記事で取り上げる。
 
 見学したのは山崎勝教諭による普通科3年生の「グローバル・イシューズ」という授業だ。
 聞き慣れない科目名だが、これは「学校設定科目」と言って、この学校独自のものだ。
 文部科学省学習指導要領に明記された科目以外に、その学校オリジナルの科目を置くことができる。

 広い意味では英語ととらえてもらっていいが、英語そのものを学ぶわけではない。
 「英語を」学ぶのではなく、「英語で」学ぶ授業である。
 この授業では英語は学びのツールの一つという位置づけだ。

 扱う題材は多岐にわたる。
 5教科、いや9教科すべてから拾ってくる。
 もちろん「グローバル」を冠しているから国際的な問題が主となる。
 今回は「人口問題(人口ピラミッド)」を扱っていたから、内容的には社会(地理)ということになる。
 山崎教諭は元来英語の先生であるから、教材の作成に当たってはそれぞれの専門教科の先生の協力を仰ぐ。
 この関係性が素晴らしい。

 高校というところは小中に比べ、はるかに教科専門性が高い。
 それがために教科間に一種の壁のようなものが生じがちなのだが、それを乗り越え、協力し合って一つの教材を作り上げる。
 はるか昔、私の現役時代にはなかったことだ。
 近年よく言われる「教科横断的学習」が、この学校ではごく普通に行われている。
 羨ましい。

◆CLIL学習の先駆者
 山崎教諭が長年取り組んできた学習法は「CLIL(略称クリル)」と呼ばれるものだ。
 Content and Language Integrated Learningの頭文字をとって「CLIL(クリル)」。
 日本語では「内容言語統合型学習」。
 つまり、さまざまな教科内容と言語(英語)とを合わせて学習する方法。

 山崎教諭は、上智大学と連携してCLIL(クリル)学習について研究し、それを実践してきた、いわば先駆者である。
 この方法は、元々ヨーロッパ発祥だが、最近ではようやく日本でも注目され始めた。
 CLIL(クリル)学習は授業形式として協同学習を重視していることもあり、今日の授業も埼玉県が推進している「知識構成型ジグソー法」という形式で行われた。
 主役はあくまでも生徒であり、彼らは協力し、課題について深く考えつつ、その内容につながるワードやセンテンスをも同時に学んで行く。
 ここは未来の教室だった。
 
 言い忘れたが山崎教諭は今年61歳。
 昔なら定年となるところだが、まだまだ意気軒昂。
 これからは、クリルの実践者であると同時に伝道者として、大いに活躍していただきたいと思う。
 
◆和光国際の統合問題
 最後に和光国際の統合問題について触れておこう。
 令和8年度、和光高校との統合により新校となるのは皆さんご存知のとおり。

 和光との統合ではバランスが取れないのではとご心配の向きもあるが、和光高校の募集は停止となるので、3年後の統合の際には現和光高校の生徒はいなくなる。
 つまり、和光国際の生徒と和光の生徒が机を並べることはないのだ。
 これは、他の統合も同じこと。
 読者の皆さんには分かり切ったことだが、時に受験生や保護者の方もやって来るブログなので、念のため。

 おそらく和光国際の名はそのまま引き継がれるだろうが、外国語科の方はどうだろう。
 この平成的、いや昭和的な名称は「国際科」などに改称されてもいいだろう。
 思い切って普通科廃止という手もある。
 国際バカロレア認定校になるとか、校内公用語を英語にするとか、何か新しいことを始めてほしい。
  
 職員会議も英語、生徒総会も英語って面白いだろう。
 来客も容赦しないぞ。受付からして英語対応だからな。

【追記】
 首都圏にある校名に国際を冠した高校は、東京都立国際、神奈川県立横浜国際、千葉県立成田国際、千葉県立松戸国際など。
 埼玉には大宮国際があるが中等教育学校。

【さらに追記】10月18日
 この日の取材について、学校ホームページに記事掲載していただいたので、ご紹介。

 メディアバンクス梅野氏来校、よみうり進学メディアの取材を受けました(和光国際高校ホームページ)