2024(令和6年度)埼玉県高校入試に関わる第1回進路希望調査(10月1日現在)の結果が間もなく発表される。
 昨年は10月31日(月)だったので、同じタイミングであれば10月30日(月)発表が有力である。

 ここで受験生は初めて倍率というものに接することになる。
 人気校ともなれば2倍、3倍の高倍率になる。
 しかしこれは、まだ夏休みが終わったばかりの調査であるから、倍率に驚いて志望校を下げないようにというのが、受験生への一般的な指導となるだろう。
 とりあえず、それでいいだろう。

 だが、このブログは高校側の募集担当者を念頭に置いているので、違った角度から見てみよう。
 (昨年も同じような記事を書いた)

◆第1回の定員割れから脱出できるか
 昨年は普通科で44校が、第1回時点で定員割れ状態(1.00倍未満)だった。
 (専門学科、総合学科は定員割れの方が多い状態なので、今日は触れない)

 では、これら44校(コース含む)のうち何校が第2回調査で定員割れ状態を脱しただろうか。
 最終的な出願倍率と比べる手もあるが、そこまで行くと、さらに複雑な要素が含まれるので、ここでは第2回調査(12月15日現在)をターゲットとして考える。

 昨年、第1回調査で定員割れ状態だった44校のうち、第2回で定員割れ状態から脱したのは12校であった。
 12校÷44校=27.3%
 定員割れ脱出率は27.3%ということで、およそ4校に1校。
 前前年は(9校÷48校=18.8%)だったので、それよりは良かった。
 ただ、はっきり言えるのは、第1回で定員割れだった学校は、第2回でもそのまま定員割れである確率が高いということである。

◆第1回で0.90以上なら脱出可能性が大
 昨年、第1回で0.90倍以上1.00倍未満の学校が11校あった。
 このうち8校(72.7%)は第2回で1.00倍を超えた。
 1.00倍を超えられなかったのは3校(27.3%)だった。

 【第2回で定員割れ脱出】
 春日部 (0.99→1.08)
 熊谷  (0.99→1.01)
 熊谷女子(0.99→1.03)
 松山女子(0.97→1.02)
 川口東 (0.97→1.13)
 新座柳瀬(0.92→1.21)
 ふじみ野(0.92→1.04)
 久喜  (0.90→1.07)

 【第2回でも定員割れ脱出できず】
 三郷北 (0.99→0.95)
 春日部東(0.96→0.90)
 桶川  (0.93→0.93)

 なお、上記のうち、春日部東、久喜、熊谷女子は、隣接県協定に基づく県外中学生の出願が見込まれ、今春の入学者も10人~20人いることから、出願時の倍率は上がる可能性がある。

 以上から、第1回で0.90倍を超えている学校は、第2回で1.00倍を超える可能性が高いことが分かる。

◆第1回で0.80倍台は可能性五分五分
 昨年、第1回で0.80倍以上0.89倍以下の学校が9校あった。
 このうち4校(44.4%)は第2回で1.00倍を超えた。
 1.00倍を超えられなかったは5校(55.6%)だった。

 【第2回で定員割れ脱出】
 深谷  (0.89→1.06)
 鴻巣女子(0.87→1.01)
 宮代  (0.82→1.07)
 日高  (0.81→1.05)

 【第2回でも定員割れ脱出できず】
 秩父  (0.88→0.83)
 大宮武蔵野(0.87→0.85)
 松山  (0.86→0.90)
 杉戸  (0.84→0.87)
 飯能  (0.81→0.88)

 以上から、第1回で0.80~0.89倍の学校は、第2回で1.00倍を超えられるかどうかは微妙である。
 
 なお、上記のうち、飯能は統廃合に伴い昨年は募集広報活動のスタートが遅れた可能性がある。今年度は1.00倍以上になる可能性がある。
 杉戸は今年度、募集広報活動の開始をかなり前倒ししたので、定員割れ状態からのスタートとはならないだろう。

◆0.80倍未満からの脱出は至難
 昨年、第1回で0.80倍未満の学校が24校(コース含む)あった。
 これらのうち、第2回で1.00倍を超えた学校はなかった。
 ただし、昨年度も川越初雁、鶴ヶ島清風、新座など第1回で0.5~0.7倍台だった学校が、第2回では叶わなかったものの出願時には1.00倍を超えたケースもあるので、可能性がゼロということはない。

◆1.00~1.09は危険水域
 昨年、第1回で1.00倍以上1.10倍未満の学校が8校あった。
 このうち、大宮東と草加の2校は、第2回では定員割れ状態となってしまった。
 大宮東 1.04→0.90
 草加  1.00→0.99
 1.00~1.09あたりでは安心できないということだ。

 第1回で1.10倍を超えていれば第2回で定員割れ状態になる可能性はほとんどない。

 以上、本日は「定員割れ脱出」をキーワードに昨年の結果を振り返ってみた。