第1回進路希望調査、結果まとめ。
 昨日は普通科のみ取り上げたので、専門学科についても見ておこう。

◆理数科
 例によってカッコ内左は昨年、右は一昨年倍率である。

 大宮  2.20倍(2.20・2.55)
 大宮北 1.85倍(1.45・1.63)
 川口市立1.78倍(1.93・2.18)
 熊谷西 1.43倍(1.28・1.08)
 所沢北 1.38倍(1.43・1.28)
 松山  1.18倍(1.08・1.28)
 越谷北 1.03倍(1.58・1.38)
 学科平均1.55倍(1.56・1.62)

 越谷北が大きく下がり、大宮北が上がった。
 それ以外はそれほど大きな変化はない。

◆外国語科
 
 和光国際1.47倍(1.28・1.48)
 南稜  1.18倍(1.20・0.98)
 蕨   1.00倍(1.08・0.90)
 越谷南 0.93倍(1.03・0.85)
 春日部女子0.90倍(0.88・1.00)
 坂戸  0.75倍(0.73・0.73)
 草加南 0.65倍(0.58・0.75)
 学科平均1.04倍(1.00・1.02)

 希望者全体の女子比率は77.4%である。
 (春日部女子を除いても74.7%)
 全体倍率は辛うじて1.00倍を超えているが、唯一2クラス募集で希望者も多い和光国際が引き上げているためである。和光国際を除く6校平均は0.90倍である。

 蕨・越谷南といった人気校でさえ、この低倍率である。もはや「募集広報をがんばる」といったレベルではない。一足早く不動岡がそうしたように普通科に吸収することを検討すべきだろう。
 和光国際だけは唯一の国際高校として残す。この時代、公立国際高校が一校もないというのでは恥ずかしい。ただしその場合も外国語科ではなく国際科である。

 以下、農業、工業、商業、家庭の順に見て行く。
 全校全学科の詳しい数字は県教委ホームページ等でご確認いただきたい。

◆農業
 
 杉戸農業・生物生産技術
      1.73倍(1.70・1.78)
 秩父農工科学・農業
      1.73倍(1.23・1.35)
 杉戸農業・食品流通
      1.53倍(0.93・1.08)
 熊谷農業・生活技術
      1.50倍(1.55・1.25)
 熊谷農業・食品化学
      1.30倍(1.33・1.58)
 鳩ヶ谷・園芸デザイン
      1.23倍(1.03・1.20)
 杉戸農業・園芸
      1.18倍(0.85・1.03)
 杉戸農業・生活技術
      1.08倍(0.73・0.55)

 農業系全体倍率は0.96倍である。
 6校18学科あるが、1.00倍超えは上記4校8学科である。

 希望者全体の女子比率は51.6%である。
 特に女子比率が高いのは熊谷農業(生活技術)88.3%、鳩ヶ谷(園芸デザイン)75.5%、杉戸農業(生活技術)74.4%である。熊谷農業(生活技術)は食物・被服・保育などの科目もあり、個人的には家庭系(家政系)に近い印象を受けた。このあたりも女子人気につながっているのではないか。3年度に1クラス募集に変更してからは比較的安定した募集が続いている。

 杉戸農業は6学科中4学科、熊谷農業は4学科中2学科で1.00倍を超えている。逆に児玉・羽生実業は2学科とも現時点では定員割れ。

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◆工業

 新座総合技術・デザイン
      1.53倍(1.85・0.95)
 越谷総合技術・情報技術
      1.35倍(2.35・1.65)
 進修館・情報メディア
      1.35倍(1.08・1.35)
 新座総合技術・情報技術
      1.30倍(1.23・1.13)
 川越工業・建築
      1.25倍(1.53・1.85)
 川口工業・機械
      1.21倍(1.09・0.81)
 熊谷工業・建築
      1.13倍(1.15・1.08)
 春日部工業・機械
      1.10倍(0.97・1.33)
 川越工業・デザイン
      1.10倍(1.80・1.83)
 久喜工業・情報技術
      1.10倍(1.33・1.40)
 熊谷工業・情報技術
      1.10倍(1.58・1.60)
 秩父農工科学・電気システム
      1.05倍(0.85・0.77)
 大宮工業・機械
      1.03倍(0.91・1.08)
 川越工業・電気
      1.10倍(0.85・1.60)
 川越工業・機械
      1.01倍(1.39・1.70)
 
 工業系全体倍率は0.77倍である。
 13校45学科あるが、1.00倍超えは上記10校15学科である。
 
 希望者全体の女子比率は12.1%である。
 特に女子比率が高いのは、川越工業(デザイン)の86.4%、新座総合技術(デザイン)の80.3%である。この2学科は分類上は工業に関する学科となっているが、芸術系(美術)系や家政系(服飾デザイン)に分類されてもいいような内容だ。共にグラフィックデザインを学ぶが、川越工業(デザイン)は併せてテキスタイルデザインも学ぶ。新座総合技術(デザイン)は服飾デザイン科が別にある学校なのでビジュアルやプロダクトに特化した内容となる。

 デザイン科に次いで女子の希望者が多いのは、情報技術科など情報系学科と建築科である。工業高校に必ずあるのが電気科と機械科だが、建築科は東西南北の4校にしかない(大宮・熊谷・川越・春日部)。

 情報技術科など情報系学科の人気は高く、三郷工業技術以外はどの学校も1.00倍を超えている。

 川越工業は5学科中、化学科を除く4学科で1.00倍を超えている。

 伝統校・大宮工業は機械科以外の3学科で定員割れ状態だ。文部科学省マイスターハイスクールに指定されるなど工業高校界をリードすべき存在であるから、定員割れでは示しがつかだろう。古い学校は電気科・機械科がメインになりがちで人気の情報系学科が無い。今度の統合を機に情報系学科の開設が望まれるところだ。

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◆商業

 市立川越・国際情報
      1.44倍(0.73・1.00)
 深谷商業・情報処理
      1.31倍(1.28・1.29)
 市立川越・情報処理
      1.27倍(1.11・1.49)
 新座総合技術・総合ビジネス
      1.10倍(0.79・0.64)
 浦和商業・情報処理
      1.08倍(0.79・1.14)
 狭山経済・情報処理
      1.04倍(0.89・0.85)
 所沢商業・情報処理
      1.04倍(0.63・0.87)
 深谷商業・商業
      1.04倍(0.99・1.09)
 
 商業系全体倍率は0.80倍である。
 15校27学科あるが、1.00倍超えは上記6校8学科である。

 昨年同期の1.00倍超えは2校2学科、一昨年は2校4学科(いずれも深谷商業と市立川越)であったから、全体としてはやや上向きと言える。
 それを牽引しているのが情報処理科であるのは言うまでもない。

 もはや「商業科」だけでは集まらない。「ビジネス」と付けてもいま一つピントこない。「流通」や「国際」と付けてもパッとしない。
 名称だけで生徒が集まるほど世の中甘くないが、「工業高校→工科高校」がありならば、「商業高校→商科高校」があってもいいだろう。横文字使うなら「データ」、「マーケテイング」あたりが未使用。漢字なら「金融」。深谷商業なら「起業科」、「渋沢栄一科」も使える。

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◆家庭
 
 越谷総合技術・食物調理
      1.98倍(1.83・1.55)
 新座総合技術・食物調理
      1.78倍(1.40・1.45)
 秩父農工科学・フードデザイン
      1.00倍(1.08・0.95)
 新座総合技術・服飾デザイン
      1.00倍(1.00・1.15)

 家庭系全体倍率は1.08倍である。
 4校8学科あるが、1.00倍超えは上記3校4学科である。

 希望者全体の女子比率は75.4%である。食物調理科は希望者に男女差があまりないのが特徴だ。
 鴻巣女子(保育・家政科学)が苦戦している以外は、まあまあ順調だ。

◆芸術(美術・音楽・書道ほか)

 大宮光陵・美術
      2.43倍(2.55・1.55)
 芸術総合・美術
      1.50倍(1.93・1.98)
 芸術総合・映像芸術
      1.45倍(1.38・1.83)

 全体倍率は、美術科が1.56倍、音楽科が0.68倍。
 美術科3校のうち定員を割っているのは越生(0.75倍)のみ。
 音楽科3校(大宮光陵・芸術総合・松伏)はいずれも定員割れ。
 人気の美術と、不人気の音楽とくっきり分かれている形だ。
 大宮光陵(書道)は0.85倍、芸術総合(舞台芸術)は0.73倍。

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◆その他の専門学科
 
 いずみ・生物系
      1.146倍(1.71・1.02)
 常盤・看護
      1.41倍(1.05・1.60)
 大宮東・体育
      1.39倍(1.21・1.24)
 いずみ・環境系
      1.13倍(1.07・0.59)

 いずみの生物系と環境系は、学科としては農業系・工業系に分類されるべきだが、「くくり募集」をしている関係で、その他の扱いにしている。二つの系で募集をかけているが、2年進級時に生物生産科、生物サイエンス科、生物資源化学科、環境デザイン科、環境サイエンス科、環境建設科という専門学科に分かれる。

 体育科は大宮東(体育科)は順調だが、ふじみ野(スポーツサイエンス科)は0.90倍と苦戦を強いられている。

 誠和福祉(福祉科)は0.43倍と苦しい。
 春日部東(人文科)は0.70倍、岩槻(国際文化科)は0.80倍だが、学校自体に人気がないわけではない。中身が十分に伝わっていないか、中身が中途半端か、どちらかだろう。

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◆総合学科

 川越総合・総合
      1.96倍(1.47・1.87)
 滑川総合・総合
      1.10倍(0.96・0.96)
 進修館・総合
      1.02倍(0.93・0.92)

 総合学科全体の倍率は1.01倍である。
 9校あるが1.00倍を超えているのは3校のみである。

 川越総合が突出して高く、これが全体倍率を上げている。川越総合を除いた8校では全体倍率は0.91倍となる。
 川越総合は元が川越農業であり、総合学科ではあるが、農業系・家庭系の色合いが強い。温室があり、鶏舎があり、校外には農場を持つ。この分かりやすさが強みだろう。川越駅からも、川越工業よりはほんの少し遠いが、川越高校よりは全然近い。

 久喜北陽は昭和の終わり、普通科メインで情報処理科の付いた学校としてスタートしたが、後に総合学科に転換した。「進学型総合学科」と謳うくらいならそのままで良かったのにと思うが、いろいろ事情があったのだろう。
 今回0.99倍と僅かに1.00倍に届かなかったが、総合学科では唯一の320人募集だ。今回316人の希望者がいたから、仮に川越総合と同じ240人定員(238人募集)ならば1.33倍となる。280人定員(278人募集)でも十分耐えられる。決して不人気というわけではないのだ。

 専門高校、専門学科情報に関する読者のニーズは少ないと思われるが、誰かが書いておいたほうがいいだろう。
 秩父方面には長いこと行っていないなと思うが、最近では児玉とか羽生とかも行っているし、とりあえず全て回った。実習や施設もいろいろ見させてもらった。専門高校は、それがピタリとはまった子にとっては最高の環境だ。

 来週、11月11日(土)、大宮ソニックで専門高校生がその学習成果を発表する産業教育フェアが開催される。いわゆる進学イベントではないが、専門高校生と触れ合うチャンスなので今年も行ってみようと思っている。