ふだんは学校や塾の先生方にしか読まれていないブログであるが、この時期は検索エンジンからの流入が多い。
おそらく受験生や保護者の皆さんであろう。
そこで本日は埼玉県公立高校受験生向けである。
テーマは、「自分が受検する学校の倍率が高い場合、どのように戦ったらよいか」。
と言っても実のところ、倍率が高いか低いかで戦い方はそんなに変わるはずはないのである。
最後まで粘り1点でも多く得点すること。
ただそれだけ。
受験では、戦いの相手は自分以外の他の受験生なのだが、スポーツ競技などと違って、相手がこう来たらこっちはこう返すという駆け引きのようなものは一切ない。
相手に関係なく自分のベストを尽くす。
が、それだけだと話はここで終わってしまうので、もう少し詳しく話そう。
まず、各学校の受験生は大きく3分類されると考える。
1合格は確実と言われている受験生
2合否は五分五分と言われている受験生
3合格は厳しそうだと言われている受験生
分け方はほかにもあるが、とりあえずそのように考えてみる。
次に1~3の割合を考えてみる。
1 確実 20%
2 五分五分60%
3 厳しい 20%
これもいろいろな考え方があるが、話を先に進めるためにこのように想定してみる。
もっと細分化したほうがいいかもしれないし、パーセンテージも変えた方がいいかもしれない。
しかし、複雑なことはいったん単純化して考えてみることも必要だ。
さて、今ここに募集人員320人の学校があったとする。
▼ケース1
志願者352人 倍率1.1倍
1確実(20%) 70人
2五分五分(60%)211人
3厳しい(20%) 70人
「確実70人」と「五分五分211人」を足して281人。
定員320人まで残り39人。
なので「厳しい70人」の半数以上が合格できる。
▼ケース2
志願者384人 倍率1.2倍
1確実(20%) 77人
2五分五分(60%)230人
3厳しい(20%) 77人
「確実77人」と「五分五分230人」を足して307人。
定員320人まで残り13人。
なので「厳しい77人」のうち約17%にあたる13人が合格できる。
▼ケース3
志願者400人 倍率1.25倍
1確実(20%)80人
2五分五分(60%)240人
3厳しい(20%)80人
「確実80人」と「五分五分240人」を足して320人。
ちょうど定員と一致する。
なので、ここから上の倍率だと「厳しい」の中からの合格者が出なくなる。
逆に言えば、1.25倍以下の倍率であれば、「厳しい」と言われている人の中からも合格者が出るということだ。
▼ケース4
志願者480人 倍率1.5倍
1確実(20%) 96人
2五分五分(60%)288人
3厳しい(20%) 96人
「確実96人」と「五分五分288人」を足して384人。
「五分五分288人」のうち合格できるのは224人となる。
ケース4に当てはまるのは普通科では春日部と蕨である。
倍率は共に1.5倍(定員は異なるが)。
1.5倍は市立浦和1.75倍、川口市立・スポーツ科学1.64倍に次いで普通科では3番目の高倍率だ。
川越1.47倍、川口北1.47倍、和光国際1.46倍などもケース4に近い。
市立川越は定員140人と規模が小さいが倍率的には1.49倍でケース4に該当する。
浦和西1.43倍、所沢1.43倍、越谷南1.42倍、大宮1.41倍もケース4に近い。
(なお、和光国際と越谷南には外国語、大宮には理数があるので、実質的な倍率は高いと思われるが、ここでは話を単純化するため、その点は無視している)
◆油断さえしなければ
実際の入試では、確実と言われながら不合格になることもあれば、難しいだろうと言われながら合格する人もいる。
実際そのような話をよく聞く。
だが、よく聞くのは、よく語られるからである。
レアケース(滅多に起きない事例)だから話題になるのであって、よくあることではないのである。
一発勝負だからこその逆転劇はあるにはあるが、入試では基本、ふだんの力どおりの結果が出るのだ。
中学校や塾の先生方から「自信をもってやれ」と言われている人は、そのとおり素直に自信をもてばいい。
先生方はさまざまな数値や過去の経験に基づいて言っているのだ。
ただし、過信はいけない。そして、そこからくる油断は禁物だ。
「確実」と言われている人は、いかなる倍率でも合格するのである。
今回示したモデルケースで言うと、倍率が5倍以上になると「確実」の中からも不合格が出る。
だが、そんな倍率の学校はない。
「確実」の人が、「ちょっとやそっとミスしても大丈夫」とすれば、「五分五分」の人は、「よほど大きなミスさえなければ大丈夫」ということである。
1.5倍の高倍率であっても、「五分五分」の人の8割近くは合格するのであるから、大きなミスだけはしないことだ。
◆難問は深追いしない
どれが難問かは人によって異なるが、ここでは自分が「難しい」「無理そう」と直感した問題ということにしよう。
そういう問題は深追いしない。
ずばり言えばあきらめる、または捨てるのである。
入試では同点に多数の受験生がひしめくのだ。
一つの学校には概ね同偏差値帯の生徒が集まってくるので当然そうなる。
したがって、よく言われることだが、1点2点が合否を分けるのである。
そんな中、「無理そう」な問題に多くの時間を割くのはどう考えても得策ではない。
これは受験勉強ではなく受験そのものである。
受験勉強ならば「無理そう」な問題に果敢に挑戦する姿勢はほめられていいだろう。
しかし、本番ではその姿勢が仇になる。
それよりも、「出来そう」「解けそう」な問題に集中したほうがいい。
今日は初夏を思わせるポカポカ陽気だったが、明日21日は冬に逆戻りする模様だ。
寒さ対策が必要だ。
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