近頃、高校の先生方からよく聞く話。
 「受験生の動きが以前より早まったのではないか」。
 だったら嬉しい。

 一つには、コロナの制約から解放され、世の中全体の動きが活発化したこともあるのではないか。
 活動を制限されていた期間があまりにも長かったので、みんな4年前のことを忘れてしまった。
 1年前、2年前と比べると確かに活発に動いているように見えるが、実は、今の動きが平常スタイルだったのかもしれない。
 というのが一つの見解だ。

 もう一つは、始動(スタート)の早い受験生の姿が可視化されたのだという考え方。
 さしあたり私の分析はこちらだ。

 高校の先生方は日々経験されていると思うが、3年になってようやく重い腰を上げる生徒がいる一方、1・2年生のうちから真剣に進路を考え始める生徒もいるわけだ。
 中学生も同じことで、部活を引退してからやっと進路に向き合う生徒がいる一方で、2年の段階で方向性を決めたり、場合によっては志望校を考え始める生徒は確実にいる。
 私もすこしばかり関係している「彩の国進学フェア(スーパーアリーナ)」にも1・2年生はやって来る(夏休みの課題という説もあり)。
 「来年のための下見」と称してやって来る保護者に何人も出会っている。

 そういう早期始動派は1割なのか2割なのか、そこまでは分からないが一定数いるのは確かだ。
 では、そういうニーズに高校側がどれだけ応えてきたかというと、いささか心もとない。

 「どうせ3年生になってからだろう」
 「部活を引退してからだろう」
 「模試を何回か受けてからだろう」
 こうした思い込み、または極端な場合決めつけで募集計画を設計していないか。

 たしかに割合から見れば少数派ではある。
 だが、早期始動派であるかれらは、進路に対する意識が高く、目標が明確であり、学力的にも高い可能性が大である。
 そういう生徒は高校側としてもぜひ来てほしいはずだ。

◆「場」を提供したことで可視化された
 だが、高校側は、かれらに対して「場」を用意してこなかった。
 実際、今日現在の状況を見ても、ホームページに今年度の説明会予定を掲載している学校が60校に対し、昨年度のままの学校が70校という状況だ(公立の集計)。
 これは、高校自らが「まだ考えなくていい」というメッセージを送っているに等しい。
 しかも、それでいて「偏差値(学力)や倍率だけで選んでくる」と不満を言ってきたりするから手に負えない。
 そういう構造を作っている責任は自分たちの側にもあるとは考えないのか。

 ただ、状況は変わりつつある。
 大宮、春日部、熊谷女子、川越女子などが2~3月に1.2年生向け説明会を実施した。
 やや人数を抑えた開催だったが、いずれも盛況だった(とホームページで報告している)。
 年度が変り5月11日に上尾が授業公開を予定しているが約120人の枠はすでに埋まっている。
 また5月18日に杉戸が入試情報提供会を予定しているが当初150人予定のところ何と530人もの申込みがあった。杉戸の場合、企画が当たったということもあるが、この時期にこうしたニーズがあることを証明した形だ。

 以前も書いたが、受験生を煽り立てる気持ちはない。
 どんな手を使っても、夏休みをまたがないと動かない生徒が多数派だろう。

 そうではなく、進路に前向きな早期始動派に対し「場」を作って欲しいのだ。
 かれらは始動の遅い多数派といっしょくたにされ、ある意味放置されてきた。
 「場」がなかったので、かれらの存在が見えなかった。
 しかし、高校側が「場」を提供することで、その存在が可視化された。
 これが目下の私の見解だ。