各校WEBサイト(以下、ホームページ)を見ると、今年度版の新しい学校案内パンフレットができましたというニュースを見かけるようになった。
 昨日、川口北高校の教育関係者説明会(塾説)に参加したが、そこで配布されたのも2025年度入試用の最新版だった。
 10年ほど前までは、7月の彩の国進学フェアあたりを一つのターゲットにしていた学校も多かったと思う。
 完成時期が早まったのは、説明会の時期が少しずつ早まってきたことも関係しているだろう。

 さて、今日のお題は、ホームページの役割変化である。

◆ホームページに残された役割
 我が国のホームページ黎明期とも言える1990年代初頭、私は教育界を離れ、広告業界にいた。
 ようやくパソコンが注目されるようになった頃であり、「ホームページって何?」という時代だった。

 いや、ホームページという言葉自体がなかったか。
 なにしろ通信手段は100%固定電話という今では考えられない時代であった。
 企業に「ホームページを作りませんか」と持ちかけても、「そんなもん要らん」と一蹴された。
 それはそうだ。初期のホームページは単なるポスターか看板のようなもので、その情報量は紙切れ一枚といい勝負だった。
 これでは金をかけて作ろうという動機にはならない。
 しかし、当時の通信環境ではこれが精いっぱいだった。

 で、思いっきり端折るが、その後、通信環境が劇的に改善され大容量の通信が可能になり、さらにはスマホやタブレットといったデバイスが普及したこともあり、今日のようにホームページはあって当たり前という時代になったのである。

 以前にも書いたが、かつて私は、学校ホームページが追求すべき方向性について、「面白さ」「便利さ」「詳しさ」を挙げていた。
 だがこれは、SNSなどがない時代である(あったかもしれないが普及はしていなかった)。
 そこで現在は、学校ホームページに残された最後の役割は「詳しさ」であると言うようになった。
 「面白さ」「便利さ」はほぼSNSで代替可能と考えるからだ。

◆せめて「学校要覧」レベルまで
 ひと頃「詳しくはホームページへ」というフレーズが流行った。
 今でも使われている。
 それは構わないが、だったらその言葉通り詳しくしてほしい。
 中には紙のパンフレットと大差ない情報しか載っていない学校もあるが、ホームページの機能を生かしているとは言えない。

 数日前に書いたが、ホームページは情報の格納場所としては優れた機能を持っている。
 情報の倉庫であり、情報の図書館である。
 ここに行けば、その学校について分からないことはない。
 そういう場所は今のところホームページしかない。

 せめて「学校要覧」レベルの情報を置いておきたい。
 場合によっては周年記念誌レベルまで。

 もちろん「最新情報」「新着情報」や、期間限定の「お知らせ」は引き続きあっていいが、ホームページでしか実現できないのは情報のストックである。

◆インスタ運用校は20~30%
 明日か明後日に記事を書くが、埼玉県内で公式Instagramを開設している学校が、私立では35%以上、公立では20%以上となった。
 ここまで時間はかかったが、この先は一気に50%に到達するだろう。
 何事も10%から20%あたりまで長い時間を要するが、この壁を突破すると加速する。

 相変わらず、個人情報ガ―、とか炎上ガーとか言っている学校もあるが、永遠に議論していればいい。
 今のところ、InstagramなどSNS運用校で大きなトラブルに見舞われた学校はないと思うが、この先何も起きないという保証はない。
 その時に「ほらな」と言いたい人もいるわけである。

 で、そういう方々はたぶんこのブログも読んでいないはずなので、ここでは積極派の皆さんだけを念頭にいくつかアドバイスをしておこう。
 1 Instagramにはある程度エンタメ性があったほうがいい
 2 あまり長いのは禁物
 3 鮮度が命
 4 ストーリー性があると面白い
  
 運用開始から時間が経っている学校にとっては今さらのアドバイスだと思う。
 発信のタイミングは朝がいいのか夜がいいのか。
 長さはどれくらいがいいのか。
 高評価が得られるのはどんなコンテンツか。
 こういった相手側の反応を詳細に分析できるのがホームページにはない機能である。

 「今までのやり方で十分」
 「やる意味が分からない」
 「どうせすぐに廃れるさ」
 「流行に飛びつくと痛い目に遭う」
 昔、ホームページについて言われたことが、今、SNSについて言われている。